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国内・海外のランドスケープ事例集

ランドスケープをデザインする際には感性が大事になってきますが、その感性は庭園やランドスケープ作品を巡ることで養われます。

以前、私が通っていた東大農学部の研究室では1週間、京都に泊まり込み10~20個の日本庭園を巡る実習をやっていたそうです。残念ながらその実習は私が学生だった頃には無くなっていましたが、その実習を自分だけで復活させてみようと思い、教授に当時、行っていた庭のリストをもらい、一人で1週間、京都に泊まり、日本庭園を巡る旅をしました。
その頃、私は全く無知で日本庭園の良さを全く分かっていませんでした。実際に見たら何かランドスケープについて理解が深まるのでは、と自分一人でも実習をやってみようと思ったのでした。
最初はそれでもまだよく良さが分かりませんでしたが、5~6個巡るうちに、徐々に、この庭園好きだな、この縁側に座ってみる景色が素敵だな、あの木の手入れが行き届いていて綺麗だな、と庭を見る視点が変わっていくのを感じました。結果的に30個程回った庭園巡りの旅が私のランドスケープ人生を大きく変えました。

ランドスケープ作品を巡る旅はランドスケープを学びたい人にとってとても大事です。この記事では、私が一人だけで行った実習で巡った庭園リストをベースに私が行くことをお勧めする庭園集と、どうやって庭園を見るべきなのかについて書いていきたいと思います。


おすすめの日本庭園

私はまずランドスケープに触れる機会として日本庭園を巡ることをおすすめします。日本庭園は、日本が世界に誇れるランドスケープ文化ですし、もし将来的に留学をしたり、海外で仕事をすることになった際にも日本庭園について語れることは強みになります。日本国内の現代的なランドスケープ作品も日本庭園の考え方がベースにあるものが多数あります。(星野リゾートの庭園など)

下がおすすめの庭園のリストです。
*は特におすすめの場所です。


東京でしたら、
都立九庭園「浜離宮・旧芝離宮・小石川後楽園・旧岩崎邸庭園・向島百花園・清澄庭園・六義園・旧古河庭園・殿ヶ谷戸庭園(*)」、新宿御苑

京都でしたら、
桂離宮、修学院離宮、南禅寺、無鄰菴(*)、建仁寺(*)、圓通寺(*)、西村家庭園(*)、上賀茂神社、下賀茂神社(*)、詩仙堂、鹿苑寺(金閣寺)、慈照寺(銀閣寺)、天龍寺、大河内山荘庭園(*)、二条城、龍安寺(*)、神泉苑、大徳寺龍源院(*)、大徳寺大仙院(*)、妙心寺、東福寺(*)、重森三玲庭園美術館

その他、国内の日本庭園でおすすめなのは
岩手県 平泉町 毛越寺(非常に珍しい平安時代の庭園です) 
石川県 金沢市 兼六園(日本三大名園の一つ。日本最古の噴水があります)
三重県 桑名市 諸戸氏庭園(明治時代の豪商の庭です。庶民の庭は珍しい)
岡山県 岡山市 後楽園(日本三大名園の一つ。芝が美しい)

がおすすめです。

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建仁寺 潮音庭

庭園の見方 ~日本庭園の歴史~

作品を巡る前に誰がいつの時代に作ったのか、どう言う点にこだわったのかを少し調べていくと良いと思います。
特に、日本庭園については時代によって意匠がかなり異なりますが、素人目には少し感じるのが難しいように思います。一冊、庭の歴史に関する本を本屋さん、図書館で手に入れて読んでから行くとより良いと思います。
お急ぎの方は、こちらを読んでもらえたらざっくりした庭園史は抑えられるかと思います。

平安時代
貴族が浄土に行けることをお祈りする場であった浄土庭園

鎌倉時代
僧が自分の禅への考えを表現する場であった書院庭園

江戸時代
武士が自分の威厳を表現する場であった池泉回遊式庭園

明治時代
政治家・有力者が欧米文化と日本文化を融合させた別荘庭園

が主に作られています。
より詳しい歴史や観点について知りたい方は下の本がおすすめです。日本庭園を見る観点がグッと変わってきます。

現代的なランドスケープ作品の探し方

上では伝統的な日本庭園の事例と見方を紹介しましたが、現代的なランドスケープ作品も同様に見て頂きたいです。近年、発表されたランドスケープ作品の多くはマルモ出版のLANDSCAPE DESIGNに掲載されています。また国外の作品は「Landezine」や「ASLA」といった海外のWebページで紹介されています。ぜひご確認ください。また、就職活動について戦略的に考えている方は、自分の行きたい設計事務所のウェブサイトの作品集を見て、そこに載っている作品を巡ると良いと思います。


国内外のランドスケープ事例マップ


ランドスケープアーキテクチャを勉強したい方、ぜひ、作品巡りの旅に出てみて下さい。特に昔の私のようにランドスケープに興味はあるけど、何から始めたら良いのか分からない、緑、空間の良さがいまいちよく分からない、という方、旅をすることから始めてみると良いかもしれません。

最後に、私がこれまでに訪れたことがある・調べたことがある約30カ国、900以上の国内外のランドスケープ・建築・美術関連の事例をまとめたGoogle Mapのリンクを共有する前に、少しだけこちらの記事も含まれているnote本を紹介させて下さい。

現在、建築・都市計画・ランドスケープの学生、社会人の方、またデザイン未経験の方に向けたランドスケープに関する記事を書いており、それらの記事をマガジンにまとめてnote本を作成しております。こちらのマガジンを買って頂くとマガジンに含まれている記事を全て読むことができます。
ランドスケープとは何かという基礎的な内容や、海外留学についてなどを書いておりますので、目次を見てみてください。

こちらのランドスケープを学ぶための本をまとめた記事もおすすめです。


記事あるいはマガジンを購入していただいた方限定になってしまいますが、欧州・豪州・アジアを中心とした約30カ国、900以上の国内外のランドスケープ・建築・美術関連の事例が載っているGoogle Mapのリンクを共有いたします。(今後も更新していくため増えていく予定です。)リンクを開くと読者の方のGoogle Mapにピンが共有される仕様になっているので、旅先で何かランドスケープや建築の事例がないかなと探す際に便利かと思います。ぜひご活用ください。

事例マップは上の画像のように900カ国以上の事例がプロットされています。

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