最近の記事
マガジン
記事
【論文紹介】「現代アートとニューメディア:デジタルの分水嶺か、それともハイブリッドな言説か?」(エドワード・A・シャンケン(2016))―②
前回の続きを掲載します。 前回の内容はこちら。 第3節「ポストメディウムの状況とそれの不満」第3節では芸術とそれを支持する媒体(支持体)との関係をめぐる対立の議論が述べられています。美術批評家ロザリンド・クラウスが名づける「ポストメディウム」の状況においては、媒体固有性の限定されない作品を探究する者たちは「詐称者」と呼ばれます。彼女はクレメント・グリーンバーグの形式主義をある種引き継ぐ形で、「技術的支持体(technical support)」の概念を導入し、その概念を通
【論文紹介】「現代アートとニューメディア:デジタルの分水嶺か、それともハイブリッドな言説か?」(エドワード・A・シャンケン(2016))―①
こんにちは。 美学芸術学専修での卒業論文は、日本のIT企業であるチームラボ(teamLab)の制作する「デジタルアート」が喚起した「論争」について、社会学的に分析した結果をまとめました。 その分析に至る前提として、「そもそも伝統的なアート(絵画・彫刻など)と、デジタル技術を用いたアートとの間に、いくつかの点で「断絶」(gap, divergence)がある」ということを指摘していた海外の論考が大変勉強になったので、その要旨をかいつまんで残しておければと思います。 著者につい