アフターコロナ2~オフィスの機能と存在意義について

先日、定期的に情報交換している不動産業者さんとオンラインミーティングをした。一等地のオフィス賃貸料は未だ高止まりはしているが、既にピークアウトしているらしい。更に、新型コロナウィルス問題への対応を踏まえ、増床をキャンセルする企業も増えているとの事だった。今後、オフィス不動産賃料は下落傾向になるだろうとの事だった。元々、今の価格が吊り上がりすぎているから、適正化の流れだろう、とも言っていた。なるほど、長い年月オフィス不動産の仲介をやっている人のコメントなので、妥当性を感じた。

以上の情報を元に、人事担当&総務担当として、オフィスの機能と存在意義について改めて考えるきっかけになった。

結論、もう一等地にオフィスを構える必然性や効果性は将来的に失われてくるのではないか、という事だ。

東京の一等地を含む主要都市の中心地にオフィスを構えるより、かなりしっかりとIT設備に投資してテレワーク体制を構築すると同時にオフィス機能を最低限にする方が、大幅なコスト削減になるし、経営への生産性の向上に寄与するのではないか。

客観的に考えて、初期投資だけでも当然ながらオフィスの賃貸契約及び内装はとてもお金がかかる。更に都内一等地にオフィスを構えるとなれば、不動産の賃料相場は相当なものである。しかも賃料は毎年一定の固定費として発生し、景気の変動によっては値上がりのリスクを含んでいる。昭和の時代は自社ビルを持って土地や不動産の値上がりと共に資産価値を向上させていたケースもあるが、今の時代、殆どの企業は賃貸だ。経営状態が上向きの時は良いが、新型コロナウィルス問題やリーマンショックなど、社会的に大きな影響が発生し経営を圧迫する時には足枷となる。モノが大きいがゆえに簡単に動かせず、移転するだけでも相当な持ち出しになり、短期的な経費はむしろ増えてしまう。

唯一にして最大のメリットは従業員やお客様、社会へのアピール&ブランド力だろう。『都心の一等地にオフィスを構えているかっちょいい会社』という話である。しかし今、新型コロナウィルス問題がその必要性や有効性に疑問符を投げかけてきた。

それは本当に必要だろうか?と。

満員電車に毎日揺られて都心に1時間以上通勤する事は、本当に価値があるのか。確かに一等地にオフィスがある事は権威になる。しかし、昨今、これだけ働く人の生活環境や置かれている条件等、複雑性が増す中で、オフィスを都心に構える事は価値が相対的に薄れている。それならば、同じ就業条件で在宅勤務等のテレワーク制度が整っている会社の方が個人的に嬉しいし、価値が高いのではないか。何より、BCPの観点からも強く、通勤災害もなく、財務的にも優位性が高い。これは絶対的なアドバンテージだ。

無論、人事担当として同じフロアで仕事をすることの意味はわかっている。直接会って行うコミュニケーション以上に価値のあるものはない。

しかしそれは「やるべき時」にやればよい。『常備』している必要性はない。これは新型コロナウィルス問題が否応なく後押ししたテレワーク推進からの発見である。

アフターコロナでは『オフィスの概念』に大きな改革が起きる可能性が高い。

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