B009_「いま、何時?」あなたの答え方次第で 相手はきっと感動する(Ⅴ)
前回の続きです。本連載の最終回です。
「いま、何時?」で透けて見える相手の気持ち
この連載では、相手からの「いま、何時?」という
なんてことのない問いかけに対して、
「いまは〇時〇分です。」というあなたの回答に、その都度、相手の
「あせり」「怒り」「よろこび」「不安」に応える関わり方を加えること。
これが、いかに
相手の「あせり」を緩和し、「怒り」を和らげ、「よろこび」を放出させ、
「不安」から抜け出すのを促すこととなるかについて、書きました。
このような関わり方を、人々は「気配り」だとか「心配り」、「配慮」、「おもんぱかり」または「おもてなし」、果ては「良いサービス」と呼んでいるのだと私は考えています。
これ、
選ばれし方だけにしか出来ない事でしょうか?
私にはそんな関わり方、できそうもない・・・。
そう思って、このような関わり方をあきらめてしまわれている…
そんな方がいらっしゃるとしたら、私はその方に次のようにお伝えします。
もし相手が自分ならどうしてほしいと思うか?
なんだ・・・そんなことか・・・。
そうお思いになられたかもしれません。
しかし、これを常に徹底することは並大抵のことではないこともまた、
ご存じの通りです。
私は特定の宗教に傾倒していませんが知識として次のことを知っています。
世界にあまた存在する宗教において、共通して存在する「黄金律」があるということを。
すなわち「自分のしてほしいことを相手にもしなさい」という教えです。
この考え方は、人間を人間たらしめる人類共通の教えといっても過言ではないと思います。
そして、もう一つ重要なことは、
「自分のしてほしいことを相手もしてほしいと考えているかどうか、私には分からない」ということです。
ではどうするか。
この世で間違いなく絶対に存在していると断言できるものに頼りましょう。
それは「私」の存在です。私はいまここに確実に存在しています。
なので、一言で言えば「私に尋ねてみましょう」。
「もし相手が自分ならどうしてほしいと思うか?」と。
「相手の気持ちを想像する」とは「自分に尋ねる」ということ
皆さん、「反語」という言葉、ご存じでしょうか。
これは「相手に質問する形を用いながら、話者による強い断定が行われる際の表現方法」です。
例えば「そんなことしていいと思ってるの!?」という言葉、ここには、
「いいわけないよね?」という意味が込められている、これが「反語」です。
そこで、こんな表現をここに書きます。
「そんなこと誰が知ってるの?」(Who knows?)
「神様だけが知っている」(God knows.)
どちらも意味は「誰も知らない」です。
相手の気持ちは、相手にしか分かりません。
いや、相手すら気づいていないかもしれません。
まさにWho know? God knowsの世界です。
ましてや、私には分かりようがない。
さぁ、ここで人間に与えられた強力な武器を発揮しましょう。
「想像力」です。
「相手の気持ちを『想像』してみましょう。」
そのためには、「自分に尋ねましょう」。
つまり、想像するのは「相手は何を求めているんだろう」ではありません。
想像するのは、「自分だったら何を求めるだろうか」です。
「自分が何を求めているか」であれば、感じ取るのもたやすいでしょう。
そんな周りくどいことをせずとも、文字通り「相手の気持ちを想像する」だけで良いのではないか。そう思われる方もいらっしゃることでしょう。
もちろん、それでも良いと思います。
ただ、場合によっては、相手からこんな言葉をもらうことになるかもしれません。
「私の気持ちを勝手に決めつけないで。」
一方で、私がしてほしいことを自分に問い、そのように相手に関わる。
これは、芯があってブレがなく、強いものです。
なぜなら「私の気持ち」なので確信があるためです。
その関わり方はきっともっと優しさにもあふれたものになるはずです。
しかし、それでも今度はこんな言葉を受ける可能性があります。
「あなたの優しさ、すごく押し付けがましい。」と。
だから、自己理解は重要です。
自分がどういう価値観を大切に、何をするのが好きで、どんなことを嫌うかを知っておくことで、自分が何を求めているかが感じ取りやすくなります。
そこに生じる「偏り」にも気づきやすくなることでしょう。
これらは、常に磨き続けるべきものだと思います。
ですが、まずは磨き続ける必要があることに気づく必要があります。
ここまでお読みいただいた皆さんが、
「いつも通りに過ごしているのに、なぜか相手にすごく喜んでもらえる」
と感じて頂けるような日々が増えることを願って、書きました。
お読みいただきありがとうございました。
…連載が終わってしまいました。
さて、次は何を書こうか…。
悩みます…。
本連載の最初の記事はこちらです。