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エッセイ | ひかりに導かれ、ひさしぶりの初恋

私が高校生の頃は音楽系サブスクリプションなんてまだなかったため、自分でCDを買うか、友だちから借りたCDを音楽プレイヤーに取り込んでいた。通っていた高校はアルバイトを禁止していたため、毎月もらうお小遣いをやりくりしてCDのレンタルを利用していた。

最近ではTSUTAYAがレンタル事業をしている一部店舗の撤退を発表したが、それほどまでにサブスクリプションが充実してしまったことが原因となっている。高校生の私が聞いたら膝から崩れ落ちていただろう。


高校生の私が好きだったのは斉藤和義やトータス松本、エレファントカシマシだった。はやりのアーティストも聴いていたが、1990年代や2000年初期の楽曲が好きだった。

その中でも「初恋の嵐」というバンドが好きだった。これ以降にスリーピースバンドを好きになる原因となったバンドである。

私が聴き始めた頃にはボーカル兼ギターが他界しており、バンド活動自体は休止中だった。そのため、リリースされている少ないアルバムを何回も繰り返し聴くことしかできず、私の興味は別のバンドへと移っていった。


音楽以外で私が好きだったのは満島ひかりだ。ドラマや映画に出演している満島ひかりを見ては「本当に同じ人なのか?」と疑問に思いつつ、次第にハマっていってしまったのだ。

特に『それでも、生きてゆく』というドラマを見て以降は、「好きな俳優は瑛太、好きな女優は満島ひかりです」といった具合だった。大人になった今でもその熱は冷めることはない。

SNSでもフォローしており、更新されるたびにニヤニヤしながら見てしまう。

そんなある日、満島ひかりのインスタグラムでストーリーが更新される。

「『隅倉弘至生誕50年ライブ』で初恋の嵐の楽曲を歌います」

このストーリーは衝撃的だった。隅倉弘至は初恋の嵐のベーシストだ。活動休止中のため追っていなかったのだが、生誕記念ライブを開催するらしい。しかもバンドにゆかりがあるボーカリストを呼んで初恋の嵐のライブをするのだ。

私にとってはカモがネギをしょってきたようなものだった。気づくとチケットを買っていた。


ライブではさまざまなアーティストが参加して初恋の嵐の楽曲が披露された。正直、ライブで聴けるなんて思ってもいなかったため感動した。

そして満島ひかりだ。5人目のゲストボーカルとして登場した時には会場にいる全員の視線が満島ひかりに集まり、主役である隅倉弘至も嫉妬するほどだった。

スラリとした細い体と小さな顔。テレビで見る時よりも満島ひかりだった。歌声もキレイで力強く、女性が歌う初恋の嵐も良いなと思えた。好きなバンドと好きな女優を同時に生で見られる日が来るとは……。

満島ひかりを好きでよかった。この場に居られたのは奇跡に近いと思えた。



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