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映画・舞台感想

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内容が日記と混在しているものが多々。記事のタイトルに映画のタイトルがふくまれていないものも、多々。
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映画「エゴイスト」

映画「エゴイスト」

東京で雑誌の編集者として働く浩輔とパーソナルトレーナーの龍太の出会いとそこから、家族、愛とは?エゴとは?、という内容の物語。

映画になることは知っていて、そのあと原作が文庫化されるニュースを見てたしかすぐに買いに行ったんだった。そしてすぐに読んで、何度も読んで、その度にこのページのこの言葉に息が止まってしまう。

相手があって行うこと全てにこの言葉は当てはまる。この言葉に出会ってから頭のどこかで

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「僕は歌う、青空とコーラと君のために」

「僕は歌う、青空とコーラと君のために」

こんなにも「まだ、終わらないで」「もう少しこの世界を共有させて」と思う時間を過ごすのはいつぶりだろう。

劇団ヒトハダの旗揚げ公演「僕は歌う、青空とコーラと君のために」。
観客席は100席くらいかな、舞台は手を伸ばせば届くんじゃないかって近さ、舞台の上の俳優さんの汗から何から全部が見える。
こんなに近くて熱いものを共有してしまったら、この先何百席もある劇場で舞台の上をオペラグラスで眺める観劇なぞ物

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映画『ヘアスプレー』

映画『ヘアスプレー』

WOWOWで録画した映画『ヘアスプレー』。やっと観ることが出来た。
ミュージカルは久しぶりかもしれない、歌とダンスで彩られた2時間はやっぱりエネルギーにあふれたハッピーなもので、こうやってエンターテイメントから前向きなパワーと明るさをもらうんだなぁと再確認する。

物語のあらすじは以下の通り(公式サイトがもうクローズしてしまったようなので映画データベースより)。

トレーシー(プラスサイズの女子高

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「ぽに」「ともだちが来た」

「ぽに」「ともだちが来た」

2日続けて異なる舞台を観に行くなんてはじめてだ。時間を融通できたタイミングで観たい作品が渋滞していて運よくチケットを取ることが出来て…いろんな積み重なりがあってその上にこの2日間の贅沢がのっかっている。

1日目はKAATで劇団た組の『ぽに』。

Aブロック以外はほぼ同じ目線の高さで観る囲み舞台。会場に入ると真ん中に円形の舞台、舞台を囲む4方向に座席が並んでいる。舞台には公園のようなセットが組まれ

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映画「ムーンライト・シャドウ」

映画「ムーンライト・シャドウ」

ひとつのキャラバンが終わり、また次がはじまる。

原作の最後、立ち止まるしかなかったさつきが自分に言い聞かせるように訥々と綴られる言葉。そう、この物語ははじまりとおわりの物語、誰もがその中に取り込まれている止めることのできない時間の流れの物語だ。

これまで決して多くないページに記された文字をなぞり頭の中で想像を広げてきたものが、原作の発表から30年以上の時間を経て目に見える映像と音で形作られる。

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2021年6月6日 ピサロ千穐楽

2021年6月6日 ピサロ千穐楽

初演の稽古開始2020年1月31日から実に493日。昨年の初演と今年の再演を合わせて36公演、ピサロの旅が終わりを迎えた。
今も緊急事態宣言下であり、決して状況は楽観できるものではないけれど、その中で20日間無事幕は上がり続けた。
朝目覚めると、よくない知らせが入っていないか確認し、ひとまず今日の、目の前のひとつの無事を祈る、去年の上演期間から習慣となったことだ。昨年は本当に数時間先のことすらどう

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2021年5月16日 ピサロ、再びの出発

2021年5月16日 ピサロ、再びの出発

去年の初演も運良く劇場でその空気を吸うことができた「ピサロ」。
もはや説明を省く昨年春のアレによるソレを経て、2021年5月15日から26公演の再演が始まった。
初日18時の開演に合わせて家を出る。去年のアレコレによるトラウマからまだ抜け出せずにいる今、チケットを持って家を出ても、PARCOに着いて8階に上がるエスカレーターでも、まだ本当にその時を迎えられるのか確実だと思えるものはなく浮き足立った

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2021年3月12日 WAITRESS しあわせのパイ

2021年3月12日 WAITRESS しあわせのパイ

私鉄のように改装が頻繁ではない東京メトロ。歴史を感じる日比谷駅A13の出口を出てすぐの日生劇場。
貝殻が埋め込まれたドット模様が印象的な高い高い天井、洞窟のような曲線の続く壁面、サーモンピンクとオレンジを合わせたような彩度を抑えた色のシート。舞台の世界を楽しむためだけに作られた贅沢な空間は、その場に足を踏み入れただけで気持ちが高揚してしまう。

昨年の秋、テレビで見て楽しみにしていた「ミュージカル

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2021年1月24日 拍手が届くように

2021年1月24日 拍手が届くように

つい先日、年末だお正月だと思っていたのにもう1月も終わりが見えてきた。刺激のない毎日はあっという間に過ぎ去っていく。

上演される3月には状況が好転しているだろうという期待と共に楽しみにしていた劇団ヒトハダの公演について、先日残念な知らせが届いた。
仕方のないことだし、そうするしかないことだし、それをどこかで覚悟もしていた。小さな劇場でのお芝居だからこその決定だったのかもしれない。

頭ではわかっ

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2020年12月24日 クリスマスに願いを込めて

2020年12月24日 クリスマスに願いを込めて

取っていたチケットの日程が中止になってしまったPARCOSTAGEの『チョコレートドーナツ』。
先日無事幕が上がり、関わる方の思いが繋がって本当に良かったと思いながら、どこかで観に行けたらと、日々自分と家族の予定と公演スケジュールとのにらめっこを続けていた。先日、運よく各所調整がつき当日券の縁も手繰り寄せることができ、観劇が現実のものとなった。

天井まである大きくて真っ赤な扉を通り中に入るのは3

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2020年11月9日 震える空間に震える思い

2020年11月9日 震える空間に震える思い

月曜日。慌ただしく過ぎていくけれど、唯一子どもたちのお迎えを夫にお願い出来る(その確率が高い)、私にとっては貴重な貴重な曜日。

そう出来る時はありがたくお願いして、少し寄り道して買い物をしたり立ち読みをしたり、TULLY‘Sでコーヒーを飲んで帰る程度の息抜きだけど、今日は特別、日比谷のシアタークリエで上演されているミュージカル「RENT」を観にいく。

エンジェルシート、当たるわけないよねと思い

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「ボクの穴、彼の穴」初日

「ボクの穴、彼の穴」初日

9月17日、東京芸術劇場。

表現を求めにたくさんの人が集まる静かなパワーに溢れた場所。
広々と開放的な1階、少しレトロな椅子の具合がとても心地よい地下。秩序が保たれ凛としていて、でもこれから始まるものへの期待をみんなが持っている。

氷魚くんと佐助さんの舞台。
7月15日に発表されてから2ヵ月、大きな悲しみもあって、新しい楽しみを待って受け取ることが純粋に嬉しいだけでない思いも持ちながらの2ヵ月

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2020年9月21日 「ボクの穴、彼の穴」 5日目8公演目

2020年9月21日 「ボクの穴、彼の穴」 5日目8公演目

開幕から5日目、8公演目の9月21日の夜公演。
2回目の観劇に東京芸術劇場へ向かう。まだまだ時間は間に合うのに、少し早足になるようなはやる気持ちを抑えながら。

今日の席は下手の前列。こんなに前で舞台を鑑賞できるのは初めてというくらい。
前回観劇した初日は全席発売されておらず、1席ずつ間を空けて、それでも1階席はほぼ埋まっていたように見えたけれど、今日埋まっていたのは1階の前半分くらい、後ろの方や

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「ボクの穴、彼の穴」 観られた幸運に感謝して

「ボクの穴、彼の穴」 観られた幸運に感謝して

宮沢氷魚さんと大鶴佐助さんの二人芝居、「ボクの穴、彼の穴」が23日千秋楽を迎えた。
7日間全11公演、予定されていた全ての公演が予定通り幕を上げ上演された。それが当たり前ではなくなってしまった今、無事に千秋楽の日を迎えられたことが心から嬉しい。以前だったら、幕が上がることへの感謝とその与えられた時間の愛おしさ、今程感じることはなかっただろう。

あの広くて高さも奥行きもある空間を、様々な演出はあれ

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