ベトナム人の海外労働の動向について-93-韓国⑬

1.韓国でのベトナム人の労働問題とその解決策

韓国では、ベトナム人の海外労働者が失踪する、という問題が大きな課題となっています。これに対して、韓国とベトナムの両国は、この問題を解決するための対策を考えて、実行してきました。

2.新たな労働者確保のための対策

韓国は、新たな対策として、農業や漁業などの分野で働く短期の季節労働者の確保を図っています。そのために、就労期間を8ヶ月に延長し、労働者の年齢を、30歳以上55歳まで、と引き上げました。

さらに、この農業や漁業などの分野については、ベトナムと韓国の地方自治体間で非営利の協力プログラムを行っています。このプログラムでは、民間企業を介在させず、労働者が忠実に働いていれば毎年連続して韓国で働くことができます。また、韓国の地方自治体から往復航空券の一部を補助するという情報もあります。これにより、短期の季節労働者が、全額、自己負担することなく、安心して働くことができるのではないかと、私は、注目しています。

3.E8ビザの一時労働者の滞在期間延長

韓国は、E8ビザの一時労働者が滞在期間を延長できるようにしました。これにより、入国日から計算して総滞在期間が8ヶ月を超えないようになりました。これは、以前の5ヶ月の規定からの大きな変更です。この改正は、韓国で働いている一時労働者にも適用されます。これは、失踪対策のためでもあると思います。

4.一時労働の対象となる人々

一時労働は、ベトナムと韓国の地方自治体間の非営利の協力プログラムであり、企業にはこのプログラムに基づいて海外で働く労働者を送り出す活動を行わせません。韓国での一時労働は、30歳から55歳の労働者、長期滞在者、完全な民事行為能力を持つ人、犯罪歴がなく、法律により出国禁止または出国延期の対象でない人、海外で働くための健康状態を持つ人、農業や漁業などの分野で働いている人に適用されます。

5.労働者への待遇

このプログラムにより、労働者は韓国の年間最低賃金に基づいて給与を受け取ります。2023年の一時労働者の給与は月額2,010,580ウォンで、これは約3600万ドン、日本円で約224,000 円に相当します。おそらく、残業代が別だと思います。また、労働者は、労働時間、休息時間、労働条件、食事、住居、生活、保険、医療費などの規定に基づいて各種待遇を受けることができ、韓国の地方自治体から往復航空券の一部を補助されます。

6.労働者の責任

労働者は、送り出し地方自治体の指導と滞在国の法律を遵守する責任があります。特に、海外での労働契約を終了した直後には、帰国することが求められます。

7.一時労働の継続的な実施

2022年4月27日の政府決議第59号に基づき、2022年1月1日から5年間、ベトナムの労働者を韓国で一時的に働かせる試験的なプログラムが引き続き実施されます。各地方自治体または権限を委譲された機関が韓国で一時労働を行う労働者を送り出すための協力協定を交換し、署名します。

8.一時労働者の最長滞在期間とその影響

以前は、韓国でE8ビザにより一時労働を行っていた労働者の最長滞在期間は5ヶ月でした。しかし、新たなプログラムでは、一時労働者が忠実に働いていれば、毎年連続して韓国に招待され、派遣されることが可能になりました。これにより、労働者は安定した働き口を得ることができます。

この新たな制度は、労働者だけでなく、韓国とベトナムの両国にとっても大きなメリットをもたらします。労働者はより長い期間、安定して働くことができ、生活を安定させることが可能になります。また、韓国は必要な労働力を確保することができ、ベトナムは国民の雇用機会を増やすことができます。

さらに、この制度は、労働者が毎年韓国に戻ってくることを奨励しています。これにより、労働者は韓国の文化や言語により深く触れる機会を得ることができ、両国間の理解と友好関係を深めることにも寄与します。

このように、一時労働者の滞在期間の延長は、労働者自身、そして韓国とベトナムの両国にとって、多くの利点をもたらすことが期待されています。

9.また、次回以降、韓国の動向をみていきます

韓国の外国人海外労働者の受け入れは、歴史的な経過から、国家、政府の主導で行われる国策が、特徴的であり、日本とは、そこが、スピードの差となって表れています。その差があるため、隣国であり、ベトナム人から、海外就労先国として、人気がある韓国の動向に、私は、着目しています。

お読みいただいて、本当に、ありがとうございます。
7月も、とてもお世話になりました。
ありがとうございました。

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