少子化対策を遅らせたマスコミの大罪
年初早々、岸田首相と小池都知事がそろって「少子化対策」を打ち出した。
異次元の少子化対策など、今年の優先課題 首相が危機感(読売)
小池都知事”18歳までの子どもに月5000円程度の給付検討”表明(NHK)
これら政策の当否とは別に、言いたいことがある。マスコミに対してだ。以前にも言ったが、何度でも言いたい。
日本の少子化はかなり前から明らかだった。少なくとも旧厚生省の内部ではそうだった。
しかし、それに対する警鐘を鳴らすのが遅れた。
なぜなら、どうせマスコミが、
「戦中の『産めよ、殖やせよ』か。戦前回帰だ、ぐんくつだ。女性抑圧だ、差別だ」
と批判するに決まっているからだ。
それを恐れたのが対策が遅れた理由の1つ、と厚生省の役人が言っていた。
そして、実際に少子化が問題だと政府が言うと、案の定、マスコミは「産めよ、殖せよか」と批判した。
なんでも「戦前回帰だ」と批判する、そのマスコミの悪弊が、日本の少子化対策を遅らせたことを、はっきり記憶すべきだと思う。
そしてマスコミは少子化問題を軽視した。
政府が「少子化対策担当大臣」を設けて対策を始めても、マスコミは一貫して冷淡だった。
私はマスコミ現役時代、閑職で暇だったこともあり、少子化大臣主宰のイベントや勉強会には結構行っていたが、取材に来ているのは私だけということがよくあった。だから、記事として出るものは非常に少なかった。
新聞社やテレビ局にやる気がなかった。厚労省クラブの記者が気が向いたら行くというくらいで。オールドメディアは記者クラブ単位で動くから、定型的な問題意識と切り口しかなく、新しい問題に対応できない。
(どこのオールドメディアでも強いのは政治部と社会部だ。政治部は「政局」が生きがいの人、社会部は「世の中けしからん」と言いたい人の集合だ)
結果、マスコミはずっと、少子化などは大した問題ではなく、少子化大臣のような軽い大臣は相手にしない、という態度だった。
そのくせ、厚労大臣の「産む機械」発言大バッシングをはじめ、事あるごとに少子化対策の揚げ足取りだけはやって、妨害しつづけた。
マスコミの切り取りと印象操作を恐れるから、少子化問題に限らず、政治家は本音の問題提起ができず、問題が国民で共有できず、いつまでも核心に切り込めない。
年頭の首相や都知事の発言に、さすがに「産めよ、殖やせよ」を持ち出すマスコミはもういないだろう。
しかし、ここまで来るのに随分と時間がかかり、その間に少子化にさらに拍車がかかった。
それはマスコミのせいである。
今回の発言にも、すぐに政局を絡めたり、茶化したりしている。
いつになったら少子化対策を共に考える姿勢になるのか。
日本で起こる悪いことは、たいがいマスコミのせいである。
今年こそオールドメディアをぶっ壊そう!
<参考>
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