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また出かけられるその日まで


いっとき、すごく身軽に旅行するのが粋だと思っていて、機内に持ち込める手提げかばん一つでヨーロッパやアメリカを旅した時期がありましたが、まぁ実際は正直少し無理があるなと思うに至り、10年以上使った日本メーカーのスーツケースを新調したのが2015年のことです。最初から既に「いって」る(関西弁?=傷付いている)かのようなボディーのデザインがトレードマークのイタリアのスーツケースメーカー「クラッシュ・バゲージ」は当時まだ日本では新しいブランドだったと思いますが、一番大きいサイズのものを吉祥寺の駅ビルで購入して、すぐアメリカに持って行きました。下ろしたてのスーツケースを転がしながら空港の外に出ると、迎えに来てくれた友人が車のトランクにそのスーツケースを入れてくれながら「随分使い込んでいるね」と言ったのを今でも覚えています。

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( CRASH BAGGAGE icon collection・red・size L・in 2015 )

クラッシュバゲージは海外の大雑把な仕上がりのアスファルトの上でも転がし心地が非常によく、かつ適度に弾力性のあるポリカーボネイトでできたボディが地面の振動を吸収するので転がしていても移動中個人的に全くストレスがありません。触り心地はツルツルでもザラザラでもない改質ポリプロピレン(レストランのテラス席などにある椅子の素材)のようなテクスチャーで、さらに店員さんから聞いた話ではファスナー部分にはナイフで切り裂いて中身を出そうとする犯罪を跳ね返せる特殊な、刃物で破れない強靭な生地を使っているらしく、可愛らしい容姿と裏腹にかなりセキュリティー面の設計がしっかりとなされている頼もしいスーツケースなのでとても気に入っています。

ただ個人的には、これまで愛用していた日本のスーツケースと、横向きに持つ時の取っ手の付いている側が逆なので、いまだに無意識に手を伸ばすとそこに取っ手がなかったりします。

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一応確認でRIMOWAのサイトをのぞいてみましたが、やはり表から見るとクラッシュバゲージ同様に右側にハンドルがついています。でも例えばグローブトロッター社は左側にハンドルがついていますからメーカーによってどちらに付けるかはバラバラなようです。

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(英グローブトロッター社と独リモワ社。横のハンドル(取っ手)のついている側がそれぞれ左と右。)

ただ僕の個人的な意見としてはキャスターハンドルを右手で持って転がした場合、横のハンドルは左についている方が縦のハンドルを相手に向けてチェックインカウンターなどで荷物を預けられるのでいいと思うんですが(右側にハンドルをつけると横向けにしたときに前方にいる相手側にキャスター(底)が来る)、きっとそういうのはあまり気にしないんでしょう(下の図参照)。

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(一般的なチェックインカウンター。スーツケースは右側に持つ)

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(ハンドルが右の場合の渡し方)

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(ハンドルが左の場合の渡し方)

おしまいに

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妻も同じものの色違いを時同じくして購入したので、この写真にありますように東京には現在僕の赤と妻の黒の二つがあります。ただ、お揃いではありますが実は我々夫婦は長い付き合いにも関わらず一緒に旅行に出かけたことがありません。新婚旅行もこちらの仕事の招待旅行と結婚の時期が重なり、結局僕だけが楽しんで帰ってきてしまい、帰国後はまた次の年の仕事でご招待いただいた旅行まで殆ど働き通しでしたので、夫婦旅行はひとまず実現しませんでした。思い返せばそもそもあまりどこか遠くに二人で出かけたことがないまま時が流れ、いつの間にか今に至ります。いつか書きましたが僕たち夫婦には息子がいますので、今の騒ぎが収まったらクラッシュバゲージに着替えを詰めて、家族四人でイギリスにでもハイキングをしに行きたいと思っています。

( 文・写真 / 西澤伊織 )





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