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詩 作品

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自分が今までに書いた詩作品をまとめています。
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2023年12月の記事一覧

ジャジーナイト

ジャジーナイト

ぽろんポロンとなるピアノを
音 音 音を弾ませる
弾ませるドラムのかすれたスネア
叩くというよりこすり合わせたような音はどこか髭の老人が分厚い手を暖炉の前ですって暖を取るような近さ
私の耳にいつからかカリカリと響いていたレコード針のフアントムが
居心地の良い回転盤の砂丘を見つけたのだと理解した 納得した
コルクのコースターに沁み込む水滴が暗示するのはぬるいアイスコーヒー
バニラアイスのジュピター

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願望

都合のいい事なんて 1つも存在しない

1つも 1つも 1つも 1つも

現実を見ろ

見ろ 見ろ 見ろ 見ろ 見ろ

私たちは夢の中

浮かんで 沈んで 泡を吐いた

開けたマナコに水鏡

揺れて 歪んで 映す 写した

現実を

夢の霧を肺いっぱいに吸い込んだ

中毒者

砂糖 脂肪 セックス セックス

唇に塗ったのは口紅か豚の血か

手始 め に ケー キを 切り

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自由研究の小豆の波音とASMR

Youtubeで波の音を聞いた。
それは砂浜の音では無かった。
私はASMR動画を聞いていた。
それはマイクの拾った単なるノイズだった。
ザラザラと心地よく鼓膜をくすぐる白い勘違いだった。
しかし、私は波の音を聞いた。

これは初めての事ではないと思い出した。
 それは幼い日の9月の始め、
 毎年クラスで誰か1人は提出する
 小豆をザルに入れただけの自由研究だった
と。
あれは驚くくらい波の音だ

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流暢なセンテンス

 流暢なセンテンス。流暢な、センテンス。舐めて、咀嚼して、飲み込む。流暢な食事。
 舐めて、無くなる。飴玉はどこに消える。まるでこの世から、最初から無かったみたい。
 飴玉はどこ?飴玉はどこ?私の口の中にだけ残ったこの甘い後味の行方はどこに続くの?目を閉じてるみたい。飴玉を舐めることよ。口の中に放り込んで、その後は、一度も見てないわ。飴玉はどこ?口の中はどんどん甘くなるわ。でもどこを探しても飴玉は

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適当な言葉

 あと5分で寝る。5分で寝れるのか。寝るって言うとだいたいの人は布団に潜る事を言うけれど、自分が今まで生きてきてずっとこの寝るっていう行為に苦手意識を感じているのは正に他でもないこの「布団に入れば取り敢えず寝る事になる」っていう意識であって、実際の所生理的な睡眠は布団に入ってからほどなくして脳みそが睡眠状態に入る事を言う訳だから、要はあの布団に潜る行為という「寝る」と実際的な「睡眠」というものの間

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パセリ

パセパセパセリ パセパセリ パセパセ
包丁トントン パセパセリ
パセリが パ と セリ になっちゃった
パパパパ セリセリ パセパセリ
セリセリ
 
パラパラパラリ パラパラリ パセリセリ
イタリアの香り パラパラリ
パスタが パパっと できあがり
パパパパ パスタを ペロペロリ
パセリが わたしの とっておき

カメラ

 「なんでカメラが欲しいの?」

 「別に綺麗な写真が撮りたいわけじゃないんだ。」

 「じゃあ、なんで?」

 「頭が溢れそうなんだよ。」

 「イメージが?」

 「そう。いや違うな。イメージじゃない。」

 「じゃあなんだって言うんだい。」

 「写真で、なんて言うか、写真って、見えなかったものが見えるようになるじゃない。」

 「それって心霊写真のこと言ってるの?それじゃあ、曰く付きの呪い

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顔と夢

 今が悪夢だ。俺たちは眠れない夢を見ているんだ。
 横を見てみろ。死体が寝ているだろう。
 組み合わされた手は腹の上にある。顎も胸も微動だにしていない筈だ。
 水鏡に映った自分の顔を見たことはある?うんと静かな朝焼けの入口で、
 波1つない水面を覗き込んだ時に君の目の前に現れるヤツだよ。
 どんな顔をしてた?
 黙ってた。そうだったかもね。俺もそうだった。
 もう一度、君の横の死体を見て。
 そい

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フィールズ ライク サマー

またチルディッシュ・ギャンビーノが似合う季節が近づいてきた。

僕は耳を塞ぐ。遠く遠く、遠く遠く、聞こえる波音を。

気付いた時には夏が来る。

気分がすぐれない。明日は雨が降るかもしれない。

波の音が聞こえる。

耳を塞ぐ。

波の音が聞こえる。

机に耳をギュッと押し当てる。頬に冷たさが伝わる。

波の音が聞こえる。

すぐ近く、ずっと近く、ちょうど耳のすぐ目の前で、聞こえる音を。

目を開

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水鏡  ~大地のメソッド~ 

 座ります。背筋を伸ばしましょう。

 軽く息を吐きます。あなたの喉にある空気を、まだ肺に入ってない、つまりあなたの一部でない空気を一度身体から追い出します。

 目を静かに閉じましょう。意思を持って、しかし静かに。瞼は自分が落としたくて落とします。眠りではないからです。あなたは寝てはいけません。これは覚醒のプロセスだからです。

 あなたの目の前には、あなたは今、果てしない凪の水面、どこまでも澄

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悪魔

 情動の夜。混沌する朝焼けに消える白い息を吐く狼は。眼差し。待つ日差しの十字架を。
 私の中にありますわ。
 シスター。あなたは美しい金色の前髪を聖堂の風に揺らしながら。
 「私の欲を。愚かな罪は、私の身体をジュクジュクと蝕み、膿を、膿が貯まるばかりで、私は。」
 「身体を。」
 「シスター。」
 「今だけは、あなたの姉になりましょう。あなたと私だけの血縁を結びましょう。」
 「委ねて。」
 「シ

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春、並木道。

 チリチリ、チリチリ。チェーンとギアの噛み合う音。私の好きな音。
 ザラザラと地面を踏みしめるタイヤのゴムに纏わりつくピンク色の鱗が、視界の下にチラチラ映り込む。
 「ハ・・・。ホッ・・・。」
 線路脇の並木道は緩やかな下り坂。最初に少し漕いだら、後は足を止めてスーっと流れにまかせる。すっかり暖かくなった日差しにはそろそろこのマフラーも暑いかもしれない。
 チリチリ、チリチリ。気持ちも新たに油を注

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 この文が視界にかすめた全ての方へ、今から私の吐露することは全て私の純然たる告白である。と同時に言える、その示す真の意味合いを汲み取れば、それは私が私自身の本来なら話したくはないこと、少なくとも今までは殆ど多くの人に話しては来なかったことを公然に晒す、紛れもない告発である。
 私は顔が怖い。これに尽き、これが全ての元凶である。言わんとしていることは状況の目撃がもっとも相応な説明になると思う。私の三

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カンザシから、シズクがたれます。

どんなにですか。
こんなにです。

あちらのこちらで
あらら

あすははれるとよろしいかと。
かんがえて、おきます。

ところでカンザシは、

もうじき、かわきます。

らいめいが
らいねんは

むしあつい
まったくむしあつい

かえります
かえりましょう

夏ですね

夏ですね