ミャンマーを知る⑥ミャンマーの民話「ザウ・ジーとケィ・ミンガラ」❷
この物語は、ビルマ民族の間で語り継がれており、知識と誠実さ、友愛の価値を伝える重要な教訓を含んでいます。
ミャンマーを知る⑤ミャンマーの民話「ザウ・ジーとケィ・ミンガラ」❶
この文化の旅の中で、錬金術師(れんきんじゅつし)という歴史的な科学と医学、宗教、哲学などの領域のことの研究者について調べてみたいと思いました。
【ザウ・ジー(Zawgyee)の存在】
ザウ・ジーはミャンマーの伝説的な賢者で、錬金術師でかなりの極めた力を持っています。
彼は長い修行の末に、多くの人々が求めた不老不死の薬を作り出す力を得ました。
ザウ・ジーの知識は単なる科学や魔法を超えて、人々の心や精神にまで影響を与えるものでした。
彼はその知識を使って人々を助けることを使命としました。
1.錬金術師(れんきんじゅつし)
錬金術師とは、古代および中世の哲学者や科学者で、物質の変換や宇宙の神秘を解明しようとした人物を指します。
彼らの研究は、化学、哲学、魔術、宗教が交錯する独特の領域にありました。
2.錬金術師の目的と追求
賢者の石(Philosopher's Stone)の探求
錬金術師たちは、賢者の石と呼ばれる伝説の物質を探し求めました。この石は、普通の金属を金に変える力を持つと信じられていただけでなく、持ち主に不老不死をもたらすとも考えられていました。
賢者の石の追求は、錬金術の象徴的な目標でした。
霊薬(Elixir of Life)の探求
不老不死や長寿をもたらす霊薬を作り出すことも錬金術師の重要な目標の一つでした。
この霊薬は、病を治し、生命を延ばす力を持つとされました。
元素の変換
錬金術師は、鉛などの卑金属を金や銀などの貴金属に変えることができると信じていました。これは錬金術の化学的側面であり、実験と理論の両方に基づいて研究が行われました。
3.錬金術の哲学的側面
錬金術は単なる物質の変換にとどまらず、深い哲学的、宗教的な意味を持っていました。
錬金術師たちは、物質の変換を通じて精神の浄化や悟りを追求といいます。
この過程は「大いなる作業(Magnum Opus)」と呼ばれ、物質的な変換と精神的な成長が密接に関連していると考えられていました。
4.錬金術の歴史
錬金術の起源は古代エジプトにさかのぼり、その後ギリシャ、イスラム世界、ヨーロッパへと広がりました。
イスラム世界では、錬金術は高度に発展し、ヨーロッパの錬金術師たちに大きな影響を与えました。
中世ヨーロッパでは、錬金術は学問と魔術が交差する領域として研究され、多くの著名な錬金術師が登場しました。
5.著名な錬金術師
ヘルメス・トリスメギストス(Hermes Trismegistus)
伝説的な錬金術師で、「ヘルメス文書」と呼ばれる古代の錬金術テキストの著者とされています。
パラケルスス(Paracelsus)
ルネサンス期の医師であり、錬金術師。彼は化学を医療に応用し、現代の化学療法の基礎を築きました。
ニコラウス・フラメル(Nicolas Flamel)
中世ヨーロッパの錬金術師で、賢者の石を発見したとされる伝説が残っています。
5.マウン・ティン・アウン氏の解説
民間伝承
第44巻第4号(1933年12月)、pp. 346-354(9ページ)
発行元: Taylor & Francis, Ltd.
錬金術と錬金術師に関する信仰は今日でもビルマ全土に広まっていますが、ヨーロッパの著述家がこのテーマに触れたことはほとんどありません。
ビルマ人の信仰と習慣に関する標準的な著作であるJ.スコット卿の『ビルマ人』にはビルマの錬金術に関する情報はなく、G.H.ルース教授、ペー・マウン・ティン教授、G.E.ハーヴェイ氏などの学識ある学者もこの信仰について詳述していないとされています。
ティン教授とルース教授は『ガラス宮殿年代記』で、成功した錬金術師を意味するビルマ語「zawgyee」を「fakir」と翻訳し、ハーヴェイ氏は『ビルマの歴史』で、この用語を「魔術師」と翻訳しています。
しかし、「zawgyee」はインドのfakirとはほとんど共通点がなく、単なる魔術師以上の存在です。
「Zawgyee」はインドの「Yogi」という言葉の派生語ですが、ビルマの錬金術師はインドの修行僧とは関係がないという学説があります。
これは、パーリ語や仏教、半仏教に由来する名前が、既に存在していた土着の考えに当てはめられた例に過ぎなあとして論説しています。
男性(女性ではない)は、水銀や鉄の調合物を用いた金属に関する長く骨の折れる実験の後に得られる適切な金属化合物を体内に取り入れると「ザウギィ」になるとされます。
前者の場合、彼は「水銀を使ったザウギィ」になり、後者の場合、彼は「鉄を使ったザウギィ」になるといいます。
6.現代への影響
錬金術は、現代の化学や薬学の発展に影響を与えました。また、錬金術の象徴や哲学は、文学や芸術、心理学(特にユング心理学)にも影響を及ぼしています。
錬金術師の物語や彼らの追求した夢と目標は、科学と哲学の交差点での人間の探求心を象徴しています。
ミャンマーのザウ・ジーの物語も、こうした錬金術の伝統を背景にしており、知識と誠実さの重要性を伝えるものであります。
参考文献
* Aung, Maung Htin. “Alchemy and Alchemists in Burma.” Folklore, vol. 44, no. 4, 1933, pp. 346–54. JSTOR,
http://www.jstor.org/stable/1256004.
* Alchetron. "Mythical creatures in Burmese folklore."
https://alchetron.com/Mythical-creatures-in-Burmese-folklore.
* OverDrive. "FOLKLORE AND FAIRY TALES FROM BURMA--21 Old Burmese Folk and Fairy tales."
https://www.overdrive.com/media/3398270/folklore-and-fairy-tales-from-burma-21-old-burmese-folk-and-fairy-tales.
まだまだ、私自身も身近に感じるまで、この民話の旅は、続けていきたいと思います。
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