マガジンのカバー画像

WAKIMIZU

63
散文詩など
運営しているクリエイター

#自由詩

渋谷で?時の夢の中

私は渋谷駅の南口と東口の間にあるマクドナルドを抜けて、そこから続くモールのようになっているアーケードを全速力で走っていた。
呼吸器が痛い。口の中に血のような味が滲んできた。
ビルの隙間から開けた空を見るのが好きで、私は空き地に寝転ぶ。
雲は渦を巻いている。
突然、空き地の目の前の道の向こうから、こちらへ向かってくる激しい音がした。
近づいてくるガソリンと焦げた匂い。
赤ちゃんの人形が付いた火炎放射

もっとみる

必殺技の内訳

恋に落ちてしまえ
お前も
お前も
お前も

恋に落ちてしまえ
お前も
お前も
お前も

此れを奉り給え
ガランゴ
ガランゴ
ガランゴ

此れを奉り給え
ガランド
ガランド
ガランド

暮なずむ

鳥に注意してね
ギャランボ
ギャランボ
ギャランボ

鳥に注意してね
ミャミャンミャ
ミャミャンミャ
ミャミャンミャ

竹藪出来た
出来たら笑え
笑え 笑え
山笑え

これは呪いですよ
シャランシャ
シャ

もっとみる

古い指輪の夢

海辺では何も聞こえない
サラサラと砂の落ちる
ザワザワと波の押し寄せる

縞模様の中に取り残された
高いところから落ちたせい
頭を打ったから鮮明になってしまった

口から何かがするすると
身体中をペイズリーが這い回っている
とても気持ちが悪いけれど
それではどうぞ
CGの中で必死に
必死にチャールストンを!

1.2.3.4.1.2.3.4.1.2.3.4.1.2.3.4前!後ろ!前!後ろ!
遡行

もっとみる

独りごちてサイゴニ

山裾が燃え出したとき呟いた イマノアナタヲゼンブクレナイ

重ねれば忘れてゆける思い出も クズレオチタヨトウフノカタマリ

滝壺の白とグレーと青緑 セカイハアラタニアカイヨアカイ

ニューロマンティク

梅林の雑踏
蓮華畑のピンク

光が肩をすり抜ける
大きな袖が靡く
飲み水に顔を浸した
前髪が垂れる

紋白蝶が羽ばたく大きな音
杜若の口づけ

迷いが胸に被される
小さな声が消えて
追い風に強く願った
藍染の浴衣

太陽が燃え尽きる直前の香り
黄金の田が揺れる波

鏡越しの暴風雨
ミュグレーのダンス
回路の変換
黙る赤い山

ワルプルギスの霄

ミーハーなのよ。下世話なのよ。それが1番楽しいでしょう?ねェそうでしょう?

そんなことより花を一輪頂戴。1番真っ黒のをね。

ローリーかよこエズラさちよソフィマリアンエルシー芙蓉ねェそうでしょう?

どんなことよりソレの話が楽しい。1番楽しいのよね。

ジャスミンの香りが充満していても もう誰も気づかない。私達しか気付けない。

こんなに芳しい夜になったから この闇は私達のも

もっとみる

令和初期、サンセットシティはいい天気

カムパネラは街中鳴り響き
不浄の切っ先がひび割れる 畏る 淡い海 桃源郷

サンセットは街中グラデーション
無常の一刻は迫り来る 私にも あなたにも 平等よ

大都会に住んでいたって 私の家の近所には
躑躅も藤も木香薔薇も 目が痛いほど咲いている

悲しいことが起きたって逃げられない 帰れない
ドルマンスリーブは空を飛べない

橙に桃紫藍色
苦渋の選択が下される お菓子にも 鸚鵡にも 想像よ

もっとみる

桃色の雲

何百年ぶりの 外歩きだろう
ひどい風で 恐ろしいほどの花弁が踊る
清々しいほど しずかです この街は 今

明日のことは明日のことです
何百人がかつて歌った
昨日のことは昨日のことです
忘れることなどできないけれど
付けっぱなしの日常 消そうとしてやめました

西の空には桃色の雲 目指して歩いてゆこう
西の空には桃色の雲 目指して歩いてゆこう
耳が痛い 千切れそう 心は脆い 千切れそう
西

もっとみる

ルナティック・パンデミック

壹、

キンコンカンコン

体と心を融解する作業

些細な体と些細な心

ナイフのような音楽

衝撃映像

揺さぶり

ガムランの音

マッキントッシュの起動音

さすらい人の笛



貳、

式場は埋め尽くされている
美しい水色
フランス語の歌声
恙無く執り行われる儀式

太陽と月を殺し

海と山をぶつける

太陽と月を殺し

海と山をぶつける

暖流と寒流の鬩ぎ合い

ダルメシアンの吠え声

もっとみる

血色是空

涙に浸った睫毛が瞼へ貼り付いた時
時計の針は記憶を失って彷徨うであろう
唐草模様は誰一人として逃がさない
無駄な足掻きはやめて
洗濯物の渦の中へ

まゆらぎがけたゝましく鳴いてゐます

眼鏡を捨てた時に味わった
この衝動は罪だと言われる
街灯が点滅をする度毎に
全部が始まり
気付く間も無く全てが終わっている

頬に赤みを差さねば外にも出られない
この苦痛は何処から芽生えたのだろう
タイダイ染は宇宙

もっとみる

春の運動

出逢ってしまった
事象と事象で
甘く恐ろしい人体実験を
始めます 始めます 或る夜から

混ざってしまった
事情と事情が
甘くほろ苦い原爆実験に
捧げます 捧げます この身割いて

沈丁花
どこにいるの
闇世の中
ずっと見つからない
美しい香りだけが
なにも見えない方へ誘っている
白くて赤い花

トリッチトラッチ
噂の貴方は
叫ぶ青白い石膏人形に
変わります 変わります 月の光

ナウ・ローディング・テン・イヤーズ

かりそめの わたしたち
できれば いまのうちに

かくしても みえてくる
さきゆく はなのように

すきとおる くらやみが
このさき はばんでいる

たちどまる わたしたち
つないだ てがほどけた

このしろは あるあさに
いきなり できあがった

このしろは いつのひか
いきなり おちるだろう

かやのそと そらのうえ
くらげが うようよいる

さむい すごくさむい
からだがうごかない うごかせ

もっとみる

かぐや姫2020

いつ死ぬか誰もわからない 本当よ
毎日が今生の別れだと思って愛しんで
スパイスガールもパノラマボーイも
おばあちゃんが言ってた

冬の野を彷徨っている時間があるのなら
その胸に火を灯せ
T-N-Tを炸裂させろ
ドーピングも厭うな

神に背き 諍い 紡いできたのが人間ならば
紅の紐たなびく青き空
誰も邪魔することができない一風を以て
新しく変わる日の出を目に焼き付けよ
ジャンヌダルクの一太刀

もっとみる

秋の色移りにけりな

台風に揺れる金木犀がオレンジ色の香りを無惨に吹き飛ばしてゆきます。

私は今、ここを出て行かなくてはなりません。

暗い路地に落ち切ったオレンジ色の花が照る深夜に私は行かなくてはならないのです。

涼しい朝には、陽の光も私もオレンジ色の花も、同じ一つの存在に還って揺れます。

オレンジ色は懐かしく優しく、そして悲しく、ビニールの音がカサカサと鳴っています。

学校の校庭が砂を舞い上げながら秋を撒き

もっとみる