第16回 花田菜々子さん(HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGE)
ひとりでも生きていけるという旨のツイートをしてリプを待つ顔 『サイレンと犀』岡野大嗣
ひとりでいたい。誰かとつながりたい。両方とも本当の気持ちだ。
この歌は一見、「ひとりでも生きていける」とい うツイートは強がりで、誰かに早くかまってほしくてソワソワしている滑稽な姿を自虐的に、ちょっと笑えるように詠んだようにも取れる。だがしかし、待つ顔はそんなに単純ではない。
漫画に出てくるような美少女が「そんなこと言わないで、私は岡野くんと生きていたいよ」とリプしてくれたら丸く収まるような夢の世界に私たちは住んでいないからだ。誰かといても孤独は埋まらないどころかますます深まる場合さえある。
人に依存せず生きる人の姿は美しい。自分もそうありたいと心から思う。だからリプを待つくらいは許してくれないか。ただひとりで生きるというだけで、なんだかとても大変なのだから。
(「ほんのひとさじ」vol.7より)
花田菜々子(HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGE)
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