たかし

会社で人事職に従事。一貫して採用(新卒、中途、ハイクラス)、教育、制度等を担当。最近は…

たかし

会社で人事職に従事。一貫して採用(新卒、中途、ハイクラス)、教育、制度等を担当。最近は組織開発にも従事。独自にU理論を中心としたリーダーシップやコーチング、ファシリテーション等を学び、人生における座右の銘にしている。 2022年12月に初めて子供を授かり、育児に奮闘中。

最近の記事

企業が退職率低減に本気で取り組まない真の理由

■退職率低減への企業の本音 昨今、上場企業を中心に、人的資本の情報開示の動きが活発になっている。 各社足並みは異なるが、企業によっては単に有価証券報告書に記載が義務付けられている情報開示項目に限定せず、積極的に自社の人的資本の状況を整備し、投資家をはじめとするステークホルダーに対してPRを行おうとする動きも高まっている。 時代の流れの中で、非財務的情報の実態を社外に開示し、それによってステークホルダーの理解と支持を得ようとするムーブメントは不可避となり、やがては非上場

    • リストラのお作法

      昨今、GAFAMやアクセンチュア等、超一流のグローバル企業でリストラの嵐が吹き荒れている。今のところ、大規模なリストラをやっていないのはアップル社だけだ。Google社の日本支社では労働者が団結して経営陣と対峙するなどの事態に発展している。 もともと外資系(特に米国系)企業は、整理解雇を頻繁に、かつ、経営立て直しの一つの手段として良く活用する。それが一人の労働者にとって歓迎するべき事か否かは別として、米国内ではある程度の社会的合意をもって行われている。 しかし、労働法によ

      • ハイクラス求人の罠

        先日、こんなTweetがタイムラインに流れてきて、とても納得が深かったので自分も似たようなテーマを別の角度から考えてみたくなった。 最近増加傾向にあるいわゆる「ハイクラス求人」。企業が社内のかなり高いポジション(一般的に部長以上)について優秀な人材の獲得を目指して行われる募集の事だ。 例えばこんなものが挙げられる。 ・新設CXO ・経営戦略室 室長(部長待遇、稀に部下無し) ・執行役員 人事部長 ・財務部長(経理部長ではないのがポイント) ・DX推進担当部長 ・その他、e

        • オーバーエイジ枠の中途採用戦略を考える

          昨今、人生100年時代と言われて久しい。従来、日本企業が採用を行う際は主に若年層を中心に考えてきた。それは今も変わっていない。しかし、今後の時代の流れを考えると、若年層だけの採用では追いつかなくなり、中高年の転職者を受け入れていく必要性が一層強くなっていくと予想される。そこで今回は、年齢別の中途採用戦略について考察をしてみたい。特に注目したいのは、45歳以上の中途採用についてである。 一般的な採用のセオリーは、中途採用は若年層に限る、というものである。過半数以上の企業が採用

        企業が退職率低減に本気で取り組まない真の理由

          不都合な企業内人材育成論の実態vol.1

          今、中原淳氏の「#経営学習論」を読んでいる。かつて日本企業に存在していた人材育成の土台(本文では【意図せざる整合性】と記載)がバブル崩壊後の成果主義の台頭並びに短期業績への偏重等によって消失した、とあった。それから約30年が経過した2022年現在、既に職場には「人を育む文化」の基本的な土台は完全に消失していると言える。 ■人材育成は失われたオーバーテクノロジー? 人が人を職場で育むプロセスが企業組織から失われて既に30年が経過したという事は、当時新入社員だった人が現在40

          不都合な企業内人材育成論の実態vol.1

          ミドルエイジからのキャリア「生存」戦略

          ■どうすれば我々ミドルエイジのビジネスパーソンはリストラを回避できるか?ミドルエイジ(40代)の会社員が自らの今後のキャリアを考えるにあたり、重要な事とは何だろうか。 一般的に言われる事といえば、専門性である。確かに、専門性は非常に重要となる。例えば一つの分野で著作を出せたり、外部の講演に呼ばれたりするレベルにまで自らの専門領域の知見が高まっていたならば、恐らく理想形だろう。 実際、ある友人は現役の会社員時代から会社公認で認められた研修講師の副業で活動していて、今その実績

          ミドルエイジからのキャリア「生存」戦略

          人材紹介エージェントの構造的劣化が進行している(一部加筆済)

          ■人材紹介エージェントに今、何が起きているのか? 企業側の人事として中途採用を行っている中で最近顕著に感じるのは、人材紹介エージェントにおける候補者のグリップの弱さである。シンプルに表現すれば、候補者の心情や気持ちを深く把握していないし、企業側のニーズや事情と候補者の希望の両方をバランスよく取り入れて交渉をまとめる能力が完全に欠落している。これは、はっきりいって壊滅的な状態である。特に営業とキャリアアドバイザー(以下、CA)の分業が進んでいる大手企業に如実に表れており、本当に

          人材紹介エージェントの構造的劣化が進行している(一部加筆済)

          1on1の真髄とは何か?

          ここ数週間の間に、集中的に1on1セミナーを受講した。そこからの気づきや発見を記そうと思う。 1on1セミナーを実施してくれたのは自分の尊敬する素晴らしい友人で、本家Y社の1on1の専門家だ。その場で展開される良質なセミナーは非常にわかりやすく、鋭い洞察とMECEな分析に満ちていた。そしてそれ以上に、1on1の真髄をその人の「在り方」から発見した。 ■1on1の真髄とは 1on1の真髄とは何か? 1on1は何か特定の手法(会話の構造、人事制度、教育研修等)ではない。

          1on1の真髄とは何か?

          取締役会の生産性を考える

           会社員を長年やっていると、様々な矛盾にぶつかる。その中でも特にやっかいな案件は、概ね取締役もしくは取締役会絡みだ。自分は複数の会社を経験する中で、取締役会が十全な機能を果たしている場面を見たことがない。また、複数の一流と言われる大企業が、素人でも首をかしげるような意思決定を行うことがある。何故、取締役会は機能しないのだろうか。  取締役会は言わずと知れた会社の最高意思決定機関であり、最重要の会議体である。取締役会で決議された方針や戦略が会社の公式の見解となり、事業が動き出

          取締役会の生産性を考える

          中期経営計画「無理」論

          昨今、会社の経営戦略や中期経営計画が定まらない、定められない事態が全世界的に蔓延している。直近数カ月で考えればやはり新型コロナウィルスによる世界情勢全体の変化が要因と言える。しかし、それ以前から既に中期経営計画を精緻に作り込む事に無理が出始めていると思われる。 21世紀においては、従来型の中期経営計画の策定及びそれに沿った戦略・戦術の展開という手法が限界に来ているのではないか。今の時代に合った新しい経営の在り方を考えてみたい。 ■経営方針が立てられない?中小企業のような経

          中期経営計画「無理」論

          インターンシップのあるべき姿とは?

          最近、新卒採用担当として業務に従事する事が多く、否が応でもインターンシップについて考えさせられる。 そこで今日は、ここ数年で大きな潮流となり、今では人事、学生、大学、三者にとって新卒採用に欠かせないイベントとなりつつあるインターンシップについて考えてみたい。 ■インターンシップという名の茶番現在、学卒者以上の新卒採用において、インターンシップをやらない、という選択肢は存在しない。会社がインターンシップを行う理由は大きく分けて2つだ。 1)採用広報活動として、自社の存在を

          インターンシップのあるべき姿とは?

          採用における「志望動機」不要論

          「当社を志望した理由は何ですか?」 日本における面接の場面、特に新卒採用もしくは第二新卒等の若手採用を行う場面で良く聞かれる質問である。いわゆる「志望動機」を確認する為の定番の質問だ。 学生は会社の説明会でPRされた資料やHPを読み込んで賛美を交えつつ、自分の学業や志向性などと無理やり結び付けた志望動機を考え、原稿を作成し、必死で丸暗記して面接に臨む。たまにストーリー構成が甘く、矛盾したところを面接官に突っ込まれてあたふたする。企業の面接官は、自社に対する調査や研究が足り

          採用における「志望動機」不要論

          「オンライン飲み会」はイノベーションである

          オンライン飲み会は、コロナ問題が生み出したイノベーションである。 コロナ問題が拡大し、人同士の接触が大きく制約される中、世の中では「オンライン飲み会」が生まれた。これは当初、飲み会が出来ない一部の人達が我慢できずに何とかして飲み会を出来ないものか、と苦心した結果として生み出されたものだ。オンライン飲み会を自分も複数回経験してみた。その結果として思う事は、意外に楽しく、雰囲気の統一感も出て、満足度が高いという事だ。 既に他の人も言っているが、オンライン飲み会はリアルな場とし

          「オンライン飲み会」はイノベーションである

          アフターコロナ3~これからの国の運営と企業経営

          現在、様々な方面に甚大な影響を与えている新型コロナウィルス。 いわゆる「コロナ禍」と呼ばれるこの問題は長期にわたると予想され、恐らく1年~数年をかけて徐々に収束をしていくと考えられている。 コロナ問題において経営者が直面する課題は財務的要因(資金繰り)や営業的要因だけではない。(無論、それらが最も大きいが) 現在、企業の行っているいくつかのコロナ問題への対応が、後になって経営、特に経営者のリーダーシップや求心力に大きな影響を与えるだろう。この困難な状況下において、優れた

          アフターコロナ3~これからの国の運営と企業経営

          アフターコロナ2~オフィスの機能と存在意義について

          先日、定期的に情報交換している不動産業者さんとオンラインミーティングをした。一等地のオフィス賃貸料は未だ高止まりはしているが、既にピークアウトしているらしい。更に、新型コロナウィルス問題への対応を踏まえ、増床をキャンセルする企業も増えているとの事だった。今後、オフィス不動産賃料は下落傾向になるだろうとの事だった。元々、今の価格が吊り上がりすぎているから、適正化の流れだろう、とも言っていた。なるほど、長い年月オフィス不動産の仲介をやっている人のコメントなので、妥当性を感じた。

          アフターコロナ2~オフィスの機能と存在意義について

          アフターコロナ~日本企業におけるこれからのコミュニケーションのあり方~

           昨今、新型コロナウィルス感染対策の為、各社にて在宅勤務等のテレワークが急速に普及しつつある。各社とも情報セキュリティやコミュニケーションの観点から踏み出せずにいた状況から、社会的な情勢により否が応でも取り組まなければならなくなっている。  急速にテレワーク化が進んだ事に伴い、様々な自粛ムードの中、慣れない状況下において多くの管理職がチームのマネジメントについて何らかの苦慮を感じているのではないだろうかと推察する。就業環境としてのITシステム及び情報セキュリティの整備に関す

          アフターコロナ~日本企業におけるこれからのコミュニケーションのあり方~