見出し画像

変わっていく自分|第7話

早期退職の理由は、神様が教えてくれた
40代独身女性が先を決めずに早期退職したら、不思議な体験をして、自分の使命に気づく話です。書くことになった経緯はこちら

久高島の御嶽で「神様の言葉がわかるようにならないとね」と言われ、呆然とする私(第6話

不思議なツアーから始まった濃密な1日を終え、ふらふらと島の食堂に出かけた。昨晩食べておいしかった、もずくと白身魚の天ぷらを頼む。

すると、今日は白身魚を切らしているらしく、鶏肉の天ぷらが出てきた。何の気なしに口に運ぶ。

だが、次の瞬間、気持ち悪くて吐いてしまった。

お昼に豚の角煮を食べた時は、こんなことはなかったのに。疲れているのだろうか。不思議に思いながら、食堂を後にした。

だが、翌日になっても、肉のにおいが気持ち悪くて仕方がない。自分の嗅覚が変わってしまったような感覚のまま、最終日を迎えた。

歩いていると、島の方に声をかけられた。久高島は初めてで、3泊4日して帰るところだと告げる。

「それは、これからも久高島に通うことになるね」

彼らは驚きの表情で言った。久高島は、神様に呼ばれた人だけが訪れることが出来ると言われる。初訪問で何泊もする人は珍しいのだという。

そんな言葉を背に、私は久高島を後にした。

画像2

東京に戻っても、肉のにおいを強く感じる状態は続いた。人も飲食店も多い分、余計につらい。

通りすがりの人が肉くさくて、気持ち悪くなってしまうこともあった。スーパーの肉売り場や、豚骨ラーメン屋に遭遇すると、走って逃げる。

私はどうなってしまったんだろう。変わっていく自分に戸惑う日々を過ごした。

思えば、久高島へは、自分が会社を辞めることになった理由が知りたくて行った。そうしないと前に進めないと思ったのだ。

その答えは、不思議な体験を通して知らされた。だが、私の想像をはるかに超える内容だった。

「神様事を伝えて、困っている方を助ける」「そのために、神様の言葉がわかるようになる」

この言葉を胸に、一体どう生きていけば良いというのだろう。望んだこととはいえ、何をすれば良いのか、皆目見当がつかない。

前に進むつもりが、足踏みをしている感覚。ひどく苦しかった。

混乱した私は、再び那須へ向かった。以前、インド瞑想3週間の旅に誘われた宿である。静かな環境で気持ちを落ち着かせたかった。

だが、そこでも自分の変化を知ることになる。

ある日。自分の部屋を出ようとしたら、入り口の照明がちかちかと瞬いた。

その時は、電池切れなのかと思い、気に留めずにいた。

ところが、皆がいる部屋へ移動し座ると、部屋中の電気がものすごい勢いで一斉に瞬き出した。驚きのあまり、立ち上がりそうなほどだ。

だが、誰ひとり気づいている人はいなかった。皆、平気な顔をして座っている。

画像2

変わっていく自分を受け止めきれないまま、最終日を迎えた。近くの神社へ散歩に出かける。いつもは誰もいないが、この日はにぎわっていた。

年に一度の太々神楽だ。以前は青年達が40日間、毎日冷水で身を清めて稽古に励み、奉納したと言われる神事。

その様子を写真に撮ってSNSに投稿すると、山伏・佐藤さんからコメントがあった。

「御印(おしるし)が来てるね!」「間違いない」と明るく書いてある。御印とは、神に指名された兆候のことだ。

久高島のことは話していない。それに太々神楽を偶然観たのは私だけではない。不思議に思った。

だが、神様に呼ばれた体験を持つ彼女に洗いざらい話を聞いてもらえば、少しは楽になるかもしれない。私はそう思った。

那須から戻った翌々日、佐藤さんのお宅に伺うことになった。そこで、さらに思いがけないことを言われるのである。

つづく

連載トップはこちら
第6話はこちら | ●第8話はこちら

★お茶会を随時開催しています。ぜひご参加ください!









この記事が参加している募集

一度は行きたいあの場所

フォロワーの皆さまとのお茶代にいたします。ぜひお話ししましょう!