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『頼むから静かにしてくれ』
古書店に行く。以前そこで手に取った歌集の、また同じ人の本があったので嬉しい。句集も、ぱらぱらと見て「これは!」と思ったものが、帰りの酒くさい電車で開いたらやはりすごく良くて、嬉しい。
帰る前に、水タバコも吸ったんだった。普段煙草はやらないが、レイモンド・カーヴァーの短編に水タバコが出てきたのを思い出して無性に吸いたくなるミーハー心。『頼むから静かにしてくれ Ⅰ』(村上春樹訳)に入っている「アラス
『PERFECT DAYS』
『PERFECT DAYS』2回目を観た。ヴィム・ヴェンダースは幸田文を前から知っていたのかな。映画の影響か、現実世界では通販ベストセラー1位になっているというのだから、そうして読み継がれたらいいな。
作中の音楽がいくつか話題になっていて、ザ・キンクスの《サニー・アフタヌーン》は初めて聴いたけれどとても印象に残った。
さまざまな考察があるだろう、その考察を引き出すような目の配り方をした監督のその目
早いもの、遅れるもの
季節をはみ出たものを通り過ぎる人がいる。わたしもまたそのひとり、一時期見ると見慣れたもので、冬の紅葉や冬銀杏など。盛りを過ぎても色は美しいのだが、ありがたく写真など撮っていた秋口を脱ぎ捨てるかのようにすらすら歩いていくのがおかしい。
師走も半ばの上野公園の紅葉群は背景を青くしながらよく映えていた。青々とした常緑樹のなかで鳥たちの鳴き交わす声が、ふとすると歩行中もやってくるぼんやりの眠気を醒まし
ジョセフの箱
初恋の箱だった。
美術館に立ち寄りはじめて最初に好きになった作家のお話。初めはたぶん18歳の頃だったかな。
千葉・佐倉にあるDIC川村記念美術館でちょうど今日まで開催されたジョセフ・コーネル展。
http://kawamura-museum.dic.co.jp/art/exhibition/
ご存知の方も多いかもしれないのだけれど、ジョゼフ・コーネル(1903-1972)はアメリカの美術作家で
水底には、砂のお城も建設中で
昔訪れた鳥取砂丘ではラクダに唾をかけられたこともあったけど、やはり熱い砂漠のぼんやり時間をたのしみに行くんだろうな。先から中から蒸発してるんだろうって、見えない蒸気の昇華のことを考えてはきゅんとなるのだ。
いやだ。ぼやぼやしているからラクダの脛を蹴っちゃうんじゃない?
サン=テグジュペリを読んでいて、読み返すのはいつも決まって無人砂漠に降り着いた話だ。
例えば、こんなような。
「飛び立って三