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久保憲司さん「大好きなビートルズが学んだ瞑想を僕もやってみたいと思った」

ロック・フォトグラファー/ライターの久保憲司さん。「大好きなビートルズと同じ瞑想をやってみたい!」という思いから、2023年に超越瞑想(TM)を学ばれました。幼少から現在に至るまで、ピュアにロックを愛する久保さんに、瞑想を始めて思うことや、4月に開催されるトークショーについてお話をうかがいました。

生まれた時から聴いていたビートルズ

──ご著書『ロックの神様』(マーブルトロン刊)はタイトル通り「音楽と神性」がテーマになっていますね。音楽の体験、特にライブの体験を通して日常生活をより良くしたい、という趣旨のことが書かれていたのが興味深かったです。

僕が音楽が好きなのは、なんか神というか、そんなものと一緒になれるような気が一瞬、あったりするからだ。

『ロックの神様』(マーブルトロン刊)

また、ビートルズの章では「生まれた時からビートルズを聴いてる」とありましたが、それはどのような状況だったのですか。

久保さん:10歳くらい年上の叔父さんがいて、同じ家に住んでたんですけど、ビートルズのレコードを全部持ってたんですよ。それで、その叔父さんのコレクションを、「触るな」って言われながらもずっと聴いてたんです。デイヴ・クラーク・ファイヴとかもあったけど、ビートルズが一番カッコよかったですね。

──それで生まれた時からビートルズを聴いていたんですね。

久保さん:自分で最初に買ったレコードは赤盤・青盤(『ザ・ビートルズ 1962年~1966年』『ザ・ビートルズ 1967年~1970年』)です。シングルA面B面が全部入っていて、小学生だったから「これがお得や!」みたいな感じで。僕は子供の頃からサイケな時期のが好きなんです。『ラバー・ソウル』とか『リボルバー』とか。

──レコードを手にされた時に、ジャケットのデザインなど、視覚的な面でも大きな刺激があったのではないですか。

久保さん:家にあった『マジカル・ミステリー・ツアー』はEPの2枚組やったんです。めちゃくちゃカッコいいなあ、と思ってました。ホワイト・アルバム(『ザ・ビートルズ』)もヤバいし、あのリチャード・ハミルトンがデザインしたポスターを部屋に貼ったりしてましたね。

──すごい小学生ですね。あのポスターにはマハリシ[註1]の写真が使われていますね。小さい頃からお部屋の中にマハリシの写真があったということですね。

註1:超越瞑想(TM)を世界に紹介したTMの創始者。ビートルズに瞑想の指導をおこなった。

久保さん:マハリシ、子供の頃から知ってました。当時、桂小金治の『アフタヌーンショー』(テレビ番組)で、ビートルズがインドに行ったという特集をやってましたよ。

自分の心の中を見てみたい

──ビートルズがインドで瞑想したこともリアルタイムでご存知だったんですね。小学生なのに。そして、それから50年近く経って、ビートルズと同じ瞑想を学ばれたのですね。

久保さん:ビートルズが瞑想やってるのに、なんで自分は今までしてなかったのかな、と。旅行にも行ったし、美味しいものも食べたし、次は自分の心の中が見てみたいと思って。それがあんまりいい所じゃなかったとしても。(笑)ポール(マッカートニー)が今でもTMしてるのは知ってたけど、デヴィッド・リンチがやってるっていうのも大きかったですね。「あんな疑い深そうな人がやっているんやったらしっかりしてるんやろな」と。(笑)『セクシー・セディ』はマハリシを批判した曲だと言われてましたけど、最近ではビートルズの取り巻きが噂を流したことがわかっていますよね。TMのことはよくわかっていなかったので、やってよかったなと思ってます。やってみないとわからないですよね。

──50年前は、ビートルズのまわりにいる人のことも、瞑想についても、きっととても情報が少なかったのではないかと思います。実際にTMを始められていかがですか。

久保さん:やっぱり、瞑想してる方がいいのかなと思いますね。僕、原稿書くのが仕事なので、考えがまとまるのが前より早くなったと思います。あと、生活してる中で何一つ問題が起こっていないのはTMのおかげなのかな、と。もしかしたら問題は山積みなのかもしれないけど(笑)、問題を感じない。イライラしないですね。

何万回と弾いているEとAとBというありふれたコード進行に、いまだに興奮させられる。Eをジャーンと弾いたときの六弦の開放弦のロックさ、そしてAでの五弦の開放弦も同じ、そしてBでのコード・チェンジ感。これさえあれば生きていけるという感じだ。この三つのコードですべてを語れるとは言わない。でも何か魔力みたいなものを感じる。そして、そんな音楽に変化をつけようとしたビートルズ。彼らはこの三つのコードに六度マイナーのコード、C#mを足すのです。ポール・マッカートニーも、この発見が次なるステップだったと言っていた。こんなコード進行、今や誰もが知っている法則だけど、これもビートルズの曲に合わせてやっていると涙が出るくらい感動する。

『ロックの神様』(マーブルトロン刊)

──4月に『ビートルズ・ドラッグ・瞑想』というテーマでトークショーを開催されますね。このイベントについてお聞かせいただけますか。

久保さん:自分も瞑想した上で、ビートルズが当時どう思っていたのかを考えたら、もっとビートルズの本質に触れられる、意義のあるトークショーになると思ったんですね。本質に触れたいんです。僕はそうやって音楽を聴いているし、ちょっとでもビートルズの4人に近づきたい。当時何を考えていたのかとか、そういうことを考えるのが楽しい。そういう機会になったらいいのかなと思って。今、K-POPの好きな人やったら韓国語まで勉強するやないですか。そんな感じでビートルズと同じことをしたらビートルズに近づけるんじゃないかと思うんですよ。そんなことしてる人はおらんかもしれんけど。でも、ビートルズがやってたからって「ドラッグやったらええやん」とは言えないじゃないですか。(笑)瞑想は人にすすめられるし、瞑想してビートルズがどう変わったか知ることは意義があると思うんですよ。

瞑想する人が増えたらいいと思う

──そうですね。ビートルズもTMを学ぶ前に記者会見で「ドラッグをやめる」と話していましたね。

久保さん:マハリシの最終的な目標は瞑想で世界平和じゃないですか。それもすばらしいことやと思うし。ビートルズを聴く人が増えて、ビートルズがやってた瞑想をする人が増えたら、世の中ようなるんじゃないかなと思います。日本の若者の4割が希死念慮を持ったことがあるみたいで、そういう人たちにTMを教えていく活動が大事なのかな、と。ゆくゆくはフジロックにTMのブースを出したいです。朝ヨガとかもやってるから瞑想があってもいいですよね。レッチリだってTMやってるんやしね。

超越 ∞ トークショー「ビートルズ・ドラッグ・瞑想」

4月21日(日)新宿 ROCK CAFE LOFT is your room
OPEN 12:00/START 13:00
予約 ¥1,800 /当日 ¥2,300(ドリンク別)
*ニイマリコさんミニライブ&グループ瞑想つき

出演:
久保憲司(写真家/ライター)
ニイマリコ(ミュージシャン)
大谷由美子(TM瞑想インストラクター/ミュージシャン)

ご予約はこちらから↓
https://www.loft-prj.co.jp/schedule/reserve?event_id=274175

久保憲司(くぼ・けんじ)
1964年大阪生まれ。1981年に17歳で単身渡英し、フォトグラファーとしてのキャリアをスタート。国内外の音楽誌を中心にロック・フォトグラファー、ロック・ジャーナリストとして活動。海外から有名DJを数多く招聘するなど、日本のクラブ・ミュージック・シーンの基礎を築くことにも貢献。著書に久保憲司写真集『loaded(ローデッド)』(P-VINE)など。

WEBマガジン『久保憲司のロック・エンサイクロペディア』http://www.targma.jp/rock

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