令和の文芸編集者に何ができるのか。
はじめまして、6月より文芸出版部に配属された、田野と申します。
太宰治の『人間失格』に衝撃を受けた14歳の頃から十数年、社会人3年目にしてついに念願の文芸編集者になることができました。
今の時代に文芸って、儲かるの……?
文芸編集者といえば、ノリスケさんのイメージだけど、あんな感じなの?
作家さんって、なんだか怖そう……
きっとみなさんは文芸に対して、こんなふわっとしたイメージがおありかと思います。
大丈夫です、わたしもまだまだわかっていませんし、正解は変わってきているのかもしれません。
出版業界自体、斜陽だと言われています。その中でも、電子化が進まず時代の変化についていけていないのが文芸という分野だと思います。
いまだにノリスケさんのように作家さんのもとへ原稿を取りに行く、なんてこともあります。ネット?ダメダメ、魂が(お金も)抜かれちまうんだろう…?みたいな反応も多いです。
でも、ネットのおかげで、人々が文章に触れるハードルは昔より下がったのではないでしょうか。スマホひとつが新聞、テレビ、ラジオ、雑誌、本の役割を果たすようになって、これまで「本」という媒体に興味がなかった人にも、スマホを通じてなら、読んでもらえる可能性がある。
だからこそ、素敵な文章、面白い物語を紙の本だけでなくネット上でも、広く読まれるようにしたい。
そのためには、これまでの文芸のやり方ではうまくいかないところを見つけて、変えていかなければいけないのだと思います。
宣伝、読まれる仕掛けづくり、売れる装幀……どれもが、ネットを組み合わせることで効果的にできる時代になりました。
日進月歩なこれらの手法については、私たち編集者が常に勉強を怠らず、作家さんに頼っていただけるようにならねばと思います。
作家さんのこだわりを伝え、魅力を最大化するために、執筆以外にご協力できそうことは前例にとらわれずどんどん試していく、そんな姿勢が今必要なのかな、と感じています。(正解が、わからないのですから。)
令和になりました。子供のころに思い描いた「未来」がどんどん近づいている気がします。作家さんがYouTubeで自分の作品を配信したっていい。編集者がイベントに登壇したっていい。ネット上で作品について語り合ってもいいし、バーチャル本屋を出店したっていい。
──文芸を取り巻く「正解」が、明るく、良いものになりますように。
先輩編集者にダメ出しされる毎日ですが、平成生まれの意地(?)で令和に一旗揚げるまで、しぶとく(たのしく)文芸編集やっていきたいです。よろしくお願いいたします。
以上、このnoteマガジンでは、ひよっこ文芸編集者が文芸の現場にて感じたこと、奮闘する様子をレポートしていきたいと思います!
最後にこの名言を。
私はなんにも知りません。しかし、伸びて行く方向に陽が当たるようです。 ――太宰治『パンドラの匣』
(ヘッダーは以下の本より)
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