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感想:ザリガニの鳴くところ(+真犯人の考察)

かなり良かったです。一言で表すと、映像が綺麗で楽しい映画でした。正直、いかつい邦題と不気味な予告編で観客のゾーニングをやや外しているような気もします。

以下では内容に言及しますので、ネタバレされたくない人はこの記事の高評価ボタンだけ押してブラウザバックしてください。(笑)

▼全体的な感想:

●ヒューマンドラマ!

予告編で宣伝されていたのとは裏腹に、ミステリー要素は弱めでした。ミステリーとして売り込んだ方が客足が期待できるからだったのかもしれませんが、映画の実態に合わせてヒューマンドラマとして宣伝しても良かった気がします。そのくらいドラマとして見応えがありました。

2019年のミステリー小説のベストセラー(450万部)が原作なので物語や世界観はよく練られており、見ていて面白いです。もしかしたら映画化に際してサブエピソードやミスリードをごっそり削った結果、映画版では謎解き要素が少なくなったのかもしれませんね。

●綺麗な映像!俳優!

映像の美しさは特筆に値します。アメリカ東海岸の湿地帯でロケーションした夕陽や水面のシーンがとても綺麗です。例えば渡り鳥の群れが飛来するシーンに顕著なのですが、VFXが進化したおかげで、自然の美しい光景と俳優の演技を一つのシーンに収めることができるようになったのは良いですね。

主演のデイジー・エドガー=ジョーンズの個性的かつ端正という不思議な顔も美しく、見ていて飽きが来ません。あんなに細くて肌が綺麗な子が”湿地の娘”なんてファンタジーが過ぎるだろ、と思うところが全く無いとは言いませんが、まあエンタメとして良い塩梅だったと思います。(笑)

●ガッズィーラ!

主人公カイヤを助ける弁護士役のデヴィッド・ストラザーンも良かったです。私にとって彼はゴジラのウィリアム・ステンツ提督なんだよなー。良心と信念で動く男が似合う俳優ですね。良かったです。

さて。

ここから先は結末に言及するので、まだ見てない人は本当に読まない方が良いです。あ、でも高評価ボタンを押すのだけは忘れないでくださいね。(笑)

▼結末に関する考察:

それでは賛否両論あるという結末について。

●犯人予想はわりと簡単よね?

私は鑑賞中はテイトが真犯人という線だと思って見ていました。

そしたら、まさかの裁判で否定された”1時間の犯行”ルートでした!(笑)

裁判の終盤ごろから、カマキリの雌は雄を欺く話を見せたり、カマキリのイラストを見せたりするので、これってもしかして…と思っていたらやっぱりカイヤが真犯人というオチだったので、ニンマリしてしまいました。

カイヤが裁判で頑なに証言しないのは、嘘をつかないでいるためだったんですね。まさに母の教えである「ザリガニの鳴くところに行きなさい=ザリガニは鳴かないから何も言わないのが最強」というタイトル回収になっていて、上手いなと思いました。

●…とはいえ無理があるよね?

でもマジで、どうやって殺したのかだけは映像で説明してほしいです!(笑)

カイヤは秘密を墓に持っていてしまったから、聞けないのですが。(笑)

事件が起きた夜。「話があるの」って呼び出したら、仲直りできると思ったチェイスは、のこのこ現れたのかしら。1969年当時で深夜1時に人を呼び出すってどうやってやったのか気になりますが。スマホとか無いやで。家族と暮らしてる家の電話にかけたのか、ドアをガンガン叩いたのか、仲間と飲んでるところに凸ったのか。

真夜中に湿地帯のタワーに登るのはマジで奇行なんで、これはタワーの足元で待ち伏せして後ろから鈍器で殴った線が強いですかね。たまたまタワーの外れた格子の真下だったから警察が誤解しただけで。指紋を拭き取る時間も足りないですし。(そもそも警察官がタワーを登るときに手すりをガッツリ素手で触っていたので「それは現場保存に反しすぎるやろ」と思っていたんですが:そのあと「指紋は出ませんでした」と言った鑑識も真面目に仕事したのか謎です:笑)

●真犯人は別にいる説

死人に口なし、という意味ではジャンピン(雑貨屋のおじさん)も同じ状況なので、彼も共犯者だった可能性はあるんじゃないかなー。「何かあったら俺に言え」って言ってくれてたし。わざわざ彼の葬儀を映画で描いたのも理由がある気がします。

そもそも、カイヤは事件直後に家宅捜査されているのでペンダントを持っていたら見つかっているって話なんですよね。じゃあその時に誰が持っていたんだよって話になるじゃないですか。

なんとなく「グリーンヴィルのカイヤが電話でチェイスを呼び出して、待ち伏せしてたジャンピンが殺してペンダントを奪って、裁判が終わってからカイヤに渡した」んじゃないかなと、私は思うんですけどねー。

そうでもしないとカイヤは自分を信じてくれた人を全員裏切ってることになりますよね。でもジャンピンだけはずっと彼女の味方だったし、裏切りたくないと思うんですよね。

あとはジャンピンも証言台に立っていません。これもカイヤと同じく、裁判で嘘をつかないための手段だったと考えられます。

こうなってくると、結末を知った上でもう一度、登場人物のセリフを丁寧に洗いたくなる、良い映画ですね。

了。

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