村瀬香奈子さん「幸せを感じる自分になりましょう」と伝えたい
noteで人気のクリエイター・村瀬香奈子さん。連載『42歳、新しい自分になりたくて』は、瞑想やアーユルヴェーダなどの体験記です。ご自身の心と体に起きたドラマティックな変化が、とてもわかりやすく、細やかに記されています。
香奈子さんは超越瞑想(TM)を10年近く続けているベテラン。TMやアーユルヴェーダについて知りたい方に、ぜひおすすめしたいエッセイです。
自分を整えることの重要性
──『42歳、新しい自分になりたくて』を書こうと思った理由を教えてください。
香奈子さん:noteに一番最初に書いた連載が『早期退職の理由は、神様が教えてくれた』でした。大企業の課長だった独身の私が、45歳で突然、会社を早期退職した話です。不思議な体験の末、神道を学ぶため、47歳で國學院大学に入学するまでを書きました。
我ながらドラマティックな内容だし、当初はそこで終わった方が美しいと考えていました。次は神道のことや大学時代の話を書きたいという思いもありましたし。でも、この連載だけで終わってしまうと、「どうして急に会社を辞めちゃったんだろう」という疑問に答え切れていないと思うようになったんです。
早期退職に至る前に、「このままでは嫌だ」「新しい自分になりたい」ともがいた日々があったこと。その中で瞑想やアーユルヴェーダに出会い、私を変える大きな力となったこと。
その日々の話を書くことで、かつての私のように悩んでいる方の助けになるかもしれない。そう考えるようになりました。
会社を辞めるに至ったのは、やはり瞑想が大きかったと思っているので、効果を伝えたい!と思ったんです。瞑想は、ただ心を鎮めるだけのものではないということを。同じような思いをお持ちの方に、「自分を整える」ということの重要性を伝えたかったんですね。
──とてもたくさんの記事を無料で公開していらっしゃいますね。
香奈子さん:一人でも多くの人に知らせたい気持ちがあって。それで無料にしています。
──文章はもともと書かれていたんですか。
香奈子さん:仕事がずっとプロモーションだったり、広報だったりして、会社のホームページの原稿を書くとか、プレスリリースを書くとかっていうことはしてきました。「趣味で小説を書いていました」みたいなのはないですね。
──たしかに、製品の説明くらいわかりやすくて、落ち着いた文章です。
香奈子さん:スピリチュアルなことに関心のない人にも読める文章を心がけています。かつての私のような、「一見恵まれているけど、何かがちがう」と思っている人に伝えたいですね。
──それでいて、続きを読みたくなるような構成はエンターテイメント的でもありますね。
香奈子さん:そこは正直、自分ではよくわからないんです。(笑)
瞑想すると自分に嘘がつけなくなる
ーそれは意外です。この連載を読んで、実際にTMを始めた方が何人もいらっしゃるそうですね。
香奈子さん:はい。先日、「村瀬さんのnoteを読んで習いに来た、という方がいらっしゃった」と教師の方から聞いて、驚きました。他にもフォロワーの方だったり、「昔TMをしていたけれど、20年ブランクがあった」という方が、私の記事をきっかけに再開した、というお話も聞きました。ただ、「TMをしても村瀬さんのような劇的な変化はなかった」と言われたことがあって、確かにそう見えるかもしれないとは思います。
──TMの効果が、いつどのような形で現れるかは人によって異なりますので、比較するものではないですね。
香奈子さん:やっぱり瞑想の一番の効果というのは「自分に嘘がつけなくなる」ということだと思うんです。私の場合は、『本来の自分』を生きるためにドラマティックなことが起こる必要があった。それは、瞑想をはじめる前の自分と『本来の自分』の間にすごくギャップがあったからだと思うんです。でも元々ギャップがそれほどない人には、恐らくあまりドラマティックなことは起こらないですよね。
──おっしゃる通りです。TM中に体験する「超越」の状態は、『本来の自分』を体験することなので。
香奈子さん:なるべくスピリチュアルではない言葉で、『本来の自分』というものを伝えたいと思うのですが、むずかしいですね。私は瞑想はある意味ラディカルなものだと思っています。『本来の自分』を生きていないと、ダイレクトに変化させられると言うのか(笑)
「苦手な人が愛おしくなる世界へ」
──そうですね。ムードメイキングではない、直接的な体験なんですよね。そういった意味で、この連載は、すでにTMをしている方の共感を呼ぶものだとも思うんです。たとえば、指導を受けた翌日に会社でTMをしてすごくスッキリした、というエピソードとか、TMの合宿で、皆とつながっているように感じたエピソードとか…。
香奈子さん:ありましたね。グループ瞑想のように、みんなで瞑想するために集まっている環境のほうが、自宅でひとりで瞑想しているよりも、さらに気持ちよくできますね。うまく説明できないのですが、そこに集まった人たちと過ごしている感じも、瞑想されていない人とはちょっと違うんですよね。「あなたと私は一緒だね…!」(笑)みたいな感じ。
──あと、私が特に好きなのは、パンチャカルマ(アーユルヴェーダの浄化法)を受けたとき、会社の同僚を愛おしく感じたというエピソードなんです。
香奈子さん:そうですね。あれは私にとっても忘れられない体験です。本当に「LOVE!」という感じでした(笑)食事療法が終わったら、少し元に戻っちゃったんですが。
でも、完全には戻らないんですよ。一度『至福』の状態の自分を知ってしまうと、それまでの、「あの人嫌い!」みたいな自分には戻れなくなる。「同じ状況でも自分側が変わると捉え方が変わる」というのを、すごく物理的に体験しました。
神道とTM、その共通性
──現在は「神道で幸せになる」をテーマに執筆をされていますが、出身大学は東京女子大学だそうですね。在学中はキリスト教について学ばれたのですか。
香奈子さん:大学はプロテスタントで、キリスト教学は必修でした。牧師の先生から、聖書について学びました。専攻は社会学科です。宗教的なものには興味があったんですけど、信者として宗教に関わりたいとか、キリスト教のことをすごく知りたかったというよりは、社会と宗教の関係に興味があったんです。結局、宗教社会学は國學院大学に入ってから学ぶことができました。
──神道と、TMの由来であるヴェーダ(インド発祥の古代の知識体系)との間で何か共通する点を感じることはありますか。
香奈子さん:神道は、古来から続く日本の精神文化そのものであると思います。神という目に見えない存在を信仰する点では宗教と言えますが、そこに留まらない面がある。
神道では、人は神の御分霊(わけみたま)をいただいて、この世に生まれ落ちていると言われます。それは「人間の中に神性がある」ということを認めているのだと、私は考えています。TMの言葉で言えば『本来の自分』=『真我』の存在を認めている。そこに共通性があると思っています。
──あとがきでも触れていらっしゃいましたね。では最後に、これから新しい自分になりたい方に、メッセージをいただけますか。
香奈子さん:たとえば、「好きなことを仕事にしたい」とか、何でも良いんですけど、今より良い状況を得ようとして何か魔法のようなものを探すよりも、同じ状況をどう捉えられる自分になるのかが大切なんじゃないかと思うんです。「幸せを感じる自分になる」ということが大切だと思うし、それが新しい自分になる一番の近道。これからも、そのことを伝えたいと思っています。