第13回 関口竜平さん(本屋 lighthouse)
泣きながらたこ焼きを焼くきみからの言葉をひとつひとつ丸めて 『ちるとしふと』千原こはぎ
たこの入ってないたこ焼きってなんなの?
って、いつかのきみが言っていたのを思い出してしまったから。今夜はきみからもらった言葉をひとつずつ、ぜんぶ入れてみる。たこの代わりに。
たとえば夏。夜の海。あるいは冬。明け方のベッドの上。ふふふ。たくさん入れちゃおう。でも、ついさっき画面越しにもらった四文字は、ちょっとまだ入れたくないな、でもどうしようもなくムカついて仕方がないから、やっぱりちゃんとこの空洞にぶちこんで、わたしの血と肉にしてやるんだ。
わたしはきみを、たべちゃいたいくらいだいすきだったきみを、いま、やっと、たべる。そしてわたしはつよくなる。きれいになる。夢を叶える。いまにみていろ。倍返しだ。だからわたしからの言葉は、
「こうかいしやがれ」
味わってたべてね。
(「ほんのひとさじ」vol.12より)
関口竜平(本屋 lighthouse)
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