神社の向こう側にある世界|明治神宮で禊(みそぎ)の日々 1
私は45歳で突然、謎の声に導かれるように、会社を早期退職した者である。
その後、不思議な体験やさまざまな紆余曲折の末、47歳にして大学で神道を学ぶことになった。詳しい経緯は、以下の連載に書いた通りだ。
だが、「うちは仏教だから」が合言葉の家庭で育ち、神社や神道には人一倍縁がない方だった。
正直なところ、勢いで大学に飛び込んでしまったのである。
そんな初心者も甚だしい私が、入学した年の夏、いきなり明治神宮へ3泊4日の神社実習に向かうこととなった。
「思ったよりも修行だった」
が率直な感想だった4日間。同時に、日本古来の神々への信仰の在り方や奥深さを強く感じることになる。
今回は、その稀有な体験について書いていく。
パワースポットとして取り沙汰されることが多い神社。その違う面、神社の向こう側にある世界について触れたいと思う。
とは言え、「神社実習編」と銘打ったマガジンを作った割に、「神社実習とは何か」について書いたことがない。
ついては、はじめに、一般家庭の出身者が神職になる場合に則して、概要を紹介したい(記載内容は國學院大學の場合です)。
一般家庭の出身者が神職になる方法と神社実習
神職になる方法はいくつかある。だが、一般家庭の出身者の場合は、神職課程のある大学で資格を取り、神社に奉職(就職)するのが一般的だ。
神職課程のある大学は、私が卒業した國學院大學と、三重県伊勢市にある皇學館大学しかない。
資格を取得するには、専門的な授業を受けて、神職課程の単位を修得するだけでなく、神社実習も修了する必要がある。
教員免許を取るのに、教育実習も必要であるのと似ている。
だが、神社実習の場合は一年生から始まる。神社で助勤(アルバイト)を行うのだ。そのため、入学早々に装束を買い、大学で基礎実習を受ける。
二年生から、祭式という神社祭祀の作法を習う授業が始まる。夏になると、満を持して明治神宮の実習に向かうのだ。
一方、私は学士入学で三年生から編入している。結局、助勤の経験がないまま、祭式の授業、明治神宮の実習へと雪崩れ込むことになった。
大学には、神道研修事務課という、神職養成に関する実務を専門に行う部署がある。私も手続きなどで何かとお世話になった。
だが、明治神宮で「事務手続きをしてくださる大学職員の方」とは別の顔を見て驚くことになる。
神社実習の種類
神社実習には、他にも、指定神社で行われる6泊7日の実習がある。全国の神社に数人ずつ分散して実習を受けるのだ。
私の場合は、次の年、京都の下鴨神社に伺った。このときの話も、別途書くつもりである。
これまで紹介した神社実習をまとめると、次のようになる。
指定実習IIIの助勤(アルバイト)は、募集が神道研修事務課前の掲示板に貼り出される。長期も短期もある。
私の場合、平日は仕事、土曜日も授業があったため、長期は難しく、短期でも中々できない。
そこで、三年生(1年目)の冬、一気にポイントを稼ぐべく、年末年始の伊勢神宮で7泊8日の助勤に挑んだ。
この話も別の機会に書きたい(予告ばかりですみません)。
次回から、いよいよ、色々あった明治神宮での神社実習について書いていく。
つづく
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