A004_禁止「あれはするな。これもだめ。…もううんざり!もっと自由にしたい!」
【1】あなたはどう反応しますか?
「あれもダメ…これもダメ…あれもするな…これもするな…って…もううんざりだ!!もっと自由にさせてくれたっていいだろ!!」
びっくりしますよね。
面と向かって、こんなことを言われたら。
圧倒されて、混乱してしまいそうです。
混乱の原因は、どう対処すれば良いかが分からないためです。
その結果、混乱したままの反応を示すこととなります。
例えば、
「何言ってるの!ダメなものはダメなんだから仕方ないでしょ!」とか
「ルールなんだから、守るしかないでしょ。子どもみたいなこと言わないで!」とか
声には出さず…(そんなに嫌なら、辞めたらいいじゃない…)」と思うとか
(冷静さを逸しちゃって…なんというか…すごく嫌…)と思うとか
等です。
混乱も何も、当然の反応でしょ?
そうお思いになられるかもしれません。たしかにその通りです。
当然の反応だと思います。
ですが、その反応で良いでしょうか。
【2】ファシリテーターならこう反応する
ビックリした…。しかし…これは相当ストレスが溜まっていたということだ。本音をぶちまけてくれたのだから、私も真剣に受け止めなければならない。その思い、言葉、態度、表情、声の感じ、どれをとっても「もっと自由にさせてくれ!」という気持ちそのものだった。まずは、しっかりと受け止め、そして一つ分からないことがあるから、尋ねさせてもらおう。
【3】ファシリテーターならこう関わる
だめ。するな。禁止ばかりでもううんざり。もっと自由にさせてほしいってとても正直な、叫びにも似た、強い気持ちを吐き出してくれたように、私は受け止めました。その上で、一つ教えてください。「もっと自由に」の「自由」という言葉をAさんはどのようにイメージしているか、教えてください。
【4】ファシリテーターならこう考える
「ダメ…ダメ…するな…するな…」と爆発しそうなほどのエネルギーを抱えながら、それが徐々に弾けていく。その様は、これまで相当我慢してきたのだろう。今回のように本音をぶちまけてくれたのは、むしろチャンスだ。チームのレベルアップにおいて重要な岐路に今ある。
「ダメ…ダメ…するな…するな…」これらの禁止・抑制に対する大きな反発が今起こった。何がそれほど不満なのか。気になる。
「もううんざりだ!!もっと自由にさせてくれたっていいだろ!」ということは、あきらかに「自由にさせてほしい」という意見表明ではあるが、「自由」とは一体どんなことなのか。是非聴かせてほしい。
Aさんの言う「自由」が抑制されているということが、Aさんにとって何を意味するのか。興味深い。
ファシリテーターは、相手の物事の捉え方や考え・思い、意図を決めつけようとはしません。「聴いてみなければ分からない」を大切にします。
【5】ファシリテーターはなぜそう考えるのか
ファシリテーターは、ルールを守っている限り、一人一人の発言を尊重します。
ファシリテーターは、社会一般常識から捉えれば「子供っぽい」と思われる発言に対しても興味を持ちます。
「子供っぽい」発言は、見方を変えると、空気を読んでいないと言えます。
チーム全員が「当然に暗黙のルールに基づき」又は「無意識に」実行している中、「なぜ・どうして」に気づける人材は極めて貴重です。
(もちろん、子供っぽくて協調性までもが皆無だとしたら…NGです。
おそらく、そんな人はそもそもルールを守れていないでしょう。)
「あれもダメ…これもダメ…あれもするな…これもするな…って…もううんざりだ!!もっと自由にさせてくれたっていいだろ!!」
私は「子供っぽさ」を「独創的」と読み替えます。
子供は好奇心旺盛です。
まだ小さなお子さんと暮らしてらっしゃる方なら、お子さんからの「どうして?」「なんで?」という質問攻めに困り果てて経験があるはずです。
大人になると、多くの方はこの「どうして?」「なんで?」を封印するようです。
「ここではこうすべきだから。」「これがルールだから。「こうしないと白い目で見られるから。」「こうしないと怒られるから。」
「あれもダメ…これもダメ…あれもするな…これもするな…って…もううんざりだ!!もっと自由にさせてくれたっていいだろ!!」
あらためて、何度読んでもこのフレーズはビックリしますよね。子どもっぽい発言…。そうかもしれませね。
でも、たぶん、みんなそう思ってたんじゃないでしょうか。
もっと自由にさせてほしい。
Aさんは、他のチームの方々が隠し過ぎて、気づくことすらなくなってしまった本音を、代表して訴えてくれたのかもしれません。
Aさんの発言。もっと聴きたいですよね。
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