見出し画像

何の役にも立ちません!

「あなたの研究で成果が出たとき、その成果はどんなインパクトを与えますか?」

これは卒業論文発表での質問ではなく、その後のとある研究会でのポスター発表での質問でした。

その研究会で私が書き上げた卒業論文の内容の一部を発表しました。

その発表を通して、私の卒業研究にはどんな「価値」があるのかを学んだため、ぜひこの場で書かせてください。

その質問の意図

質問してくださった方はおそらく審査の方で、この質問の意図として

「この人はちゃんと自分の研究の意味・価値というものをわかっているか?」

を見極めるためのものだと私は思いました。

その方は学術的な研究の内容を深く追求したいのではなく、私自身がどういうモチベーションで研究をやっているかを知りたいのだろうと。

これは後述する私の所属する研究室の教授との議論でも同じように結論づきました。

その時の私の解答

そして、私は質問内容の「インパクト」産業的にどう役に立つかのインパクトだと判断しました。

なので、自分なりの言葉でこの研究がどう社会の役に立つのか話しました。

しかし、質問した方はあまりしっくり来ているようには見えず、もやもやする形で質疑応答が終わってしまいました。

正しいことは言っていると思ったので、私自身もどこがしっくりこない回答だったのかすぐにはわかりませんでした。

教授に相談してみた

もやもやしたので、そのままこれまでのことをそのまま相談してみました。

どう答えるのが正解だったのかと。

すると、教授からの回答は

「まず君の回答は正しい」

確かに私の研究は先の先まで見れば産業的に役立つ部分はあると想定はできるものです。

しかし、それは確立されたものではなく、話し言葉ではインパクトが伝わりずらい内容でした。

教授はそのまま続けて

「ただ、我々の研究室の取り組んでいる研究は産業的にほとんど"役に立たないもの"なんだよね」
「だから僕は「この研究が成果を出しても何も役に立ちません」と答えるよ」

役に立たないというのが答えとして成立するのかと疑問には思ったのですが、もちろん教授は

「産業的には役に立たないけれども、学術的に意味のある物理を追っている研究ですと答える手もあるよ」

とおっしゃってくれました。

私の研究の価値

教授は2つの選択肢をくれました。

・私が実際に答えたように産業としてどう役に立つかを述べること。
産業的に役に立たないとはっきり述べたうえで、学術的な物理を追った研究であると述べること。

私は後者の「役に立たない」という回答こそが、私の研究の本当の価値だと考え直しました。

学術的な物理を追う。

私は研究というものは必ず何か社会的な価値があると思っていました。

しかし、物理学はそれだけではありません。

純粋な問題・疑問があってそれをいろんな切り口で解決していく。
たとえそれが社会的に役に立つのには遠い存在であっても、学術的に価値があり追求することも立派な研究なのだと。

私の卒業論文

私の卒業研究は産業的に役に立つものではありません。

学術的に物理を追求している研究をまとめた論文です。

卒業論文を書き終えたあとですが、私の卒業論文の価値がどんなものか理解することができました。

今後より一層、自身の研究の励みとしたいと思います。








#わたしの卒業論文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?