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短歌メモ

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心に響いた短歌や短歌批評、作歌のヒントなどをまとめました。
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NHK短歌5月号より

NHK短歌5月号より

 NHK短歌5月号掲載の短歌からいくつか紹介したいものがありました。
 まず巻頭秀歌に私の好きな北原白秋の歌が載っていました。

ヒヤシンス薄紫に咲きにけり
  はじめて心ふるひそめし日  (「桐の花」より)

 この歌については、実はこの下の句、初出は「はじめてキスをおぼえそめし日」だったとのことで、それもわるくないのでは?と三枝昴之氏が解説されていましたが、私は「心ふるひそめし日」の方が直接言

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近代人気歌人再発見 〜片山廣子

近代人気歌人再発見 〜片山廣子

NHK短歌4月号「近代人気歌人再発見」で片山廣子が取り上げられていました。

片山廣子という歌人のことを実は全く知らなかったのですが、なかなかのロマンチストのよう。
芥川龍之介との文学上の交流があって、お互いに刺激し合い、尊敬し合う関係ということで、手紙のやりとりなどが残っていて、プラトニックな恋愛関係だったことが伺えるという話に驚きましたが、歌を読んでみると確かにそうだったのではないかと思えまし

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NHK短歌 4月号より 1

NHK短歌 4月号より 1

NHK短歌4月号より、印象に残った部分をここにメモとして残しておきたいと思います。
まだ全体を読み切れていないので、前半部分です。
4月から選者がまた新しい布陣となりました。
選者が変わると、紹介していただける短歌がまた違ってくるので、それも新鮮です。
今回田村元さんは、サラリーマンをしながら短歌を詠む活動を続けて来られている歌人ですので、その点私は共感できるものが多いように思います。

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河野裕子 没後十年特集

河野裕子 没後十年特集

角川短歌2020年8月号「河野裕子没後十年記念特集」を読みました。

河野裕子さんの全歌集についての評を年を追って掲出してあり、河野裕子の人生を知ることができました。

私は河野裕子の短歌と言えば、夫の永田和宏さんに対する恋歌というイメージが強かったのですが、彼女が結婚してからの歌は、母性というか、女性性をテーマにしていることを知りました。
結婚後妊娠して変わっていく自分の身体について歌った歌は、

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作歌のヒント(新版) 〜永田和宏

作歌のヒント(新版) 〜永田和宏

 歌人の永田和宏さんの著書「作歌のヒント 新版」(NHK出版)を読みました。
短歌を作るための心構えのようなことから、修辞や技法に関すること、また歌会で他人の歌を読み込むことの意味などについても言及されていて、とても幅広い内容になっています。

 短歌を作る上で一番大事なのは、永田先生が何度も書かれていたように、「全部を書かないこと」なのだろうと思いました。これは、自分の心の動きを全部説明しようと

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詩のこころを読む 〜茨木のり子

詩のこころを読む 〜茨木のり子

先日読売新聞で梯久美子さんが、
コロナの今読むべき本に茨木のり子さんの「詩のこころを読む」(岩波ジュニア新書)を薦めておられたので、読んでみました。
ジュニア新書だけあって、とても読みやすい本です。
十代の頃にこの本に出会っていたら、もっと思春期の孤独感から解放されていたかもしれないと思う。良書でした。

「生まれて」「恋唄」「生きるじたばた」「峠」「別れ」と、人が生まれて死ぬというライフサイクル

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短歌を再び

短歌を再び

数年前に自分も短歌を詠みたいと思い、始めてみようと思いたった時期がありました。

私にとって短歌は北原白秋に始まり、若山牧水、与謝野晶子と進み、
現代短歌では栗木京子さん、河野裕子さんに衝撃を受けました。

それぞれの歌人の代表作は、ここで紹介するまでもありませんが、、

君かへす 朝の舗石さくさくと
  雪よ 林檎の香のごとくふれ(北原白秋)

観覧車回れよ回れ 思ひ出は
     君には一日我

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