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映画紹介

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記事一覧

『ジェイソン・ボーン』(10/7公開)

『ジェイソン・ボーン』(10/7公開)

 すごいよね。感無量だよね。「ボーン」シリーズが、ここまで息の長いシリーズになるとは(旧三部作の最後『ボーン・アルティメイタム』は2007年の制作で、気がついたら9年もたっていた)マット・デイモンは「ポール・グリーングラスが監督しなければ出演しないと言っていて、スピンオフ作品はマット=ボーンが出演しなかった。そのふたりが作り上げたキャラクターが堂々の復活である。 
 それまで「スパイ」といったらM

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『ブルックリン』7/1公開

『ブルックリン』7/1公開

最後にnote に映画紹介書いたの今年の1月だったんですね。はい、いっぱいいっぱいでした。でも、この作品は書かなきゃ、と思わせてくれた作品がこの『ブルックリン』。それにしても日本は公開が遅い(アメリカじゃすでにDVDが出ている)。アカデミー(作品賞他)にノミネートされなかったら、公開されなかったのかもしれないね。

 ちなみにシアーシャ(町山智弘さんは「ショーシャ」と発音してた)は両親がアイルラン

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『ディーパンの闘い』(2016.02.12公開)

『ディーパンの闘い』(2016.02.12公開)

 以前、パリの宿泊費の高さにあまりについていけなくて、郊外ならどこか手頃なところがあるんじゃないかと思って探し始めたのだが、Booking.com で見つけた「安いな」「パリからも便利だな」と思った宿は、レビューをつけている人の国籍がナイジェリアばかりで、しかもそのレビューが「ドアが壊れている」「トイレから下水のにおいがする」など散々であった。ああ、こういうところを最初にやってきて足がかりにする人

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『フランス組曲』(2016.1.8公開)

『フランス組曲』(2016.1.8公開)

まずい。あと一週間で公開だというのに話題になり方が小さい気がする。ちゃんと紹介せねば。こういうときのために、わたしのようなちゃんちゃら映画評論家が存在するのだ、とってもミッションを感じる(本当)。私は作品にあまりに圧倒されてしまい、原作を読もうとして価格が高いので(原書がフランス語って高いんですよね3800円以上する)図書館の蔵書を調べたら、港区図書館に5冊も蔵書があって一冊も借り出されていなかっ

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DENKI GROOVE THE MOVIE? 12/26(土)公開

DENKI GROOVE THE MOVIE? 12/26(土)公開

 今は平成27年です。つまり、平成が始まってから27年たったということ。27年あったら、一つの歴史が作られるのに十分な時間である。「昭和史」どころか「平成史」がもう書けるということ。で、私が初めて目にした「平成に始まる」歴史ドキュメンタリーがこの映画。電気グルーヴ結成25年の記録映画は、立派な平成の歴史映画でもあるといえる。もう平成は振り返るほどの積み重ねがあって、その文化の部分に、電気グルーヴは

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PAN ネバーランド、夢のはじまり 10/31公開

PAN ネバーランド、夢のはじまり 10/31公開

(C)2015 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

 いったいどういうコンセプトの映画なんだろうと思った。始まり方はかなりクレージーである。孤児院の前に母に置き去りにされた少年(ここからバリーのオリジナルとかなり違う、バリー作ではケンジントン公園で勝手に乳母車から落ちて孤児になったことになっている)が

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『ステーキ・レボリューション』10/16公開

『ステーキ・レボリューション』10/16公開

 「肉食」が選択肢からなくなっちゃってる人にとっては、そういう存在(=ビーフ・ステーキおよび牛肉)があるってことがもはや想定外なのかもしれませんが、この映画、それでも見ておくべきだと思いました。ベジタリアンにとっては世界はまだまだ肉食主流、菜食傍流に見えているかもしれないけど、では、牛肉生産者にとって世界は生きやすいのか? 実は、彼らも日々自分たちの存在意義にクエスチョンを感じる日々で、一方で、自

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『ディオールと私』

『ディオールと私』

 クリスチャン・ディオールの本社にカメラが入ることが許されたのはこれが初めてだとか。オートクチュール(パリオートクチュール協会に加盟していないと名乗れない。現在は、シャネル、ディオール、ジバンシー、ジャン=ポール・ゴルチェ、フランク・ゾルビエの5社しかない)すべてが一点ものの高級注文服のこと。映画の中に出てくる話なのだけど、ディオール一社から1シーズンに5000万円注文する顧客がいるんだそうです。

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イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密』

イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密』

来週13日(金)から公開の『イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密』アカデミーとれなかったけど私はかなり好きでした。第二次大戦下、ドイツ軍の暗号解析チームに加えられ27歳で天才数学者とたたえられるアラン・チューリング。非社交的で「そんなのうまくいくの?」と誰もが怪しむ怪しげなマシーンにかつての親友の名前をつけ、ひとり没頭するアラン。しかし彼のこのマシーンが実は近代コンピュータの始祖とな

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日本大好き『ベイマックス』は、平和憲法へのオマージュを含んでいる?

 うーん、だって私にはそう見えるんですよ。

 ちょっと検証してみますよ。

・両親を亡くした主人公ヒロは14歳の天才科学者少年。しかし、彼がロボット・ファイトに出場させるべく作ったロボットは、「不当なやり方でやられたら、やり返してもいい(=「武力モード」に切り替わる)」という二面性をもつものだった。(まあ一般的な国の安全保障のあり方)

・兄のタダシも弟ほどではないが優秀な工科大学に通う学生。や

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『シャトーブリアンからの手紙』 LA MER À L'AUBE , DAS MEER AM MORGEN

『シャトーブリアンからの手紙』 LA MER À L'AUBE , DAS MEER AM MORGEN

 最近、「さぼらないで映画紹介しよう」と思わせてくれたもう1本目の作品。

 この映画、フランス映画かと思って見ていたら(フランスのレジスタンたちがナチス・ドイツにばたばた銃殺されちゃう映画なので)、ドイツ映画なんです。『ブリキの太鼓』のフォルカー・シュレンドルフ監督、13年ぶりの日本公開作です。1939年ドイツに生まれるが、フランス・ブルターニュで教育を受け、卒業後パリで政治学を学び、このときに

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『三里塚に生きる』English Title : Living in Sanrizuka

『三里塚に生きる』English Title : Living in Sanrizuka

最近まじめに映画紹介を更新しようと思ったのは、この映画を見たから……というのが1つ(あともう一本は、次回紹介予定の『シャトーブリアンからの手紙』)。
 最近ちょっと気になっていたのは、羽田空港があまりに便利すぎてつい羽田便に乗りたくなってしまいますが、なんだか成田を打ち捨てていいのか? あんなに地元のお百姓さんたちが「ここに空港を作らないでくれ」って闘争して、双方に死者も出て、鉄塔立てたり(この鉄

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『メビウス』

『メビウス』

 キム・キドグ監督再新作。

ポジティブ思考的に言ったらね、幸せなケッコン、幸せな家庭をお求めの方はこういう映画、絶対見ちゃいけない……なんですけど、この映画と、8月に公開された『イーダ』はどっちもケッコン・家庭に中指突き立てる内容ですが…ってこの『メビウス』はその突き立てたものが切られちゃう映画なんですが(笑)、すごいなあ。「面白い」っていう言葉で表現するのはちょっと違うと思うけど、こういうもの

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『ショート・ターム』 original title: SHORT TERM 12

11月公開の映画でイチオシはこれです。「ショート・ターム」、すなわち何が短期なのかというと、子どもたちの「一時預かり」。なんらかの家庭問題によって心に傷を持つティーン・エージャーたちのシェルターなのですが、実際は「ショート・ターム」で出られる子はわずか。年齢制限でいたしかたなく「卒業」を迫られ、社会に適応できるかどうか悩む子も出る始末。

 かといえば、ちょっとしたことでふさぎ込み、奇声をあげ、

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