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メンタルヘルスと生産性の関係とは?なぜ今、企業に『外部相談窓口』が必須なのか?

『誰にも相談できずモヤモヤしている』『家族にも友人にも同僚にも話せない』『状況が変わるわけではないけど、誰かに聴いてほしい』というような悩み。
日々仕事をしながらも、一人きりで抱え込んでしまい負の感情から抜け出せず苦しんでいる方もいらっしゃるだろうと思います。

『そんな心の声をもし誰かが寄り添って聴いてくれたら』『短時間でも日々の緊張から解放されて弱音を吐ける機会があったら』、少しだけ肩の荷が下りて心が楽になったり、少しだけ前を向いて生きていこうと思えたりするのではないでしょうか。

2022年4月から、外部の相談窓口設置をしている企業が少しずつ増えてきています。
理由は「パワハラ防止法」の施行により、相談窓口の設置が義務付けされたからです。パワハラ対策として社内でも社外でもいいので、相談窓口の設置をしなければならないのですが、社内に設置してもうまく機能しない(専門性がない、うまく対応できない、そもそも相談しにくい)ことにより、外部の相談窓口を選ぶ企業が多いようです。
確かに相談をする側にとってみれば、仕事やプライベートの悩みを社内の人に打ち明けるのは気が引けたり、社内の利害関係を気にして相談をためらってしまうのだろうと思います。
また、相談を受ける側の人事部内でも時間的負担や精神的負担が増大して疲弊してしまう、という面もあるようです。

ただ、もし外部の相談窓口を設置するのであれば、従業員の福利厚生として最大限に意味があるものか?ひいてはメンタルヘルス不調者を予防できるような有益性の高い窓口かどうか?が見極めるポイントだと言えます。
せっかくコストをかけて設置するのであれば、従業員が継続して利用しやすく、名ばかりの相談窓口ではなく、しっかりと機能するものにしたいですよね。


対面重視の外部相談窓口とは

弊社で重視しているのは、『対面での相談』です。それは電話やメールでの相談対応を否定しているわけではなく、従業員の方の選択肢を増やしたいと考えているからです。電話やメールでの相談窓口は安価で導入が可能だったりするので、そのようなサービスを導入しながら、より深い悩みに対応するために別途、対面での相談窓口を活用することを勧めています。

『対面ならではの良さ』とは?

  • 面談時の情報量が段違いで多い(目線や表情、リアルな温度感、服装など)ことから、相談者への対応が数段深くなる

  • そこに行けば相談できる』『あの人に相談できる』という安心感に繋がり、相談への後押しになる

  • よりリアルなコミュニケ―ションが可能になることで、信頼関係を築きやすい

  • 継続した関係性が築かれることで、定期的に通いやすくなり早期の不調サインにも気付きやすい

もちろんオンラインでも電話やメール以上の情報を得ることができますが、課題も多く対面にはかないません。
オンラインの問題は『目が合わない』『ネット環境やPCのスペックによって会話のテンポが狂う』『マイクやイヤホンが不十分で情報を拾えないことがあり得る』ということです。
私の経験では多くの相談内容に対してはオンラインで対応可能です。ただし、中には対面でないと拾い切れなかったという相談もあり、それらを取りこぼさないためにも対面がベストだと感じます。

活用の仕方

例えば、地方都市などでは毎月オンラインにしつつ、年に2〜3回程度は対面を取り入れるのも良いのではないでしょうか。
オンラインと対面を上手く織り交ぜて、多くの人の悩みに応えられる体制を整えるのがベストです。
弊社のお客様でも、『本社では対面の相談窓口・地方の支店ではオンライン+年に数回対面の相談窓口』として活用されている企業様が多くいらっしゃいます。

相談を受ける上で必要なスキルとは

必要とされる「2つの視点」

弊社では「2つの視点」を意識して日々相談を受けています。
1つ目は『相談者個人の悩みや不安、苦しみに寄り添っていく』という個人フォローの視点。2つ目は『業務に起因する悩みの場合、本質的な課題はどこにあるのか』を探っていくコンサルティング的視点です。
個人の悩みに寄り添うことは必要条件ですが、もし組織に課題がある場合、その根源は何かを探り、改善策を考察するスキルも必要不可欠です。
『現場で起きている小さな課題』を『組織全体』からより深くより細密に紐解くためには、当然『労働法』『人事制度の仕組み』『職権』『職責』などの労務知識も必要とされます。
また、そのような労務知識は各種ハラスメントの早期発見にも役立ち、問題が大きくなる前に適切な対策を取ることもできます。

悩みを解決しない??相談対応の在り方

「何でも相談にのります」という話をすると、「解決できない相談を受けた場合はどうされるんですか?」と聞かれることがたまにあります。
おそらくそれは『職場で部下から相談を受けたら、なんとか解決してあげよう』という上司の責任感と優しさからくる言葉だと考えられます。
しかし驚くことに、年間数百名の方の相談を受けていますが、悩みの解決を求めている人は実は多くありません。
不思議に思うかもしれませんが、『誰にも言えない悩み』『モヤモヤとしている気持ち』を同じ温度で聞いてくれるだけで、相談者の心の負担は大きく軽減していくのです。
『悩みは解決するもの』と考えがちですが、『何とか相談者の力になりたい』という一心で、達観したような言葉を投げかけられる方が辛く感じる方もいらっしゃいます。「分かった」ような気になることは禁物で、逆効果になってしまう場合もあるので要注意です。
弊社の相談窓口でも『相手のありのままを受け止め、共感する』ことに徹しています。その方の境遇、価値観、苦心していることなどを否定せずに、ただただ理解しようという気持ちを大切にしています。
まずは相談者が自分の気持ちを言語化し、ありのままを吐き出すことで、自分の感情を整理することにも繋がります。また自分自身を俯瞰して見つめ直すことで、これまでとは違う捉え方ができるキッカケにもなります。

もちろん相談内容が労働環境に問題があるものであれば、(※匿名にするかどうかなど本人に確認を取った上で)人事の方へ環境改善を促す提案を行います。やはり上司に直接言いにくい悩みは、利害関係のない相手だからこそ打ち明けてくれるのだろうと感じます。
中には上司側も『部下がそんなに悩んでいたなんて気付かなかった』ということが多々あり、状況が改善された後には上司部下の両者から感謝されたりもします。
また、弊社で対応できない場合には別の専門家に繋げて対応していただくこともあります。他のプロフェッショナルな方と連携することで、いち早い解決に繋がるので相談者にとってもベストだと思います。

メンタルヘルスと生産性?

アメリカではメンタルヘルスと生産性の関係性の研究が盛んに行われていますが、『モヤモヤが生産性を下げる』という研究データも出ているようです。
弊社では、新入社員から定年後再雇用された方まで幅広く相談を受けていますが、家族についての悩みを相談される方も多くいらっしゃいます。
例えば、『配偶者がうつ病になりその対応で心身が疲弊してしまっていること』『子供が不登校になったことで家族関係がうまくいかなくなってきたこと』などです。
このような悩みは会社の同僚にも相談しにくいだろうと思います。社外の友人に話せたらいいのですが、それもなかなか出来ないという方も多くいらっしゃいます。
そのように、モヤモヤを自分一人で抱え込んでいる状態では、当然仕事で良いパフォーマンスを出すことはできません
業務が思うように進まなかったり、同僚に対しても心の余裕がなくなり、いつもよりキツイ言葉が出てしまうこともあるでしょう。そしてそれらの自身の行動を振り返り、さらに自己嫌悪に陥ってしまうのです。そうなると、自力で負のループから抜け出すことがますます難しくなってしまいます。

『メンタルヘルスを整える場を提供するために』『より生産性の高い働き方ができるように』、従業員にとっても会社にとっても外部の相談窓口は、必要というよりも必須だと思っています。

福利厚生サービスとして、電話やメール、チャットで相談できる窓口を活用している企業もあるかと思いますが、そこに+αで対面で相談できる窓口を備えることで従業員満足度と安心感は更に向上するでしょう。
モヤモヤした気持ちが軽減し、気持ちを切り替えて目の前の仕事に集中することができれば、従業員と会社の双方にとって最適な状態だと言えます。

外部相談窓口設置によって『メンタルによる休職者がゼロ』になった例

因果関係を断定することは難しいのですが、お客様の会社の中で、対面型の外部相談窓口を設置したことで、5年程度の経過はあるものの『メンタルヘルス不調者による休職者がゼロ』になった企業があります。
相談対応開始時は相談件数も数件程度だったのですが、今では予約枠をオーバーして相談依頼があるほど、社内で浸透しているのが伝わります。

外部相談窓口を設置したことによる効果としては、

  • 顔の見える相談窓口を気軽に活用できるようになり、一人で悩むことが少なくなった

  • 人事部などを通さずに相談ができるため、相談のハードルが下がった

  • (弊社が)ストレスチェックの実施者でもあるため、ストレスチェックの定量分析と、日ごろの相談内容による定性分析とを掛け合わせることで、より職場の課題の解像度が高くなった

  • 会社のメンタルヘルスの意識が高まることで、外部相談窓口以外の施策も打てるようになってくる

このような効果が複層的に影響しあい、結果として数百名規模の会社でも『メンタルヘルス不調者による休職者ゼロ』を達成することができたのです。
現にメンタルヘルス不調者による休職者が多い会社は、施策の第一手として対面による外部相談窓口を活用してみてもいいかもしれません。
窓口を設置することでコンプライアンスを重視した環境整備を行っているメッセージにもなり、その施策をキッカケに社内の意識や空気感が徐々に変わったりもするからです。

外部相談窓口導入のイメージ

相談窓口を導入する場合には、次のことを決めていきます。

  • 定期訪問する日程の確定(毎月第〇△曜日の〇時~〇時)

  • 面談する場所の確保(プライバシー確保のため会議室を確保してもらうことが多いです)

  • 定期訪問時間からはみ出した場合の対応について(webで相談者と調整して面談することが多いです)

  • 費用

  • 社内周知方法(弊社で社内周知用のポスターを作成しPDFで納付します)

  • 予約システムの周知方法

これらのことを初回打合せで話し合っていきます。
約1か月でポスター作製から予約システムの登録なども完了しますので、2か月目から導入が可能になります。
予約システムはweb上で面談予約ができるシステムで、従業員の方が空き枠を選んで予約をしていきます。人事部など会社の方には分からない仕組みになっています。

『最近メンタル不調者が増えてきたな』『ギスギスしている職場風土をどうにかしたい』など対応を悩まれている企業があれば、外部相談窓口の設置を検討してみてはいかがでしょうか?

※北海道から沖縄まで全国対応しています。また別途相談が必要ですが、海外駐在地も可能です。ご希望の条件などがあれば、お気軽にご相談ください。


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▼Juvenalis株式会社
代表取締役 一木 信輔
社会保険労務士/精神保健福祉士/人事コンサルタント/Notionアンバサダー
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