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本を作りました!(その2)

詩集を作りました。
本日は一人目の著者、イセザキの収録作品をいくつかご紹介します。

Ⅰ.



君に捧げた言葉が、光を放って浮遊していくように、

波々と注いだ酒の
――零れた一滴まで愛した


全てが壊れないようにと、慎重に仕舞った羽


謳われてきた歴史とは正反対に立つ君の、ターニングポイント


右の手の指をこめかみに強く押し当てれば、どこからか菜の花の匂いがした
千の記憶の波さえも、夕焼けの狭間に消え落ちていく



答えはないよ、答えはないよ。と空が唱えて、

どこにいるの?どこかにいるよ。と甘く風が囁く



静かに伝わる波形を感じ取れば、今よりもっと見えるかもしれないね


あなたの熱量さえも、自らの内に落とし込んで


盲目


あの日見た葉桜と金色の冠



草の匂いがして、何か聞こえるようで



言霊のように、
光がはじけて。



Ⅱ.


海に流れる一筋の光、
線を引いて消えそうに
ぼんやり  ゆらゆら

夜風はぬるく、
酒はどうにも体に入ってこない

白い船体が浮かび上がり、ボウボウと汽笛


小さな花を踏みつぶすような感覚で、言葉を放った。
(きみにとっては鋭利な代物だっただろうね)


彼の船が立てた波が
すこしの時を経て、僕の眼下に迫る

ひどく弱々しい 穏やかな波が


湿気ったたばこ、海の匂い、噛んだ口の中の


わずかばかりの期待を持ったこの手は、数秒後に、力なく元あった場所に戻るだろう


何かに責めて欲しかったのかもしれない
  (誰かに叱って欲しかったのかもしれない)


足下に届いた波の残滓は、何も掬わずに宙に消える。




Ⅲ.

ねぇ、君に光を授けよう
  (見えないなら目をつぶって、聞こえないなら耳を塞いで)


ねぇ、明日も新しい光に出会いたい
  (言葉を交して、歌をうたって)


重ね合うその手のひらに炎
パチンと鳴らせば銀色の蝶


素敵ねと唇を震わせて
遊びに行くなら爪を塗って


世界のすきまに小さなカスミ草
猫の匂いのするマンホールに水色の帽子


Clap! Clap! Clap!
一瞬だけまたたく


エンドレスとスタート
わたしたちの好きな場所ならどこへでも


ねぇ、わたしは今日も君の腕の中で
ねぇ、重ねていく明日を歌にして


少しだけ開けた窓


―夏の匂いと風



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本を作りました!(その3)では笹倉アトリの作品を紹介します。

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詩集『同じ空を見ている』
2020年3月18日 第一刷発行
B6・ハードカバー・箔押し・全176ページ
収録作品全50編(イセザキ25編・笹倉アトリ25編)
定価2300円(送料別、全国一律180円)

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