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橘文様

指先だけ、何度ストーブで温めても体温が戻らない、そんな夜の中本日も書き進めて参ります。

シマヘビ Elaphe quadrivirgata

サムネイルを飾ってくれたのはこちら。
フックを取りに行った川をどうせ荷物の所に戻る道中のついでだ、と寄り道もとい、川下りをしたら出てきました。


何もかも、マムシ然り、タマムシ然り、その全てが必然で起きていき、その結果がこのシマヘビとの出会いでした。実に面白い出会いでした。

この個体、実は兼ねてからやりたいと思ってた構図があり地元の方の協力も仰いで一枚の写真に収めるためにちょいと移動させた写真があるのですがそれはこのブログの最後に貼りましょうね。


撮影を終え、帰る道中。老婆ばかり乗ってくるバスに揺られて洛中へ戻っていく時にふと「ここへ来るのはもう何度目かな?」なんて仕方がないことを考えたりしてしまう。
目に入るもの全てが美しい。美しいと思う感情はこうも天文学的数字な確率で偶然に出てくるのか、とふしだらな脳みそと眼球が、走行中のバスの手すりに夕焼け色の光が不規則に作られる影によって弄ばれているのをぼーっと眺めてる時・・・そんな瞬間に思う「美しい。」という感覚…不思議なものだ。

大人しく乗り換え、そのまま大人しく京都駅に、帰りの深夜バスの時間まで居ておけばばいいもののわざわざ鴨川デルタまで市営バスに揺られ、コンビニでサッポロビールを4本も買い、京都の猛烈な日差しとかっこいい洋楽のような色の風を顔いっぱいに浴び、半ズボンを捲し上げ、膝から下を半分水に浸しながらサッポロビールの缶を青空に向けて力いっぱいあおるのでした。あぁ、夏なんだな。



白い粉がつく石に寝そべりながら天を見ている私の耳に、知ってる曲が入ってきた。
音の方向に目を向けるブラバンのサークルに入っているのだろうな、と云う様子の女学生が五人。以前から「鴨川」「吹奏楽」という構図で撮りたかったのもあり、お酒が背中を押し、その子らに話しかけて撮らせていただいた。
例えるなら、クリスマスの横浜赤レンガ倉庫に施された、控えめだけど繊細でとても華やかなイルミネーションのような音でございました。

3本目のロング缶に手をかけた時には私は橋の下の河川敷で自分の下駄を枕にして日陰に寝転んでいた。

あの時の時間はとんでもなく長かった。オーケストラの楽譜じゃ見ないような数字のテンポで指定されて、夏が進んでいく。
私は時折真夏に真冬のことを、真冬に真夏のことを考える。考えるだけでなく、配信サイトで見る映像作品もその時の季節と真逆の色をした作品を見ることが多々ある。
それは、肌で感じている季節とは逆の季節を、聴覚と視覚から取り込むことである種、混沌(カオス)で作る歪みのようなものを脳内に生じさせ、その余波で脳みその標準時子午線にずれを生じさせているのか、その為に一秒一秒が結果として人より長く感じる原因なのではないだろうかと思う。常にではないが頻繁にそういうことがある。

そんな事を思い出しながらの蝉時雨と鴨川の河川敷。生えてる草まで空の青を映している。

4本目を開けた。

今回の遠征もたくさんの生き物と出会えたんだなぁー、と遠征中に撮影した写真一枚一枚をスライドショーのように頭の中で切り替えていく。

山肌の枯れたシダの葉上でのんびり日向ぼっこをしていたニホントカゲ、
玄関の前にいたオオミズアオ、
駐車場でビクビクしながら広角レンズで撮影したオオスズメバチ、
お師匠と探しに行ったオオサンショウウオ、
天狗が住んでそうな山奥で私の前を優雅に通ったアオダイショウ、

その他諸々が流れてくる。





いやしかし、川辺って本当に良いなぁ。そりゃ災害とか、環境問題とか、現実的な話をされたら元も子もありゃァし無いけども、太古から人間の文明と河川が色濃く結びついていたように、今の世でもその良さみたいなものは脈々と受け継がれているのは事実なんだろうなぁ。

こんな具合に頭の中が、とめどなく流れゆく鴨川を右手に寝そべりながらあっちや、こっちや、とキャァキャァと嬌声をあげながら自由奔放に駆け回っていく。
そりゃビールのロング缶、一気に3本も飲めばそうなるって。



地元の方々もそこまで蛇に縁が無いらしく大変興味深げに遠くから目を向け、少し離れて、私と話してくれた。子供らはいたって無邪気なもので、やはり親よりは近い距離で、私の粗末な身の上話やこの蛇のかっこいいところの説明なんかを真剣に聞いてくれた。

そろそろ行こうかなと起き上がり、橋の上で交通整備をしていた警備員と、先刻2人で一服した場所に移動し、煙を吐いた。

私は缶をゴミ箱に捨て、重い機材を肩に担いで夢見心地で東京へと戻るのだ。


とまぁ、最終日はこんな具合でした。今、文章ではなく映像でこの1日を思い返してもなんだか映画のような一日だったなぁと思ってしまいます。

夢中になってしまって長くなってしまいましたがまぁ、私個人的には気に入った文章になったのでとっておこうかしら(笑)




次回は特別回?みたいなテンションであの「化け物」の写真を上げたいと思います(笑)


撮影、させてくれて本当にありがとうございました。
四人、ひとりひとりに沢山の素敵な出会いと祝福が降り注がれますように。


ここまで書いて、結末感出してても、私の夏は終わりません。(笑)
まだまだ付き合っていただきますよ〜?皆様っ❤️


それでは、ごめんあそばせ🥂💫


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