いぬい

1993年生まれ。酒場とインタビューと、雑誌のようなものが好きです。編集者でライター

いぬい

1993年生まれ。酒場とインタビューと、雑誌のようなものが好きです。編集者でライター

マガジン

  • 『A GUIDE to KUROISO』が、できるまで

    栃木県・黒磯の町を1年間かけて取材した書籍『A GUIDE to KUROISO 栃木県、黒磯。あたらしい未来が生まれる町』。出版レーベル"風旅出版"の第一弾書籍としてつくられたこの本の制作過程や、届いていく様子をnoteにしてお伝えします。

最近の記事

  • 固定された記事

栃木県・黒磯の町を1年間取材した書籍『A GUIDE to KUROISO』が完成しました

約1年前の冬に、丸1年以上の時間をかけて本をつくる機会をもらいました。 それも、自分の人生ではじめて名乗る「主筆」という役割で。 つくり終えた本は、関わってくれた多くの方々の後押しによって、自分の力量を遥かに超えた良い本になったと思います。 約1年の時間をかけて制作してきた栃木県・黒磯のガイドブック『A GUIDE to KUROISO』が完成しました。 版元は、株式会社Huuuuが立ち上げたあたらしい出版レーベル「風旅出版」。サブタイトルは「栃木県、黒磯。あたりまえ

    • 独立後の名刺に「エスノグラファー」と入れた理由

      独立することが決まって、思ったのは「気持ちを切り替えるために、自分の名刺を作らなきゃ」ということでした。 肩書きをどうしよう。自分のやること、やりたいことを表すための選択肢がいくつかあり、どんな肩書きを名乗るべきか、悩みました。 編集者・ライター 編集者・インタビュアー インタビュアー いくつかの選択肢が思い浮かぶなか、 「編集者・エスノグラファー」 と名乗ってみることを決めました。 編集者であり、エスノグラフィーを行う人……を名乗ろうとしたのは、自分の理想と

      • Huuuuを退職しました。お世話になりました。

        年末年始のこの時期ですが、自分のなかでも節目になることが昨年あったので報告します。 2022年から社員として所属していた、株式会社Huuuuを退職しました。 Huuuuのみんなには、本当にお世話になりました。フリーランスの頃から数えると、もう4年間くらい一緒に仕事をしてきました。業務委託として引き続き一緒にやらせてもらう仕事もありつつ、関係性は変わります。 自分は独立して、フリーランスの編集者・ライターとして活動します。 今後のことは、こちらのnoteに書きました。

        • 陽気な雑踏が生まれていた、4年ぶりの黒磯日用夜市について思うこと

          愛着のあるまち、が自分の中に増えていくといいなと思う。 何度でも行きたいまちであり、会いたい人のいる場所であり、そこにいくことで自分の変化とこれからについて考えるような土地。 栃木県にある「黒磯」というまちが、自分にとってそういうまちだ。昔ある時期に毎月のように通って取材を重ね、1年前には主筆として、本を出版させてもらった。 そんなまちに、久しぶりに行ってきた。8/27に開催された「黒磯日用夜市」に参加するためだった。 仲の良い友人や先輩を誘って、午前中は車で少し離れ

        • 固定された記事

        栃木県・黒磯の町を1年間取材した書籍『A GUIDE to KUROISO』が完成しました

        マガジン

        • 『A GUIDE to KUROISO』が、できるまで
          4本

        記事

          生活を見直すために、6月から長野に住んでいます。

          自分は周りくどい工程が好きな人間で、何かをするために、別の何かをきっかけにしたりします。 「自分はこれから少しだけ、こういう形の自分になる」と気持ちを切り替えるためにいつも「その手前にやるアクション」が必要で。何か大きな動きをするときにはいつも何かを自分に期待している気がする。 “住む場所を変える”ということも、自分にとって大きなアクションで。今回に関しては「自分の生活を見直したい」という気持ちから、長野に住んでみることを決めました。 2023年の6月頭に東京から引っ越

          生活を見直すために、6月から長野に住んでいます。

          「なかったことにしない」にこだわる理由

          編集者としてどんなものが作りたいのか?  そうきかれて答えるのはいつも、「アーカイブ」についての話だった。取材した相手の人生の転機や、その人が周囲からどう愛されていたか、その街の歴史、取材した日のその人がどう見えたか、その人は何に愛着がある人なのか……向き合えた個人や向き合えたシーンのことをどうアーカイブできるか、ばかりをよく考えている気がする。  かっこいい音楽に詳しいわけでも、見たことのない映画への憧れが強いわけでも、人と比べる必要のないくらい美意識への自信を強く持っ

          「なかったことにしない」にこだわる理由

          出版から9ヶ月経って、黒磯本の販売キャンペーンを(改めて)はじめます

          今年の2月に出版した、一冊の町の本があります。 栃木県黒磯という魅力的な町に1年以上通い、13人の店主へのインタビューと、イラスト化した町の地図、いくつかのコラムをまとめて本にしました。 黒磯に親戚もいなければ、栃木県の出身でもない。ヨソ者であり旅人だった自分が主筆として町に通ったからこそ、他の町と黒磯の違いがよく見える本になりました。店主たちは一枚岩ではないけれど、僕の出会った店主全員が「いい町とはどういうものか」という問いを持って暮らしていた。 この本が語るのは、北

          出版から9ヶ月経って、黒磯本の販売キャンペーンを(改めて)はじめます

          『WOW WAR TONIGHT』ばかり聴いている時期があった

          きっかけが何だったかはわからないけれど、h jungle with Tの『WOW WAR TONIGHT』ばかり聴いている時期があった。 コロナ禍になって家にいるとき、昔のお笑いを掘ろうとして、やすしきよし師匠の伝記本を読んだり、ダウンタウンの昔の漫才やトークを見たりしていて、その流れで「浜田さんって曲出してるの?でもメロディは聴いたことあるな…」で聴き始めたんだと思う。たぶん。 朝家を出て仕事場に向かう時や、お酒を飲んだ帰り道や、いろんなときに聴いているうちに、いつのま

          『WOW WAR TONIGHT』ばかり聴いている時期があった

          さりとてくんの短歌教室、に参加して

          さりとてくんの短歌教室に参加した。 あまりにも楽しくて感動したのと、かなりまとまった量の短歌を一度に読んだことで思うことが多すぎて、感想を書いて送ろうとしている。普段はしないスピード感で。 短歌教室のなかで語ってもらった短歌の仕組みのようなものは、何となく短歌を知っていたつもりの自分(なんなら何首か詠んだことがあって、自分の詠む短歌はそれなりに好きだなと思っていた自分)にとって、バシッと解像度をあげてくれるような話ばかりだった。 ただ、仕組みのあとに教えてくれた「上達の

          さりとてくんの短歌教室、に参加して

          本のタイトルを決めた理由① 「あたり前に未来が生まれる町」と、名付けられなかった書名『ボトムアップタウン』について

          書籍『A GUIDE to KUROISO』の出版が本の形になって世に出てから、早くも8ヶ月が経ちました。(8ヶ月……) 本当は、出版直後から「この本づくりにまつわるあらゆる出来事や感情を書き残して、オーディオコメンタリーのような、スピンオフのようなものとして楽しんでもらえるようにするぞ」という気持ちがありました。 ただ、あらゆる出来事や感情に(勝手に)押し流されて、書いたまま長く下書きに眠っているものがいくつもあります。 そうして僕が文章を眠らせてしまっている間にも、

          本のタイトルを決めた理由① 「あたり前に未来が生まれる町」と、名付けられなかった書名『ボトムアップタウン』について

          散文の書き方 7/22

          インタビュー記事やコラム、エッセイを仕事で書いていると、とりとめもなくキーボードを叩くままに書く「散文」みたいなものを書く機会が減る。機会が減るのと、ハードルが高くなるのかもしれない。「散文といえど……プロというからには、ねえ?」みたいな気持ちになっては書きはじめられなくなってしまう。今日みたいに、「25分だけアラームをセットして、ひたすら何か書いてみようかな」「よく書けたとこだけ残そうかな」みたいな気持ちの持っていき方をすれば良いのかもしれない。おそらく、そういうのを何日か

          散文の書き方 7/22

          黄金色のビールの向こうに、沢山の人生を見た。キリンビールサロンでの出会いについて

          2020年の夏、大学時代の先輩から久しぶりにメッセージが届いた。 先輩とは、関西での大学生活をともにした。自分が上京してからは、お互いに誘ったり誘われたりしながら、たまに銭湯や居酒屋に行っては一緒にビールを飲む仲だった。 「飲みに行こうよ、の誘いかな?」と思ったけれど、どうやら今回は違うみたいだった。 ビールと人が大好きな先輩のSNSを見て、先輩が少し前から『キリンビールサロン』という楽しげなコミュニティに参加していることを知っていた。 「これからのビールを考える」を

          黄金色のビールの向こうに、沢山の人生を見た。キリンビールサロンでの出会いについて

          体操

           「おじさんになったら、毎日ちょっとだけ体調悪いから」という言葉にとても怯えている。若さにかまけて、全く体を整えて来なかったツケがいつの間にか来ていて、今でさえ、あまりの体力の衰えにびっくりしているくらいだ。  昔はそれなりに肉の少なかったお腹も、順調にビール腹に。体を鍛えている友人から「腹筋ぷよぷよやん!笑」と言われた時の、伝家の宝刀的言い返し「いやいや、俺の腹筋は中で割れてるねん」も今となっては悲しい。この間は一緒に銭湯に行った先輩から「いぬいくんお腹やばくない!?”餓鬼

          インタビューをして、書いた文章たち 【一覧】

          どうもご無沙汰してます。 もしくは、はじめまして。 ライター・編集者のいぬいです。 酒場と漫才が好きな28歳です。 兵庫県宝塚市で生まれ、関西・大阪の出版社で酒場取材に明け暮れたのち、今は東京に出てきてフリーランスとして仕事をしています。 上京してから、いくつかのWEBと雑誌でお仕事をさせてもらっているんですが……自分の仕事をまとめて見返せる場所がありませんでした。 「あったほうがええよな……」と思い立ったので、これまでの執筆記事たちを一覧にまとめておきます。 どの

          インタビューをして、書いた文章たち 【一覧】

          編集者なのに、上京物語が書けなくて。

          お久しぶりです、いぬいです。 (もしくは「初めまして」なのに、目を留めてくれてありがとうございます。) 実は最近、大阪の会社を辞め、上京しました。 大阪では、雑誌の編集者になりたくて出版社に転がり込み、いっときは月刊誌の編集部員として働けました。ここ数年はとても楽しい毎日でした。 いまは、銭湯と餃子屋さんの多い「梅屋敷」という街に住みながら編集者・ライターとして活動しています。 かなり大きな環境の変化なので「近況を知ってもらうための日記」みたいなのを書

          編集者なのに、上京物語が書けなくて。

          何かしら褒めるところを見つける話

          自分の良いところなんて、言われないと気づかない。 前職の会社は、飲食店の多い街にあった。ある日、昼ごはんをどこで食べようかと探しながら歩いていると、一緒にいた会社の後輩の女の子から「あの喫茶店とかはどうですか?」と聞かれた。 そこは量は多いけれど美味しいというほどのことはない、普通の喫茶店だった。覚えている味を言うなら、ちょうど缶詰のトマトを温めたみたいな味のトマトソースパスタを出すところだった。 ぼくは時々その店にコーヒーを飲みに行っていたし、

          何かしら褒めるところを見つける話