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栃木県・黒磯の町を1年間取材した書籍『A GUIDE to KUROISO』が完成しました

約1年前の冬に、丸1年以上の時間をかけて本をつくる機会をもらいました。

それも、自分の人生ではじめて名乗る「主筆」という役割で。

つくり終えた本は、関わってくれた多くの方々の後押しによって、自分の力量を遥かに超えた良い本になったと思います。

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『A GUIDE to KUROISO 栃木県、黒磯。あたりまえに未来が生まれる町』


約1年の時間をかけて制作してきた栃木県・黒磯のガイドブック『A GUIDE to KUROISO』が完成しました。

版元は、株式会社Huuuuが立ち上げたあたらしい出版レーベル「風旅出版」。サブタイトルは「栃木県、黒磯。あたりまえに未来が生まれる町」。多くのローカルと出会い、土地に根ざした人々の仕事や文化や暮らしを取材し続けてきたHuuuuだからこそ、注ぐことができた「町の本」への情熱があったと思います。

2月28日から販売開始したこの本が、たくさんの人の元に届いていくのが、嬉しいような、実感がまだまだ湧かないような、不思議な気持ちです。

この本のことを知ってもらうため、そして、1年間の時間をかけて黒磯に通い、「町の本」をつくりながら考えたことや感じたことを残しておくために、少しずつ文章に書いていきたいと思っています。

本のはじまり

本の話を聞いたのは、2020年の11月ごろ。

当時フリーランスだった自分に、Huuuuの代表・徳谷柿次郎さんが声をかけてくれたことから、自分はこの本に関わりはじめました。

「黒磯っていうすごい面白い町があって。そこの本をHuuuuで作るから。文章は全部乾くんに書いてもらおうと思って」。多分、ほぼ原文そのまま、こんなことを言ってくれたと覚えています。

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本当に一冊のほとんどの文章を書かせてもらい、全ての取材に立ち会った

最初は、書籍制作の企画にライターとして呼ばれたのだと思っていました。けれど話が進むうちに企画から考え、黒磯の町に通い、誰にインタビューするのかを悩み、台割(本全体の設計図)をつくり、デザイナーさんや写真家さん、イラストレーターさんと相談を続け、気がつけば、編集後記まで書かせてもらうことに。

自分の役割はなんだったんだろう?奥付に、なんと載せてもらおう。そう考えながらHuuuuのみんなと話している時に言ってもらえたのが、『主筆』という肩書きでした。もちろん人生ではじめて名乗るもので、雑誌の編集長たちに憧れてこの世界に入った自分にとって、とても嬉しいことでした。

完成した本の奥付に自分の名前が載っているのをみて、本当に嬉しかった

そうして本が完成するまでの約1年間。お世話になり続けてきた黒磯の町。その町は、本当に不思議な魅力に溢れた場所でした。


黒磯の町のこと

黒磯駅前はもともと、那須高原や板室温泉といった観光地に行くための玄関口のような場所だったといいます。多くの観光客は、素通りする町だったと。

しかし、約30年前に開かれた1軒のカフェをきっかけに、美意識と思考を大切にする店主たちが個人店を営み、その姿を魅力的だと思う旅人が集まる町になった。

元々「店の文化」が好きだった僕は、意気揚々と通い始めます。ただ、通えば通うほど、この町の魅力を一言でなんと言ったら良いのかわからなくなりました。

それほどまでに、黒磯の町は複雑で面白かった。店と人が長い時間をかけて育んできた町の空気は、一つの側面からでは見えも語れもしませんでした。


黒磯には業種も規模も様々な、たくさんのお店があります。

・ロスフラワーに向き合う生花店
・"この町の味"を守り続けた唐揚げ店
・「よその人」の相談に乗るゲストハウス
・「循環する黒磯」をつくる宿
・MYOG文化に惚れた山道具店
・町の人のアンテナを育てるNYピザ&メスカルバー
・知識と出合えるアンティーク店
・敬意から料理が生まれる酒場
・受け継ぐ喜びを伝える古道具店
・動物解放を願うレストラン
・音楽家の第二の人生が生まれるショップ

すべてのお店に、店を営む店主の半生と価値観が込められていて、一軒一軒が「旅の目的地」になる店ばかりでした。

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取材風景写真:杉本陽次郎

この本には、僕たちHuuuuが取材を通して出会ったこの町の魅力を込めました。ただ、店主の方々が語ってくれた「自分達の暮らす町」への思いや、「町と店の関係」についての言葉たちは、黒磯のことだけを語っている訳ではないように思いました。

これだけ長々と気持ちを書いても、まだまだ書きたいこと、話したい人のことが山のようにあります。

・町の空気を本1冊に込めてくれたデザイナー 杉本さんのこと
・煌びやかな観光地としてではなく、自分の出会った黒磯を撮ってくれた写真家 八木咲さんのこと
・愛嬌を持って町を描き、本を支えてくれたイラストレーター 小松佑さんのこと
・「本1冊全部書きなよ」と、チャンスをくれた徳谷柿次郎さんのこと
・最後まで、制作チームと伴走してくれた藤原印刷さんのこと
・多くの無理難題に答えてくれた加藤製本さんのこと
・本を書きながら考えていた、自分の町を考える若い人たちのこと

そしてなによりも、取材に協力してくれたり、他所者の僕達と時間をかけて関わってくれた黒磯のお店の方々のこと。

この本は、長い時間をかけて届けていく本になると思います。

3000部の在庫を売り切るのに1年、もしかしたらそれ以上の時間がかかるかも…と言う意味もあるし、これから先、何年でも何度でもこの本の話をするだろうなという意味でもある。そして、これからも黒磯に関わりたい、という個人的な気持ちでもあります。

本のことを知ってもらうためにも、はじめて書籍をつくることになったチームが突然「町の本をつくる」ことの難しさを言葉にするためにも、これから連載のように、このnoteで黒磯の本にまつわる記事を書いていけたらと思います。

「町の本をつくる」ことに興味がある方は、たまに更新される黒磯の本にまつわるnoteを、ぜひ読んでいただけると嬉しいです。


【書籍概要】
タイトル :『A GUIDE to KUROISO 栃木県、黒磯。あたりまえに未来が生まれる町』
発売日  :2月28日(月)
価格  :本体3000円(税込)
ページ数 :224ページ
判型  :A5変型版
発行部数 :3000部
発行  :風旅出版(Huuuu.inc)
ブックデザイン :杉本陽次郎
写真      :八木咲
イラスト    :小松佑・杉本陽次郎
取材・執筆・編集:Huuuu inc.


本を手に取れる場所のこと

今回の書籍『A GUIDE to KUROISO』は、株式会社Huuuuが初めて取り組む自費出版、かつ自主流通の本になります。

取次会社さんを通すことなく、一軒一軒の書店さんや小売店さんに相談をしたり、ご連絡をいただいたりしながら、少しずつ本を取り扱ってもらえる場所を増やしていきます。

本をつくるのも、売り方を考えるのも、流通を考えるのも、初めてのことばかりです。動きは遅くなりますが、より多くの町に本を届けていきます。いまは、以下の場所から本を手にとっていただけます。


▼長野県『シンカイ』のオンラインストアにて販売しています。

長野県・善光寺近くにある実店舗『シンカイ』にも在庫があります。長野県にいらした際は、ぜひお立ち寄りください。


▼Huuuuの告知noteには、全国の取扱店さまの情報を記載しています。

書店さんやさまざまな小売店さん、そして個人の方でも、仕入れのご連絡をお待ちしています。「黒磯の本を取り扱いたい」「黒磯の本に興味がある」といった方は、お気軽に以下のメールアドレスまでお問い合わせください。

info@huuuu.jp


▼PRTIMESのプレスリリースには、販売店向けに仕入れ・発注の条件などをまとめています。

この本が誰かにとって黒磯の町を好きになるきっかけに、そして、自分の暮らす町について考えるきっかけになることを祈っています。


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