健康的に生きるだけでは、痩せられない|第3話
41歳の秋。「もう健康的な生活を送るだけでは痩せられない」という悲痛な思いを胸に、糖質制限ダイエットをすることに決めた私(第2話)
翌朝。朝食はいつも、レンジでチンした白いご飯、作り置きのおかず、味噌汁を食べていた。
だが、今日からはご飯抜きである。お腹が空かないよう、おかずを多めに食べる。ついに、メタボ再診の春までに痩せる戦いが始まった。
メタボ部長への宣言
昼食は社員食堂で食べる。いつもメタボ健診に引っかかり、研修の常連となっている、隣の部の部長さん(仮に「梅ちゃん」とする)と一緒だ。
いつもなら、ご飯、おかず、味噌汁をトレーに載せる。だが、今日はおかずと味噌汁だけ。代わりにヘルシーそうな小鉢を追加してみる。
片や「食べ物ぐらい、好きに食べさせろ」が口癖の梅ちゃんは、トレーいっぱいにカロリーの高そうなものを取っている。
さらに、麻婆豆腐にラー油、冷奴には胡麻ドレッシングとラー油、時にはマヨネーズとソースを加えるなど、味をコッテリと変えるのが好みだ。
私は、そんな彼に、
「再診で引っかかるのを避けるため、春までに3キロ痩せます」
と高らかに宣言した。
梅ちゃんは動じず、いつものお昼を食べた後、喫煙所に向かった。
心に引っかかる思い
夜は、肉を焼き、チーズとサラダを添える。ワインも少し飲んだ。ご飯がないことを除けば、ダイエット中じゃないみたいである。
糖質制限ダイエットの1日目を終えた感想は、「思ったよりも簡単」ということだった。
もともと甘いものを控えている私にとって、大きな変化は、炭水化物をとらないことだけ。
食事の内容やカロリーをあまり気にしなくて良い。手間もかからないし、物足りなさも、そんなに感じない。
「これなら、無理なく痩せられるかもしれない」
私はそう思った。
ところが、なぜか心に引っかかりを感じる。
この段階では、その理由がよくわからないでいた。明らかになるのは、少し先のことである。
この時の私は、とにかくダイエットに邁進することを誓った。
42歳のはじまり
冬が過ぎ、春が到来したころ。私は42歳になった。
41歳の秋に始めた糖質制限ダイエットは、無事続けていた。一進一退を繰り返しながら、ほんの少しずつ体重が減っていく。
だが、目標の3キロ減には、なかなか到達しない。1キロ減らすのも大変な体質をつい恨んでしまう。
再びメタボ健診を受ける日が迫っている。ここでも引っかかると、中年太りのおじ様たちと一緒に、メタボ対策の体操をする羽目になる。
焦っているうちに、ゴールデンウィークを迎えた。休み明けには、いよいよ再診である。
つづく
写真:本田織恵
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