見出し画像

神様へのご挨拶|第8話

【早期退職の理由は、神様が教えてくれた】
毎週日曜日の18:30に公開していた連載。40代独身女性が先を決めずに早期退職したら、不思議な体験をして、自分の使命に気づく話です。書くことになった経緯はこちら

久高島での不思議な体験以来、自分が変わっていくのに戸惑う私(第7話)。

神様に呼ばれた体験を持つ山伏・佐藤さんのご自宅へ伺う。私は堰を切ったように話をした。

久高島で、ツアーガイドの方に、島の神女(かみんちゅ)しか入れない御嶽に案内されたこと。

別の御嶽の前で、突然彼女が息絶え絶えになり、「あなたといると頭がピリピリする」と言われたこと。

最後に「あなたは、神様事を伝えて、困っている方を助ける人になる」と言われたこと。

御嶽の神様に、そのために何をしたら良いか尋ねたら、「神様の言葉が分かるようになりなさい」と言われたこと。

その後、突然お肉が食べられなくなったこと。さらに、他人には見えない電気の瞬きが見えるようになったこと。

消化しきれずにいたことを洗いざらい話した。

佐藤さんはじっと耳を傾けている。そして、

御嶽で『神様の言葉が分かるようになりなさい』と言われて、どう答えたの?」

と聞いてきた。

画像2

私が驚きのあまり立ち去ってしまったと答えると、佐藤さんは言った。

「続きを教えてあげようか」

「海の神様にご挨拶したから、今度は山の神様にご挨拶に行きましょう」

「前から連れて来いって言われてるから」

………
………
………

誰に???
もしかして神様…?

そう思いながらも、なぜか怖くて聞けない。

さらに佐藤さんは言った。

「ガイドさんの頭が痛くなっちゃったのは、香奈子ちゃんといて、許容量を超えたというか、メーターが振り切れちゃったのかもね」

………
………

私は気でも発しているのだろうか…?

衝撃の言葉に呆然としながら帰宅した。お昼に会ったはずなのに、もう日が暮れかけていた。

画像1

山の神様へのご挨拶。それは、彼女が所属する新潟県・八海山尊神社の登拝に参加することを意味する。

山の神々に参拝するために、神職や山伏の方達と一緒に山を登らせていただくのだ。

八海山は険しい山だ。八ツ峰という断崖絶壁がある。鎖や梯子を使わなければ登れない箇所が連続する。通常なら上級者しか登らない山である。

そもそも、山伏が修行する山なのだ。その山を、ヘルメットもつけずに登るのだという。

一方、私は1年前から登山を始めてはいたものの、ハイキングレベルの初心者だ。冷静に考えれば、正気の沙汰ではない。

さすがに参加すると即答はできなかった。

それに私は元来、霊感とは無縁だった。不思議な体験をして、佐藤さんにお墨付きをもらっても、どこか信じられないでいた。

時は4月。インド瞑想3週間の旅で幕を開けた早期退職の休暇期間も、既に半年が過ぎていた。

神様事に向かえる訳ではない。そもそも、どうしたら良いかも分からない。かと言って、就職活動をする気持ちにはとてもなれない。

焦りばかりが募る日々。

翌月、心の軸が定まらない私に悲劇が襲った。

つづく

連載トップはこちら
第7話はこちら | ●第9話はこちら


フォロワーの皆さまとのお茶代にいたします。ぜひお話ししましょう!