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【読書感想#30】英が誇る文豪の最大傑作

1.概要

発行年:1860年
発行所:新潮文庫
頁数:(上)432頁(下)432頁
ジャンル:教養小説、冒険、恋愛、サスペンス

2.あらすじ

優しい鍛冶屋の義兄ジョーに育てられている少年ピップは、あるクリスマス・イヴの晩、脱獄囚の男と出会う。脅されて足枷を切るヤスリを家から盗んで与えた記憶は彼の脳裏に強く残った――。長じたある日、ロンドンからやってきた弁護士から、さる人物の莫大な遺産を相続することを示唆されると、貧しいながらも人間味ある生活を捨て去り、ピップは大都市ロンドンへと旅立つのだった……。

3.評価

4.5/5

4.感想

本作が描かれたのは1860年のイギリス。
産業革命がひと段落した頃であり、インドはまだイギリス領でした。
遠い昔の話のようですね。
実際、文化や言語が違うので多少の読みにくさは感じました。

ですが、本作の真の魅力はそんな文化や言語の壁を越えてひしひしと伝わってきました。

「富は人を幸せにするのか?」というのが本作の命題だと言えます。
主人公のピップはある時、莫大な財産を手に入れるチャンスを手に入れ、それによって人生が180度変わります。
今まであまり裕福とは言えない生活をしていたピップはどのように成長していき、どんな結末を迎えるのか。
本作は、その命題の答えの一つを提示しています。

ピップという少年の多感な時期を描く教養小説でもあり、物語で出会うある少女との恋愛小説でもあり、ある囚人との出会いから始まるサスペンスでもあり、本作は本当に様々な側面を持っている。
だからこそ、物語の深さを持ち、多くの人々に読まれてきたのだと思う。

古典文学というのは、「読みにくい」、「よく分かんない」という印象を持たれがちだが、本作は良い意味でその分かりづらさが魅力になっている。
あえてはっきりさせず、曖昧なままにしておく。
それが読者の想像力を掻き立て、上限のない物語の魅力を生み出している。
読んでみてそんな気がしました。

ぜひみなさんも読んでみてはいかがでしょうか。

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