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71.就労ビザ取得に弁護士は必要か?

留学ビザでイタリア移住してからというもの、ずっと弁護士を探していました。
外国人がイタリアで起業し、就労ビザを取得するには多くの法務手続きが必要なので弁護士がいないとスムーズに進まないと言われたからです。


弁護士が必要なシーン

イタリアに来て間もないころ、まだ滞在許可証を持っていなかったときのことです。
ローマ在住のある日本女性から、まず最初に弁護士はつけておいたほうが良いとアドバイスされました。

彼女は、日本のイタリア大使館で就労ビザを発給をしてもらい、それをイタリアで滞在許可証にするという選択をしたのですが、イタリア側で必要な書類がなかなか発行されなかったり、大使館でもビザがなかなか下りなかったりしたそうです。
そんなとき、イタリア人弁護士が動くとスムーズに書類が発行され、また、日本のイタリア大使館にも直接電話してくれて、するとビザもすぐに発給されたとか。

良くも悪くもコネ社会のイタリアです。
一般人より仕事上の付き合いがある弁護士のほうが優先されるし、日本のイタリア大使館に顔が利かないまでも、同胞同士、話が早いのかもしれません。

手続きを代行してくれるだけでなく、ちょっと困ったときに専門知識を持って相談に乗ってくれる存在がいたほうが心強いに決まっています。
就労用滞在許可証の取得という難題に一緒に立ち向かってくれる味方を持つ、それが弁護士をつけておく利点と思います。

日本語で相談できる法律事務所

法律用語のイタリア語は難解で、イタリア人ですら何が書かれているのかよく分からないと言います。
弁護士に相談する際も、きわめて個人的で入り組んだ事情をイタリア語で説明する必要があり、相手からの返答もイタリア語となります。
せっかく高い弁護士費用を払うのにも関わらず、実際のところアドバイスの半分も理解できなかった、ということでは元も子もありません。

言葉の問題がネックとなってなかなか弁護士を選べずにいたところ、ひょんなことからイタリアの弁護士事務所で通訳兼事務員として働く日本人と知り合いになりました。
その人の事務所で私の案件も請け負うことが可能だと言います。
ただ、依頼料を聞いたら目の飛び出るような金額だったのです。
すぐには依頼することもできず、本当に必要になったときにお世話になろうと思いました。

イタリアで日本語サービスの受けられる法律事務所はほかにもあります。
「Avvocato(弁護士)」「Consulenza legale(法律相談)」「Studio legale(法律事務所)」などのあとに「Giapponese(日本語)」と入れて検索すると、日本語で相談可能なところがいくつか出てきます。
必要に応じてそうしたところで弁護士を依頼するのも手段の一つです。

教会の移民弁護士を紹介される

私が弁護士にもっとも確認したかったのは、間違いで発行されたと思われる求職用の滞在許可証は果たして法律的に有効なのかどうか、ということでした。

ナゾの弁護士ロマヌスでは信用できなかったので、別の弁護士を探しておいてくれると言った友だちが、8月の初め、2人の弁護士にコンタクトを取ってくれました。

1人目は友だちの親戚の友だちですが、移民専門ではありません。
私の持っていた滞在許可証を見て、求職用とあるから発給された時点で有効だと言われます。
そして、イタリアで就職先を見つけられずとも、日本での収入証明のイタリア語翻訳があればそれで就労用に切り替えられるということでした。
逆に自営業タイプで就労資格申請をすることはできないと言われます。
ここへ来て自営業タイプがダメだと言われて、またイチから作戦を練り直すことになるのかと途方に暮れたのを憶えています。

2人目は友だちのやっている教会ボランティアつながりで、ローマにある教会の移民専門オフィスで働く弁護士でした。
教会は第三国からのカトリック移民を受け入れていますが、そうした業務を専門に行っているのだそうです。
その人は、私の滞在許可証に記載されていた個人識別番号を実際に調べてくれました。
彼らだけ見ることのできるサイトがあるようで、それによるとたしかに求職用として登録されているので、自営業でも雇用契約でも何でも可能。
自営業なら税務番号を取得して申請すれば、就労用に切り替えられると教えてくれました。

結局、弁護士は不要だった

こうして、ナゾの弁護士ロマヌスを入れて3人の弁護士からの言質を取り、自営業タイプの滞在許可証を取ることにして、税理士に書類作成を依頼することになります。
最終的に郵便局から書類一式を送るまでの一連の作業の中で、弁護士の介入は一切必要ありませんでした。

書類をもらうための郵便局の番号札。コロナ禍だったので中に入れず炎天下で待っていた思い出

私の場合は持っていた滞在許可証がイレギュラーだったので、その確認をするために弁護士の知見が必要でした。
それもたいしたことではなかったので、支払いは発生していません。

すべてが終わってみたら、結果として弁護士は不要だったということです。

そして本件に関して税理士に払った費用はたったの150ユーロ。
ほかに諸経費がかかっていますが、それはまた別の機会にまとめて紹介したいと思います。
ともかく、ナゾの弁護士ロマヌスにオーダーしていたら550ユーロだったので、やっぱり税理士費用のほうが安くついたようです。

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