マガジンのカバー画像

理論

20
理論
運営しているクリエイター

記事一覧

【CADプログラミング】 STEP中間ファイルについて

最近、業務で取り扱っている話題で、”CADデータをモデルとした測定装置”をテーマにしています。

○概要グリッド投影などによる3D復元、ToFカメラや共焦点顕微鏡などを活用した3D計測技術が昨今では注目が集まっています。

3Dセンサは、厳密には自由空間全体を捉えるようなものではなく、その光学的な測定域の事情から計測範囲や光軸、分解能などに制約を受けており、”銀の弾丸”はない状況で、現状では用途に

もっとみる

エッジ回折波の観測実験(アイディア編)

最近、GTD(幾何光学的回折理論)を学ぶようにしていまして、そこでちょっとした実験と考察をする、と言うのが思い浮かんだので、まとめてみたいと思います。

基本的には、教科書を踏襲した内容ではありますが、「こうするとどうなるだろう?」と言うことを考えると、結構面白いことがあるかも?と思っています。

実験タイトル 「エッジ回折円錐の出力像」【目的】

・回折光の放射の仕組みを可視的に理解できるような

もっとみる

CT検査(回折型断層撮影法)を数学的に表現する  [1] ボルン近似

 レントゲン検査、CT検査、MRI検査など、今や病院では、人体の状態を知るための検査方法が数多く存在します。

 それは、装置や光源、それを制御する素子、コンピュータサイエンスによるアルゴリズムの発展など、様々な要因があるのですが。一方でその性質を知るための基本的な原理は(日本では)思ったより知られてなくて、どうやって使うかと言う実践的な内容が中心のような気がします。

 CT関係の研究者ならとも

もっとみる
再使用ロケットの1段目戦略(論文紹介)

再使用ロケットの1段目戦略(論文紹介)

これまで、再使用ロケットについて記事を書いてきた。国内だけでも再使用ロケットは手を動かし着実に進めている人もいれば、懐疑派(自分がそうだ)もいる。
宇宙開発プロ&ファンでも再使用ロケットについて、NASAが大好きで盲目的にSpace Shuttleを推す人は少なくなったが、SpaceXが大好きで盲目的にFalcon9やStarshipを推す人は多い(自分も半分はそうだ)。
再使用ロケットの議論が複

もっとみる
ロケット打上げと緯度の話

ロケット打上げと緯度の話

ロケット射場は赤道近くが良いだろうと信じている人は多い。実際にそうなのだろうか?
結論:目的の軌道(目的地)による

ロケット打上げには人工衛星ごとの目的地がある。
宇宙空間では特定の1点に留まることは出来ない。したがって地球周辺であれば地球周回軌道というところで運動し続ける。
射場緯度の有利不利はこの目的の軌道に依存する。

静止軌道と地球低軌道静止軌道という軌道は赤道直上の高度約3.6万kmに

もっとみる
再使用ロケットの経済性

再使用ロケットの経済性

最近、世界中で再使用ロケット開発の機運が高まっている。再使用ロケット、つまり打ち上げた後に着陸・回収して繰り返し使うロケットのことだ。

これはSDGsの文脈が強くなってきたことに加え、SpaceXやBlue Originのロケットの派手な演出のためだろう。SpaceXのロケットの着陸する姿は多くの人を興奮させた。

ちなみに、スペースシャトルも1980年代には開発された再使用ロケットなのだが、色

もっとみる
宇宙技術の標準規格

宇宙技術の標準規格

「ISO準拠!」なんかすごそう、なんだかわからないけど!

と言ったときのISO(アイエスオー)は、多くはISO9001規格を指している。これは国際標準化機構(ISO)が決めている規格である。ISO9001という文章番号の規格に品質マネジメントについて書かれている。規格を守り認定団体に監査されてはじめて品質管理を守っていると名乗れる。内部統制改善とブランディングのためにアピールする会社は多い。

もっとみる
110億円調達の米国ロケットベンチャー企業Vector Launchの破産はナゼ?

110億円調達の米国ロケットベンチャー企業Vector Launchの破産はナゼ?

2019年12月Vector Launch Inc.という超小型ロケットを開発する米国のスタートアップ企業が破産した。

正確には米連邦破産法の第11条なので再建型な手続きであり、事業再開する可能性はある。同社は2016年創業で、crunchbaseによると$102.8M(日本円で110億円ほど)の資金調達が報道されていたので破産は話題になっている。

破産の経緯は、世界最大のベンチャーキャピタル

もっとみる
ロケットの自律飛行安全の話

ロケットの自律飛行安全の話

ロケットは自爆装置がついている。

もしくはこれ以上飛んでいかないような仕掛けが組み込まれている。モデルロケットではなく本格的なロケットに限るが、想定外の場所に飛んでいくと大事故に繋がるので、事故防止のために厳重に入念に丹念に慎重に安全装置として飛行中断する機能が組み込まれている。

そういう飛行中断機能も含めて周りの安全を守ってあげることは政府の目も入れる必要があるので(一定のところから)許認可

もっとみる
SpaceXのロケットが安い理由は再使用ではない、という話

SpaceXのロケットが安い理由は再使用ではない、という話

結論:安いロケットエンジンを持っているからである。

SpaceXのFalcon1(退役済み)やFalcon9に使われているMerlinエンジンはRP-1(灯油に似た燃料)と液体酸素(LOX)を推進剤にしたロケットエンジン。A~Dとバージョンがあり、推力は34〜62トン重と2倍近くも差があるエンジンであるが、価格はおよそ1億円だと噂されている。極めて安い。
エンジンだけではなく全体で低コストの方法

もっとみる
スマホやタブレットで数値計算,山崎純一(元 大学非常勤講師)

スマホやタブレットで数値計算,山崎純一(元 大学非常勤講師)

■数学月間の第4日(8.14)は表題のzoom講演が実施されました.
MATLABは優れた計算ソフトウエアですが,windowsで動かすと非常に高価です[私はMATLABクローンと言われる無料のScilabを使っている].今やほとんどの学生がスマホを持っている時代で,スマホやタブレットにはMATLABを無料でインストールして,クラウドで使うことができます.講演者は,学生が実験のデータ解析やグラフ作

もっとみる
理論結晶学の早わかり

理論結晶学の早わかり

今回のテーマである理論結晶学というのは,結晶学と数学の境界領域です.
周期的な空間(=結晶空間)の幾何学を扱うので,用いる数学は,群論(対称性の理論)です.
多くの結晶学の本は,結果のみを列挙した図表を掲載するもので,数学理論に踏み込みません.そのため数学概念の説明に誤りが見受けられます.引用する図表の誤りがそのまま引き継がれているものもあります.
一方,数学書の側から見ると,数学者は抽象群の扱い

もっとみる
因果律と対称性の重ね合せ★

因果律と対称性の重ね合せ★

次のような思考実験をしましょう.
正方形目のメッシュの上からインク滴を落として,インクを飛び散らしたとします.メッシュを通り抜け散乱したインクのしぶきの形は,おそらく,正方形の対称性を反映したものになるでしょう.
同様に,正3角形目のメッシュの上からインク滴を落とせば,正3角形の対称性を反映した形のインクのしぶきの形が記録されるでしょう.
これは,結晶によるX線回折を紹介するときに,私が初めにする

もっとみる
極性ベクトルと軸性ベクトル★

極性ベクトルと軸性ベクトル★

空間の座標系は,現象を記述するために人間が定義したものでありますから,座標系の有無にかかわらず空間に実在する現象は変化しません.空間の座標系は,原点,3方向の規格直交基底[$${e_{x}, e_{y}, e_{z}}$$]からなります.
右ネジとは,ドライバーでネジを回すとき,ネジの進む(締まる)回転方向が,右回りであるものです.
座標が右手系であるとは,$${e_{z}}$$の正の方向に右ネジ

もっとみる