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ムナーリの遊び

昨年末、家族で世田谷美術館で開催されているブルーノ・ムナーリ展に行ってきた。

ムナーリの仕事はモビールをはじめとした造形作品から絵画、グラフィック、絵本、工業デザインなど多岐にわたる。

展示作品はどれも素晴らしく、とりわけ絵画やコラージュなどの作品は正確な図形描写、あるいは逆に荒々しいまでの筆致や紙の破れなどを間近でみることができ、ムナーリの手作業の感触まで伝わってくるようだった。毛皮や金属、プラスチック容器など異素材を組み合わせた造形作品は、そのままうちの長男が作りそうにも見える。言葉で表すのがむずかしいが、感性の奥のほうにある人間本来が持つ“遊び”の本能を刺激するようだった。

帰る前に美術館内のショップを物色し、夫も私も仕事で参照することがありそうなので図録を買うことにした。展示作品が網羅されているだけでなく、解説や寄稿記事も充実していて2千800円はお買い得だ。ふたりでページをめくりながら、とはいえやっぱり実物を見なきゃ良さは実感できないだろうねえ、そうだねえと頷き合った。

5歳の長男も感じることがあったのか、家に帰るなり自分の道具箱から折り紙と幼児用はさみを取り出して作品づくりを始めるほどだった。

彼がとくに熱中したのは、幼児向け造形遊具の体験コーナーにあった《PIU E MENO(つけたり・とったり)》というカードゲームだった。プラスチックの透明カード一枚一枚に木や車、人、花、動物などさまざまな絵や色、かたちがプリントしてあり、遊び手がそのシートを重ねながら自由に物語を創作できる。

はじめに私がかんたんにお話を作ってみせると、すぐに長男も遊びはじめた。次から次へとお話があふれ出てくるようで、そろそろ帰ろうと声をかけるまで収まらなかった。

一般的に5歳になる頃には多くの子供が一定のルールのもと遊びを共有できるようになるが、発達凸凹な長男は決められたルールの上で遊ぶことがあまり得意ではない。彼は「ルールや前提は遊びながら自分の好きに変えてしまえばいい」と考えているため、友達と折り合いがつかないことがたびたび起こるらしい。かといって自分のやり方をほかの子に認めてもらうことも面倒なようで、私が保育園にお迎えに行くと他の子たちが何人かでゲームや鬼ごっこをしている脇で、ひとりでごっこ遊びに勤しんでいることが多い。(長男は、保育園のクラスメイトと仲が悪いわけではない。マイペースな子という扱い)

ムナーリのカードゲームは緩やかな遊びのスキームのなかで、のびのびとイメージをふくらませることができる。自由に空想し物語をつくることが好きな長男にはぴったりだった。

同じカードゲームはギャラリーショップで販売されていたけれど、子どものおもちゃにしてはだいぶ値段が高かった。すでにクリスマスプレゼントを一通り買った後だったこともあり購入は見送った。それに、プラ板や照明用のカラーフィルムを使えば、似たようなものを自作できそうな気もする。それもそれでおもしろそうなので考えてみよう。

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