第11回 砂川昌広さん(とほん)
拾ったら手紙のようで開いたらあなたのようでもう見れません 『ひとさらい』笹井宏之
僕は眠る前に笹井宏之さんの歌集をパラパラと見ることがあります。
1ページ目から順番に読むのではなく、適当にページを開いて、行ったり来たり。
いつも好きな歌、その夜はやけに気になる歌、見るたびに印象が違う歌。歌集の中では笹井宏之さんのものを一番手に取っています。
そうは言っても、僕はそれほど詩や歌の熱心な読者ではありません。作者の意図を明確に読み取ることも、詩の魅力を十二分に味わっている自信はありません。
けれども、偶然に開いたページにある歌が、驚くほどその時の僕の心に真っ直ぐに伸びてくることがあります。
ふと目にしたものが、まるで僕に向けて放たれたメッセージのように思えて、僕はページを閉じてその言葉についてあれこれ想いを巡らせながら眠りに落ちます。
(「ほんのひとさじ」vol.8より)
砂川昌広(とほん)
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