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十七本目 『トレーナーアカデミー』

今回の記事では2020年7月からこれまで三年間に渡ってドイツのアカデミーで学生となって勉強してきて、「Diplom-Trainer」というドイツオリンピック連盟が定めるスポーツ指導者として最高位のライセンスを取得したことについて書いていきます。

おそらくためになる知識などはなく、ただただ自分にとってとてつもなく困難な挑戦であったドイツのアカデミー(大学に相当)で勉強をやり切ったという喜びを表現したいがためのただの自己満足ですので悪しからず。それでは「はじめ!」


トレーナーアカデミーとは

DOSB(ドイツ・オリンピック・スポーツ連盟)のトレーナーアカデミー・ケルンは、1970年にDOSB(ドイツ・オリンピック・スポーツ連盟)に設立され、スポーツ分野のトレーナーの教育とさらなるトレーニングを専門とするドイツの有名な教育機関であり、ケルンに本部を置いています。

Trainerakademie Köln

トレーナーアカデミーでは、ドイツのスポーツ界で最高レベルとされるDiplom-Trainer-Studiumコースをはじめ、さまざまなトレーニングプログラムを提供しています。

このコースは、すでにコーチング教育(日本の柔道A指導員レベル)を修了し、競技スポーツでの実践経験を持つ経験豊富なコーチを対象としており、参加者はトレーニング理論、スポーツ医学、スポーツ心理学、スポーツ組織、マネジメントなどの分野で深い知識を学ぶことができます。

受講生は様々なオリンピックスポーツの指導者(または現役選手)で構成されていて、いろんな背景を持つ指導者やアスリートと意見交換や交流ができるので、指導の新たな視点を持つのにすごく役に立ちます。

僕の同期生は30人ほどで、20代〜50代までの幅広い年齢層です。経験豊富な指導者や現役のオリンピック選手や元オリンピック選手などもいて興味深い話もたくさん聞けました。

競技も夏季スポーツ・冬季スポーツそれぞれたくさんあります。ホッケー、レスリング、ボクシング、クライミング、柔道、バドミントン、陸上、スキー(ジャンプ、フリー)、バイアスロン、クレー射撃、カーリング、カヌー、自転車、etc…

実践的なトレーニングを重視し、受講生同士やスポーツ界の専門家との交流の促進、様々なスポーツ協会、組織、クラブと密接に協力し、現在のスポーツの需要に対応できるトレーナーを養成することが目的として掲げられています。

卒業生は、ジュニアユースからトップレベルまで、ドイツ国内外さまざまなスポーツやレベルで活躍しており、ドイツにおけるコーチングの質の向上と、アスリートに対するプロフェッショナルなサポートに貢献しています。

これまでにドイツのナショナルコーチをしてきたドイツ人の指導者の皆さんもこのDiplom-Trainerの資格を取ってきたそうです。しかし日本人指導者としてこの資格を取得したのはおそらく僕が初めてだそうです。そもそもこのアカデミーに在籍した日本人が僕以外にいないだけだとおもいますが。笑

現在ドイツ国内でナショナルチームに関わっている他の外国人指導者もまだこの資格はとっていないんじゃないかと言われています。その代わり、ドイツ人以外のナショナルコーチは自国でそれに準ずる指導者資格を持っていると言われています。

Diplom-Trainer(ディプロム・トレーナー)とは

ドイツにおけるトレーナーの最高資格である「ノルトライン=ヴェストファーレン州公認トレーナー」の称号と、「ドイツ・オリンピック・スポーツ連盟公認ディプロマトレーナー」の称号を併せ持つものです。
フリードリッヒ・アレクサンダー大学エアランゲン・ニュルンベルク校の調査によると、その学位は、ドイツの生涯学習資格枠組み(DQR)のレベル6に位置づけられています。
これはドイツの大学の学士と「同様」の価値を持つものであるが、必要かつ意図された特殊性を背景とする学位・資格であることから大学の学士と「同等」ではない。

トレーナーアカデミーのホームページより一部抜粋

なのでドイツの大学の学士とはレベルは同じものでも正式なBachelor(学士)の学位とはまた違うようです。

しかし、この学位は特定の大学のスポーツ・コーチング修士課程への入学が認められていたりと、やはり学士の学位と見なせないこともなさそうです。

 国際コーチング・エクセレンス評議会(ICCE)の支援のもと、ダーバンで開催された第9回グローバル・コーチ・カンファレンスの総会において、今後の開発優先事項が確認された。コーチ・アカデミーが積極的に参加している「イノベーション・グループ・リーディング・エージェンシー」のさまざまな活動の結果、とりわけ、競技スポーツのコーチのための国際的な修士号プログラムを積極的に開発することが決定された。いわゆる「グローバル・コーチ・オフィス」も運営するリーズ・メトロポリタン大学がこれを担当している。
 このような背景のもと、トレーナーアカデミー・ケルン(Diplom-Trainer)の卒業生は、必要な学問的・事務的な「バックグラウンド・プロセス」がここ数週間で無事に完了した後、リーズ・メトロポリタン大学のスポーツ・コーチング修士課程に入学できるようになった。いわゆるコース・アーティキュレーションの枠組みの中で、コーチ・アカデミーのコーチング・ディプロマの内容、学習目標、付与される能力が、リーズ・メトロポリタン大学のスポーツ・コーチング修士課程と比較対照された。その結果、コーチング・ディプロマ・コースの大部分が、スポーツ・コーチング修士課程で認められていることがわかった!コース・アーティキュレーションによって、大学は他の教育機関のコースの内容を認識することができるため、すでに修了した内容やモジュールの繰り返しを避けることができる。
 コーチング・アカデミーの修了生は、修士課程へのアクセス権を得られるだけではありません。また、修士号取得に必要な全180単位のうち、100単位がすでに認定されています。これは、修了したコーチング学のディプロマと、スポーツ・コーチング修士号取得のための競技スポーツにおけるコーチとしての既存の重要な職業経験によるものです。
 リーズ・メトロポリタン大学は、過去数年にわたりスポーツ・コーチングの分野で卓越した専門知識を培ってきました。ジョン・ライル教授、パット・ダフィー教授、アンドリュー・エイブラハム教授による数多くの出版物や研究が、スポーツ・コーチングの分野における同大学の専門性を証明しています。
 DQRにおいてディプロム・トレーナー学位がレベル6に分類されたことに続き、ディプロム・トレーナー学位の認知度向上に向けた更なる一歩となる。

https://www.trainer-im-leistungssport.de/wissen/artikel/
「卒業生トレーナーは国際修士課程に入学できる」

このへんは定義が色々あってややこしいですね。
しかし自分の仕事である柔道の指導者としては最高位の資格であることには変わりないので、これからは履歴書にも書けます。

何よりも自分の中では、入学した時点では卒業は相当難しいだろうなと思っていたので、今回卒業試験を合格できたことがめちゃくちゃ嬉しいです。

初めての授業を受けた時には、授業内容の9割以上が理解できず、聞いたこともない専門用語が飛び交っている教室で、丸一日無になって黙って座ることしかできなかったのが、3年目にもなると授業で扱う内容の概要は理解できるようになりました。

しっかりと内容をよりわかりやすく咀嚼するためには、授業が終わってからある程度の復習と内容に関して自分で調べる必要はありますが、長い時間その言語に触れて情報をインプットしていると自然とドイツ語の説明でも理解できるようになるもんですね。

カリキュラム

ヨーロッパの大学ではECTS (European Credit Transfer and Accumulation System)を使用して学習成果を評価しています。ECTSは、ヨーロッパの異なる国々で単位が互換性を持つようにするためのシステムであり、学習の量やレベルを示す指標として使われています。

ドイツの大学では主に「Credit Points(CP)」や「Leistungspunkte(LP)」などと呼ばれる単位が使用され、1ECTS=1CPで変換ができます。1つの単位は通常25〜30時間の学習を表し、これには講義、セミナー、自主学習などが含まれます。
学士(Bachelor)を取得するためには最低180ECTSが必要とされており、DIplom-Trainer-Studiumコースでも卒業し資格を取得するためには180ECTSが必要とされています。

通常、日本の大学1単位=1.5~2ECTSとして変換されます。日本の4年制大学を卒業するには124単位が最低限必要になるので、240ECTSを4年で取得できるヨーロッパの大学と比較することで、日本の1単位=2ECTS(厳密には1.935ECTS)という変換レートが計算できます。

GoGermany https://gogermany.jp/study-in-germany/credit-system/
学士過程の構造と構成

この学士過程の枠組みは以上の表のようになっており、以下にその内訳を記しておきます。

基本モジュール(63CP)
主観的な知識を評価し、現代のコーチングに必要なスポーツ科学の基礎を深め、コーチング活動に結びつけるための教科。

リフレクションモジュール(22CP)
個人の行動に対する見方を反映させ、理論、経験、科学的知見、多岐にわたる経験を結合し、主観的な使用理論を評価・拡大・特定する機会を提供する教科。

専門化モジュール(36CP)
スポーツの大/小グループの様々な学問分野のアプローチを通じて、コーチングの具体的な要件を問題指向で取り上げる。焦点はスポーツ間の交流であり、基礎モジュールでの知識を基盤に、専門的な能力を発展させ、実践のコーチングを向上させるための教科。

スポーツ種目特化モジュール(24CP)
特定のスポーツに関しての基本的、専門的な知識、スキル、能力の成長を促進するための教科。

卒業論文(15CP)
索引を含まない純粋なテキストが最低25ページのドイツ語で構成されたもの。(結局47ページで完成になったけどこれが一番きつかった)

卒業試験(20CP)
1. 筆記試験(一般的トレーニング理論)/3時間
2. 筆記試験(スポーツ心理学、スポーツ医学、スポーツ社会学、スポーツ教育学、運動理論の中から3つのテーマが出題され、そのうちの1つを選択)/3時間
3. 筆記試験(専門分野方法論)、柔道トレーニング理論、データ分析、指導方法論などに関する内容/90分
4. 演習試験(柔道の指導演習)、出題されたテーマに関する指導方法の実演/45分
5. 口頭試験(一般的+専門的なこれまでの学習内容全てに関する質問)/30分

の合計180CP(≒90単位)となっています。
こうやって振り返るとこの3年間よく頑張ったなと自分を褒めてあげたいです。ほんまにきつかった時期が何度もあったので。

実習科目

ちなみにこの専門化モジュールの中には、柔道+他の競技スポーツの講習会やトレーニングの参加あるいは聴講も必須科目として含まれており、合計100時間の実習時間と参加した講習会などの報告書の提出が必要とされています。

ドイツ柔道連盟が主催する指導者Aライセンス取得のための講習会に聴講生として参加したり、ボクシング、バドミントン、競輪といったスポーツのナショナルトレーニングセンターで練習や指導者の仕事の見学をしたりもしました。

自分の専門領域外のトレーニングや仕事ぶりを見ることで新たなアイデアや
刺激をもらえるので個人的にはすごくいい経験になったと思います。

各スポーツによって発達させるべき能力やそのためのトレーニング方法論は異なり、特に柔道は多様な能力の開発が必要とされる競技の一つでもあるので、幅広い知見を得ることができてありがたかったです。

柔道に限らず、どんな競技でも違う種目や領域の人達と交流を持つことは、自分の先入観に捉われず、新たな価値観や物事の見方を手にいれるためのいい手段だと思うのでこれからもそのような機会を活かしていければと思います。

学業と仕事の両立

普段は仕事で柔道の指導をしながら学生をやるということはなかなか想像ができないかと思いますが、このアカデミーでは現役の指導者がコーチングやスポーツに関する知識を学びながら、そこで得た知識や経験をすぐに実践で使えるようなプログラムが組まれています。

普通の大学のように毎週毎日授業があるのではなく、月毎に1週間の集中講座が開かれ、だいたい8時間ほど朝から晩まで講義を受けることになります。なのでその講義が開かれる週だけ、ドイツ全土から生徒がケルンに集まり、遠くから来るひとは泊まりでコースに参加するということになります。

僕は普段の職場(練習場所)がケルンにあるので、仕事のついでに通うことができるのでいいですが、そうでない人は実習や出張みたいな形で届けを出してアカデミーのコースに参加が可能です。自分のキャリアを積むための勉強も仕事の一環ということです。

なので講義で練習に参加できない場合は職場にいる他の指導者の方に自分の仕事のカバーをしてもらいながらアカデミーに通うことができました。

また、時期によっては重要な大会や合宿と被る場合もあります。その時には欠席届を出して、後で別の課題を提出するなどで単位をもらうことも可能です。指導者の予定にも柔軟に対応してもらえるのはすごく助かりました。(そのぶん自学自習で講義内容を補足する必要はありますが。)

このようにそこまで無理なく、勉強ができるようにプログラムが組まれています。しかし、ドイツ語を母国語としない僕としては、講義内容と並行してドイツ語の勉強もする必要があったのでいつもヒーヒー言いながら授業について行くのがやっとでしたし、むしろついていけずに置いていかれている感覚しかありませんでした。

通常外国人がドイツの大学に入学するための条件としては、ドイツ語のB2またはC1のレベルがあり、その資格を持っていることが前提条件なのですが、僕はB1しか資格は持っていません。B2は受ければ多分受かりますが、受けていませんでした。(ドイツ語の資格のレベル、[低]A1→A2→B1→B2→C1→C2[高])

僕の場合は、入学当時でB2のレベルはあるだろうというドイツ柔道連盟の裁量で入学が認められましたが、入学してからそのレベルの高さに、もっとドイツ語の勉強をしておけばよかったと心から後悔しました。

しかし、その後悔の念があったからこそ最後まで走りきることができたんだと思います。そこも自分を褒めてあげたい。

子供の誕生

この3年間で勉強に専念できていればもしかするとそこまで苦しくもなかったのかもしれませんが、アカデミー入学前に長男が、そして在学中に次男が生まれました。

この子供達の誕生によって卒業することのハードルがめちゃくちゃ高くなったと思います。役所での諸々の手続きや預け先を探したりなど、毎日やることがてんこ盛りでした。

ドイツで子育てをしたことがある方はわかるかも知れませんが、子供を幼稚園に入れるには競争率も高く、生まれる前から事前に調査と申請をしている人もいると聞きました。

自分の子供たちも今年の8月からようやく幼稚園に通うことができます。一年程探して空きが出るのを待っていました。それまではTagesmutterという託児所のようなところに預けていました。

もちろん病気や怪我で急遽子供の面倒を自宅で見ることや、病院に連れて行くこともありましたし、予期せぬことはたくさん起こります。そんな中で隙間時間を見つけて自分の勉強もするのは骨が折れました。

子供達にはなるべく小さいうちはなるべく関わりを持てるようにしたいという希望もあるので、外遊びや散歩、読み聞かせなどできるだけ時間を家族に使えるようにも心がけてきました。自宅で暇があれば子供達は「遊んでほしい!」とよってきます。

ここはもっと楽もできたとは思うのですが、3歳までの多感な時期に、親とたくさんコミュニケーションを取ることは大事だと思うので苦労してでも子供を優先できたのは本当によかった思います。実際に卒業も決まったので。

もちろん妻や現在オランダで鍼灸師をしている兄、二人の出産時には手伝いに来てくれた母親や義母の多大な協力もあって成し遂げられたことなので、家族・親族には本当に感謝しています。

一見すると無理なことのようにも思えましたが、やると決めて気合を出せばなんとかなるもんです。そのぶん自分の時間の使い方はものすごく考えました。

物事の優先順位

この3つの課題をどのように切り抜けるかを考えた時に、自分にとって何が大切かをすごくよく考えるようになりました。

もちろん指導者としてキャリアを積むことも重要ですが、まずは家族が幸せに暮らせることが一番です。家族関係がうまくいかないと仕事も勉強も何もうまくいきません。これはこの三年間で何度も痛感させられ、妻にはたくさん苦労もかけ、話し合いもたくさんしました。

なのでまずは家族のための時間を確保すること、その後で自分の勉強や仕事の時間を取ればいいやって今では思っています。もちろん柔道の指導の時間は妻に子供を預け面倒を見てもらっていますが、場合によっては子供を連れて仕事にもよくいきました。週末の仕事がない日はたくさん家族で出かけました。

ドイツでは家族のつながりがとても強いように感じます。家族で過ごすために休暇を取るのに後ろめたい気持ちは何もありません。ありがたいことです。ドイツで家族を持ったことで、家族の在り方についてもいろいろ考えさせられます。

平日のルーティンが、

朝:子供送迎、通勤、トレーニング
昼:帰宅、昼食、子供お迎え、子供と過ごす
夕方:通勤、トレーニング
夜:帰宅、食事、勉強

みたいな感じなんで、少しでも子供と過ごせる時間を作れるように心がけています。また困ったことに子供達は平均して朝6時ごろに起きるんで、僕も強制的に起こされます。毎日寝不足との戦いでした。それでも子供達にはたくさん元気ももらえますし、幸せな苦労です。

自分に使える時間は少なかったですが、それがわかっていたので、考えてその時間が使えました。短い時間でも集中して継続すること、その積み重ねがとても重要だと実感させられました。

終わりに

当時のノルトライン=ヴェストファーレン州柔道連盟の会長の勧めで、コロナ禍だった2020年7月から3年間の学士課程(と同程度)を履修してきましたが、卒業してみればあっという間の大学生活でした。

在学中はもちろんストレスも疲労もMAXで、自分のできなさや卒業できるかという不安に何度も絶望や挫折を味わっていましたが、結果挑戦して本当に良かったです。

これまでも何度も「自分のコンフォートゾーンに留まりたい!」という欲求に対してノーを繰り返し、さまざまなことに挑戦してきましたが、海外の大学でドイツ語で勉強をするということは、自分のこれまでの人生の中でも最も勇気と気力のいる選択だったと感じています。

しかし、毎回この自分にとってはあまり居心地の良くない選択を取ることで自分の価値観が広がり、結果自分の人生にとってプラスになってきた経験があったので、なんとか最後まで踏ん張れたんだと思います。

価値観が広がる=自分のコンフォートゾーンを広げることだと言えるので、これができる人はメンタル的にもめっちゃ強くなれると思っています。なので今後もこれまでの成功体験も失敗体験も忘れずにどんどん新しいことに挑戦できればと思います。

最後にもう一度、自分の大学生活や仕事を支えてくれた家族、担当教授、同僚のコーチの方々、そして同期メンバーへの感謝の気持ちを記し、終わりにしたいと思います。心よりありがとうございました。

卒業証書・成績表授与式
卒業式集合写真①
卒業式集合写真②

というわけで今回はただただ「苦労した!めっちゃ頑張った!」を聞いてほしいだけの自己満でした。笑

最後まで読んでくださった方々本当にありがとうございます。それまで。

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