見出し画像

自分の人生は誰のもの?週末映画鑑賞:A World Not Ours(2012)

「ご職業は?」と尋ねられると

「パレスチナの人達とフェアトレードをしています」

と答えることが多い私ですが、ここでいう”パレスチナの人達”は私が関わっている範囲の人達を指しています。

同じ”パレスチナの人達”なら、暮らしぶりは同じようなものなのか?というとそんなことは全くありません。

この映画に記録されたパレスチナの人達は隣国レバノンの難民キャンプに生まれ、そこで育ち、大人になった人達です。

※ネタバレは含みません。

概要

A World Not Ours/2012年/93分
アラビア語(英語字幕を付けられる)
マハディー・フレイフェル監督
13日(水)まで無料公開中

監督のお父さんがカメラ好きでいつもホームビデオを撮っていたことから、監督自身も家族の生活の様子を記録するように。親子3代のルーツである難民キャンプの日常、そこに生きる人々、それぞれの思いを追います。監督自身はドバイに生まれ、その後デンマークに移住、キャンプへは休暇の度に帰り撮影を続けている身として、自身の故郷、所属について思いを馳せます。

※時間軸が前後するのでちょっとその点は分かりにくかったです。
所々巻き戻しをお勧めします。
※背景知識の有無は最重要ではないと思います。それよりも、もっと普遍的なテーマが込められていると感じました。
※途中、動物の屠殺の場面と、刑務所での体験談があります。苦手な方はご注意ください。

所感

語彙力が貧困ですが、「人生」という言葉が鑑賞後の余韻にしっくり来ました。夢や希望でも絶望でもなく、ただそのままを描くことが一番難しいと思うのですが、「レバノンの難民キャンプに生まれたパレスチナの人達の生とそこにある事実」を突きつけられている、そんな映画でした。

監督のインタビューも調べたのですが、

英語/12分(最初の2分は飛ばせます)/字幕なし

このなかで、

何かの政治的立場を代表したかったわけではない。あくまでも個人の人生であり、自分自身の感じたことを表現している。

と言っています。

この映画をパレスチナ全体に普遍的に適用しようとか、そういう類の作品ではなかったです。

だからこそ、自分の人生は誰のもの?という問いが浮かび上がります。

A World Not Oursは、拙くも訳せば私達のものではない世界

世界の真ん中にいる人と周辺化される人がいてこの世界は動いている。

今のところ。

深くて、何度も嚙み締めたくなる映画でした。



===========
架け箸の最新情報は🌸
Facebook
Instagram
HP

===========


架け箸はこれからも継続的にパレスチナを訪れ、日本に出回らない生の情報を発信したいと思っています。いただいたサポートは渡航費用や現地経費に当てさせていただきます。