第3回 吉田慎司さん(がたんごとん)
東名はどこか寂しい響きだね 別れに向かい僕らは走る 『ナイトフライト』伊波真人
この歌集をお客様には「最高にかっこいい歌集です!」と紹介しています。これは、命を削ぐ様にして作る歌人に対し、あまりに軽い言い方かも知れません。
響きだね、という返事を許さない断定の距離感。別れに向かい速度を上げる共同体としての切なさ。同時にスタイリッシュに都市を慈しむ視点など、魅力を挙げれば無数にありますが、まず伝えたいのは理屈抜きにかっこいい! と思わせる強さです。かっこよさは、僕らの喜びや悲しみを越えて、今より更に美しく潔い生き方を心に刻みます。短歌の悠久の歴史が、現代でも僕らの魂を揺さぶり続ける証明でもあります。
短歌は最高に熱い。あとは、店側がどれだけ伝えられるかに未来が懸かっています。
(「ほんのひとさじ」vol.9より)
吉田慎司(がたんごとん)
歌集の棚から 過去の記事
第2回 竹田信弥さん(双子のライオン堂)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?