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消える声は明日の希望

消える声は明日の希望

第一章 美華の声

美華は、6歳のときに声を失った。声帯に腫瘍ができて、手術をしなければならなかったのだ。手術は成功したが、声帯は損傷してしまい、声は出せなくなってしまった。美華は、それまで普通に話せていたのに、突然声が出なくなったことにショックを受けた。母親は美華のことを見捨ててしまった。美華が生まれたときから、美しい声を持つ歌手になることを夢見ていた。美華の声は、母親の期待を裏切ったのだ。母親

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青春軌跡②

青春軌跡②

美波は、光と青葉が両想いだと知って、ショックを受けた。美波は光のことが好きだった。でも、光は自分のことを友達としか思っていなかった。美波は光に告白したときのことを思い出した。

「光、私、あなたのことが好きなんです。」

「美波、ごめん。俺、青葉のことが好きなんだ。」

「そうなんですか……」

「美波、友達としては大切に思ってるよ。だから、これからも仲良くしてほしい。」

「うん、わかりました。

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青春軌跡①

青春軌跡①

「青葉、今日も練習お疲れさま。」
光が青葉に笑顔で声をかけた。二人は幼馴染で、共にバスケ部に所属していた。高校3年生になっても、仲は変わらなかった。いつも一緒に帰ったり、勉強したり、遊んだりしていた。

「うん、お疲れさま。」
青葉も笑顔で返した。光のことが好きだという気持ちは、ずっと隠していた。光は自分のことをただの友達だと思っているだろうし、告白したら関係が壊れるかもしれないと思っていた。だか

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「さよならは言わない」③

「さよならは言わない」③

第三章

紗綾は離婚の手続きを進めた。

子どもたちの親権を求め、慰謝料を請求した。

弘樹は離婚に反対した。

そして、子どもたちの親権を主張した。

彼らは裁判になった。

彼らは互いに証言した。

互いに非難した。

互いに傷つけた。

裁判は紗綾の勝利に終わった。

紗綾は子どもたちの親権を得て、慰謝料を受け取った。

紗綾は子どもたちと一緒に暮らした。

紗綾は仕事を見つけ、妻は友人を作

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「さよならは言わない」②

「さよならは言わない」②

第二章

それから2年後。

二人の間に二人目の子どもを授かった。女の子で、彼女に「青葉」と名付けた。二人は青葉も大事にした。

そして彼らは家を建てた。広くてきれいな家で、彼らは夢を叶えた。とても幸せな日々だ。

しかし、その幸せは長くは続かなかった。

弘樹は仕事に熱中するようになり、家に帰るのが遅くなった。

弘樹は紗綾に冷たくなり、子どもたちにも関心を示さなくなった。

弘樹は紗綾に「これ

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「さよならは言わない」①

「さよならは言わない」①

第一章

紗綾は弘樹と出会ったのは高校の時だった。

同じクラスで、同じ部活に所属していた。

弘樹は野球部のエースで、紗綾はマネージャーだった。

弘樹は明るくて優しくて、クラスの人気者だった。
紗綾は控えめで真面目で、勉強ができた。

弘樹は紗綾に気があるという噂があったが、紗綾はそれを信じなかった。

紗綾は弘樹のことが好きだったが、自分には無理だと思っていた。

卒業式の日、弘樹は紗綾に告

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