短歌を再び
数年前に自分も短歌を詠みたいと思い、始めてみようと思いたった時期がありました。
私にとって短歌は北原白秋に始まり、若山牧水、与謝野晶子と進み、
現代短歌では栗木京子さん、河野裕子さんに衝撃を受けました。
それぞれの歌人の代表作は、ここで紹介するまでもありませんが、、
君かへす 朝の舗石さくさくと
雪よ 林檎の香のごとくふれ(北原白秋)
観覧車回れよ回れ 思ひ出は
君には一日我には一生(栗木京子)
こちらの下の句の読み方、「きみにはひとひ、われにはひとふ」と読むのも粋。
手をのべてあなたとあなたに触れたきに
息が足りないこの世の息が(河野裕子)
などに心を動かされました。
当時は、短歌は文語体の方が上手く感情が乗るような気がしていましたが、現代の口語体だって、いやむしろその方が新しい世界観が生まれるということも、この数年でわかってきました。東直子さんや穂村弘さんの歌に特にそれを教えられました。
それと同時に、私は現代口語ですら、自分の心の動くさまを景色や五感の揺らぎにのせて読む力が全く備わっていないことに気付きました。
そこで私も少ない文字数で口語体で自分の考えを端的に伝える術を磨きたいと思い、それまで抵抗のあったTwitterを始めてみたり。
ここに来てまた短歌にきちんと向き合ってみようと思ったのは、犬養楓さんの「前線」という歌集を知ったことです。
コロナで色々と整理がつかない感情を、短歌にのせて詠んだ人がいたことは、励みになりました。
というわけで再開の手始めに、2021年2月号NHKテキスト「NHK短歌」を手に取ってみました。
今月号で私が面白かったのは、
◯寺井達哉さん放送回
テーマ:奪う、奪う
鶸のごと青年が銜へし茱萸を
舌にて奪ふさらに奪はむ
(黒瀬珂瀾「黒曜宮」より)
◯テキスト企画「声をよむ。」
川本千栄さん選
ひとはなぜ亡きひとのこゑを憶えゐる
呼ばれればすぐ振りむけるほどに
(河野裕子「歳月」より)
うたづくりヒント 染野太朗さん選
言葉より声が聴きたい
初夏のひかりにさす傘、雨にさす傘
(大森静佳「てのひらを燃やす」より)
などがあります。
大森静佳さんの方は、いつも変わらないものの比喩として使われた「傘」イコール声という構想に脱帽するしかありませんよね。
NHK短歌は添削例が非常に参考になります。
これも勉強したいです。
ひとまず作歌を増やして、投稿してみるところから始めていこうかと思います。
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