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『オナ禁論』の道④

前回から3か月空いてしまった。あっという間に感じるが、その分めちゃくちゃ進んだと感じている。今日から何回かに分けて、作業工程をお伝えしたい。サボってないで実はちゃんとやってるよ!っていうことで。

物理的な進捗(2021年7月27日現在)

・文献リストは126⇒145本。今後も随時更新予定
・現在23⇒?本目まで読了。カウントするのを忘れるくらい読んでいる。
・分析対象としている資料数は180⇒162。すべてkindle本。
・現在通読したのは41⇒73。
・目次、序章、第1章、第2章の執筆を行った。
・全体の構成は(序、終章含めて)8章構成となる予定。


ちなみにオナ禁は、その後78日まで続いたが、それ以降は1週間程度のサイクルになっている(どうでもいい)。

序章メモ①

近日中に、所属研究室でいろいろ見ていただける機会があるのだが、発表時間も限られているため、本文の具体的な内容は大幅にカットせざるを得なかった。

しかし、この間にせっかくいろいろ調べたり解釈を加えたりしたものがあるので、ここにメモとして残しておく。ゼミも夏休みに入ったし、しばらく研究室の方々とコミュニケーションをとれる機会もとりづらくなったので。

以下は、おそらく修論の序章の内容になると思う。

まだメモ段階なので、出典等は明記していないものが大半である。もし、仮にオナ禁の研究に関心があるという方がいる場合は、ここに書かれた内容を参考にするのもよいが、まずは自力で資料にあたってみてほしい。

なお、いきなり「0.1.1」から始まっているのも抜粋メモであるためだ。序章をひとまず「0章」として、0.1節でまず、「オナ禁」が不可解にもこれまで20年間続いてきた現象であることを述べていく。

0.1.1 探索の経緯

・ 手始めに、大宅壮一文庫やNDLオンラインの蔵書検索を行うと、大宅壮一文庫(Web ohya)では2009年から2018年のもので5件、NDLオンラインでは2016年の1件(ライトノベル)がヒットした。

・ 雑誌記事で最も古いものとしてヒットした記事タイトルは「ネット探偵団 あの面白いサイトはこの人が作っている。 オナ禁.com ネットで話題の健康法、「オナ禁」の実態に迫る。 ※オナニーをしないことで肉体・精神的に良い効果が」というものであり、インターネット上で先に「話題」となっていることが明らかである。また、オナ禁が「効果」のある「健康法」として取り上げられていることもわかる。

・ そこで、インターネット検索エンジンGoogleを使用して、インターネット上で最古と思われる記載情報へと遡ってゆき、「オナ禁」という言葉がどのような場で出現・流通し、形成されてきたかを簡単に追うことから作業を開始した。

・ インターネット上で「オナ禁」という言葉が最も早く使われ、流通したのは、管見の限りでは、電子掲示板「2ちゃんねる(現5ちゃんねる)」でのスレッドであり、2000年7月3日のことであった。

・このスレッドは「遅漏対策に欠かすことのできない」ものとしてオナ禁にスポットがあてられており、「遅漏でお悩みの皆さん」「試合前のボクサーさん」「彼氏にオナ禁令を出されているM女さん」が具体的な対象者となっている。また、「股間を刺激するような言葉を無闇に使用してはならない」「無修正画像へのリンクを貼ってはならない」「してしまったら報告せよ」という3つのルールが示されている(注1)。

・このスレッド自体は1週間で書き込みが止まり、継続したものとはならなかったが、これ以降継続的にスレッドが立てられ、参加者による書き込みが続いていくものが同時多発的に現れる。「オナ禁」という言葉は、雑誌メディア等に現われるよりもはるかに早い時期に、電子掲示板をはじめインターネット上で広く用いられていたと考えられる。

0.1.2 量的な把握

まず,2ちゃんねるスレッド数の集計結果(注2)によると,

①レスポンス数が800/1000を超えるスレッド(パートが積み重ねられるなど、継続的なスレッドになることが多い)は「禁オナニーマラソン (注3)」が2000年代前半に中心的であり(ピークは2006年、80件),その後「オナ禁」が増加する.

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図1 「オナ禁」「禁オナニーマラソン」「オナ禁マラソン」のスレッド数(レスポンス数800以上のスレッドのみ抽出)

②「オナ禁」に関しては、レスポンス数の多いスレッドは2000年代末(2008年、353件)がピークであり,それより少ない単発的なスレッドが2010年代に急増し,スレッドの大多数を占めるようになる(4000~6000件/年).

③「オナ禁」のスレッドは2010年代半ばにピークに達し(2014年、6401件),その後は減少傾向となる.

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図2 「オナ禁」のスレッド数(レスポンス数のフィルター有/無)

続きは長いので明日...

明日、「0.1.3 形成過程の概観」を投稿したい。

1 「オナ禁ファイト倶楽部」https://mentai.5ch.net/test/read.cgi/kageki/962563648/ 2021年7月8日アクセス。

2  ここでの集計と、以下の「2ちゃんねるの観察」においては、Satoru.net(https://satoru.net/)の管理者satoru(矢野哲)氏が開発した「かころぐβ」(https://kakolog.jp/)を用いて検索し、過去のスレッドにアクセスした。2ちゃんねるの投稿からの引用は、スレッド名が明らかである場合はそのパート数とレスポンス番号のみで「パートX No.xxx」と表し、明らかでない場合はこれにスレッド名を加えて表す。

3 「禁オナニーマラソン」と「オナ禁」は本当に同じ意味の言葉としてとらえてよいか、という疑問があるかもしれない。しかし、2ちゃんねるにおけるこれら2つの出現時期はほとんど変わらないことと、当初からどちらの言葉でも「掲示板参加者で共に挑戦する」というニュアンスを含んでいることから、相互に互換可能な用語としてとらえて良さそうである。

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