『シャトーブリアンからの手紙』 LA MER À L'AUBE , DAS MEER AM MORGEN
最近、「さぼらないで映画紹介しよう」と思わせてくれたもう1本目の作品。
この映画、フランス映画かと思って見ていたら(フランスのレジスタンたちがナチス・ドイツにばたばた銃殺されちゃう映画なので)、ドイツ映画なんです。『ブリキの太鼓』のフォルカー・シュレンドルフ監督、13年ぶりの日本公開作です。1939年ドイツに生まれるが、フランス・ブルターニュで教育を受け、卒業後パリで政治学を学び、このときにヌーヴェル・バーグの薫陶を受けて映画界に入ったシュレンドルフ監督にとって、文字通り独仏の両国が祖国で、「独仏の和解なくしてヨーロッパはない」という彼の哲学が表現された作品となりました。
本作は、ドイツの側から当時のフランス・レジスタンの処刑を描いている。そして、この処刑をなんとか止めようとしたナチスの現場の将校たちの動きも。『踊る大捜査線』ではありませんが、現場は作戦本部とは違う(というか正確な?)現実が見えていて、一つの組織がみな同じものの見え方をしているとは絶対に言えない。しかし結局はベルリンからのお達しに屈することになってしまう。
1941年にフランス西部の都市ナントでレジスタンがナチス・ドイツの将校一人を射殺。ドイツ側は、その報復として、フランス側捕虜150名の射殺を要求、この命令を回避しようとするフランス駐留ドイツ参謀本部の画策もむなしく、ナント、やはりフランス西部のシャトーブリアン(ステーキとは関係ありません)、パリで処刑は実施されてしまう。
本作では、その発端となる射殺の1日前、1941 年10月19日のまだのんびりムードのシャトーブリアン収容所から10月22日に銃殺が終了するまでをつぶさに描いている。。。まあ史実だから内容は変えられないのですけどね。それにしても、17歳のギイ・モケ(レジスタンスの英雄として地下鉄の駅の名前になっている。2007年に彼の手紙の朗読をするよう学校に通達したサルコジが批判にさらされるという後日談も)をはじめ、ひとりひとりの殺されていくさまを、ここまで描ききられてしまうと……、胸がひりひりするというか、なんというか。フィルムの持つ力を、感動的な演出ともドキュメンタリーとも違う形でまざまざと見せられました。
公式サイト http://www.moviola.jp/tegami/
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