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美学芸術学→社会学。現代日本の性的節制(オナ禁)で修士論文を書きました。 ほかに、知識…

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美学芸術学→社会学。現代日本の性的節制(オナ禁)で修士論文を書きました。 ほかに、知識社会学、批判的言説分析、デジタル・アートの社会学、時間意識の研究などに興味があります。 基本的に研究関係。

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  • オナ禁論

    修論執筆→『オナ禁論』書き上げまでの作業工程です。関心がある方の情報提供も求む!

最近の記事

人文学関連で必読の「コスパ」名著——ロレイン・ダストン&ピーター・ギャリソン『客観性』

修士論文の提出と審査を無事終え(無事通ったっぽい),少し余裕がある時期だったので,読みたいと思っていたものに手を出した.そこで出会った文献で本当にワクワクさせられたので,それを伝えたいと思い,久々にnoteを使うことにした.こういう研究は本当に憧れるなあ. 紹介するのは,ロレイン・ダストンとピーター・ギャリソンによる『客観性』(2007=2021,瀬戸口明久・岡澤康浩・坂本邦暢・有賀暢迪訳,名古屋大学出版会)である. はじめに今回紹介したいと思った一番の動機でもあるが,こ

    • 『オナ禁論』の道⑥

      序章メモ③まだメモ段階なので、出典等は明記していないものが大半である。もし、仮にオナ禁の研究に関心があるという方がいる場合は、ここに書かれた内容を参考にするのもよいが、まずは自力で資料にあたってみてほしい。 前回「0.1.3 形成過程の概観」の途中までだった。2ちゃんねるのスレッドを例に、オナ禁がどのように形成されていったかを見てきた。 「ルール」と「階級表」に変化が見られること、それに加えて、「効果」という項目が出現し、それがいかにオナ禁において重要な位置を占めるように

      • 『オナ禁論』の道⑤

        昨日の投稿の続き。 序章メモ②(再記)まだメモ段階なので、出典等は明記していないものが大半である。もし、仮にオナ禁の研究に関心があるという方がいる場合は、ここに書かれた内容を参考にするのもよいが、まずは自力で資料にあたってみてほしい。 序章をひとまず「0章」として、0.1節でまず、「オナ禁」が不可解にもこれまで20年間続いてきた現象であることを述べていく。 前回は、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」で出現、流通しはじめた「オナ禁」関連スレッド数を大まかに把握した

        • 『オナ禁論』の道④

          前回から3か月空いてしまった。あっという間に感じるが、その分めちゃくちゃ進んだと感じている。今日から何回かに分けて、作業工程をお伝えしたい。サボってないで実はちゃんとやってるよ!っていうことで。 物理的な進捗(2021年7月27日現在)・文献リストは126⇒145本。今後も随時更新予定 ・現在23⇒?本目まで読了。カウントするのを忘れるくらい読んでいる。 ・分析対象としている資料数は180⇒162。すべてkindle本。 ・現在通読したのは41⇒73。 ・目次、序章、第1章

        人文学関連で必読の「コスパ」名著——ロレイン・ダストン&ピーター・ギャリソン『客観性』

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        • オナ禁論
          7本

        記事

          『オナ禁論』の道③

          いよいよ本文をゴリゴリと書き始める段階に入った。すこし走り出しが遅いな…とにかく気は抜けない日々。 物理的な進捗(2021年4月30日現在)・文献リストは107⇒126本。今後も随時更新予定 ・現在20⇒23本目まで読了。 ・分析対象としている資料数は180⇒180。すべてkindle本。 ・現在通読したのは30⇒41。 ・アウトラインをもとに、目次の作成を行った。  ⇒学振の研究計画書を書いていたら、目次の修正の必要が出てきた ・アウトラインは継続的に逐一加筆・修正してい

          『オナ禁論』の道③

          『オナ禁論』の道②

          できるだけ「書く」という作業を意識的に組みこむためにも、更新の頻度をやや短め(10日~2週間に1回ペース)で進めていこうと思う。 物理的な進捗(2021年4月11日現在)・文献リストは88⇒107本。今後も随時更新予定 ・現在13⇒20本目まで読了。 ・分析対象としている資料数は174⇒180。すべてkindle本。 ・現在通読したのは19⇒30。 ・アウトラインをもとに、目次の作成を行った。 ・アウトラインは継続的に逐一加筆・修正している。 議論の前提をつくるための柔ら

          『オナ禁論』の道②

          『オナ禁論』の道①

          2週間ほど前に、3月末には一度進捗を報告すると宣言したので、第一弾の報告を行いたい。 物理的な進捗・2月26日ころから関連論文・文献をコンスタントに読み始めた。 ・文献リストは88本。今後も随時更新予定 ・現在13本目。 ・分析対象としている資料数は174。すべてkindle本。 ・現在通読したのは19。 ・本文は書いていない。 ・アウトラインは作成しており、逐一書き足している。 以下、修論の本文に書き加えられるようなメモ書きを構成していこうと思う 議論の前提をつくるた

          『オナ禁論』の道①

          修論の進捗報告(短く)

          前回の記事が夏休みのリーディングリストなので、半年以上空いてしまった。 10月くらいまで、修論の方向性をどうするか決め切れない時期が続いた。 しかし、同時期にJamie L. MullaneyのEveryone is NOT Doing It(2006)に出会った。それを読む中で、昨年3月時点に強い関心を感じゼミもその方向で選択した、男性のセクシュアリティをテーマに据えようと考えた。 10月、12月のゼミ報告は完全に軌道をそちらに向けた。 ただ、12月から2月にかけて

          修論の進捗報告(短く)

          8~9月のリスト(危機感)

          またも2か月近く更新があいてしまった。そんなに気にしていないが。 ようやくレポートが終わったので、今月から9月までの間で読み進めていきたい文献(本)をリストアップしておく。 前回春休みのリストを作ったが、この4か月で読むものも少し変わった。それに、研究の方向性が少しずつ見えてくる中で、ジャンルも偏りが出てきている気がする。 まああれこれ言う前にしっかり読んで蓄積していこうと思う。 追記(2024年3月):修論も書き、博士課程に進んでいる状況で、読むべきもののリストもか

          8~9月のリスト(危機感)

          「美学芸術学」は何を研究する分野なのか。【後編】

          前回の続きである。ちょうど今日、卒業確定の通知があったので、4月より無事大学院生として社会学へ「抜け出す」ことができそうである。 前編では、私が2年間だけ所属した「美学芸術学」なる名称の研究室について、  ・「美学」「芸術学」の大雑把な説明  ・これらを繋げた「美学芸術学」が研究対象とするもの を、得てきた僅かな知識と研究室での生活からお伝えしたつもりである。 前編はこちら 読まれた方には「結局、無法地帯なんじゃないですか」という疑念と、「教授は実際何もしていないんじゃ

          「美学芸術学」は何を研究する分野なのか。【後編】

          「美学芸術学」は何を研究する分野なのか。【前編】

          自己紹介を兼ねて、私が2年間と少し、お世話になった「美学芸術学」という領域について、この名前のついた研究室をちょうど抜け出すタイミングなので、書いておきたい。 始めにぶっちゃけて言ってしまうと、この研究室に2年間所属していたからといって、プラトンに始まりアーサー・C・ダントーなど現代の分析美学に至るまでの、人間の知覚や認識に関わる理論を網羅できているわけでは全くない(そんなことが2年間でできたらあらゆる学問を修めることができそうだ)。また、この学問領域自体が、それほどリジッ

          「美学芸術学」は何を研究する分野なのか。【前編】

          【読書ノート】ホルクハイマー、アドルノ『啓蒙の弁証法――哲学的断想』(徳永恂訳、岩波文庫版)―①

          この春休みの期間でなんとか通読したので、今後のためにも部分的に内容をまとめておきたいと思います。他の文献もこのような形で随時シェアしてまいります。時々、加筆・修正が入ると思いますがご了承ください。 本文引用について以下の読書ノートでは、徳永訳(岩波文庫版、2007年)からの引用を行なっている。括弧”()”内に算用数字(0,1,2…)のみ表記してあるものは、基本的にこの文献のページ数に対応している。これ以外の文献から参照等行った際には、括弧内に著者名・出版年・ページ数を併せて

          【読書ノート】ホルクハイマー、アドルノ『啓蒙の弁証法――哲学的断想』(徳永恂訳、岩波文庫版)―①

          【論文紹介】「現代アートとニューメディア:デジタルの分水嶺か、それともハイブリッドな言説か?」(エドワード・A・シャンケン(2016))―②

          前回の続きを掲載します。 前回の内容はこちら。 第3節「ポストメディウムの状況とそれの不満」第3節では芸術とそれを支持する媒体(支持体)との関係をめぐる対立の議論が述べられています。美術批評家ロザリンド・クラウスが名づける「ポストメディウム」の状況においては、媒体固有性の限定されない作品を探究する者たちは「詐称者」と呼ばれます。彼女はクレメント・グリーンバーグの形式主義をある種引き継ぐ形で、「技術的支持体(technical support)」の概念を導入し、その概念を通

          【論文紹介】「現代アートとニューメディア:デジタルの分水嶺か、それともハイブリッドな言説か?」(エドワード・A・シャンケン(2016))―②

          【論文紹介】「現代アートとニューメディア:デジタルの分水嶺か、それともハイブリッドな言説か?」(エドワード・A・シャンケン(2016))―①

          こんにちは。 美学芸術学専修での卒業論文は、日本のIT企業であるチームラボ(teamLab)の制作する「デジタルアート」が喚起した「論争」について、社会学的に分析した結果をまとめました。 その分析に至る前提として、「そもそも伝統的なアート(絵画・彫刻など)と、デジタル技術を用いたアートとの間に、いくつかの点で「断絶」(gap, divergence)がある」ということを指摘していた海外の論考が大変勉強になったので、その要旨をかいつまんで残しておければと思います。 著者につい

          【論文紹介】「現代アートとニューメディア:デジタルの分水嶺か、それともハイブリッドな言説か?」(エドワード・A・シャンケン(2016))―①

          春休みのリーディングリスト

          はじめまして。 3月まで美学芸術学というところで勉強していましたが、4月から同じ大学の大学院で、社会学専攻として再スタートする予定です。 先週卒論の口頭試問が終わって、今週あたまに単位が来ていたことが分かったので、たぶん予定通り春から院進できそうです。 自己紹介等は追々できればと思っています。 さて、私は、今シーズンは完全に文献を読むことに振り切っているのですが、読めば読むほど、関連文献が芋づる式に増えてきてしまうわけで、「積ん読」も無限増殖して、せっかく気になっていたの

          春休みのリーディングリスト