体操

 「おじさんになったら、毎日ちょっとだけ体調悪いから」という言葉にとても怯えている。若さにかまけて、全く体を整えて来なかったツケがいつの間にか来ていて、今でさえ、あまりの体力の衰えにびっくりしているくらいだ。
 昔はそれなりに肉の少なかったお腹も、順調にビール腹に。体を鍛えている友人から「腹筋ぷよぷよやん!笑」と言われた時の、伝家の宝刀的言い返し「いやいや、俺の腹筋は中で割れてるねん」も今となっては悲しい。この間は一緒に銭湯に行った先輩から「いぬいくんお腹やばくない!?”餓鬼”じゃん!」と言われてしまった。

 悪意が大きすぎる。もうちょっと愛着の湧く例えもあったはずだ。「怪盗グルーじゃん」とか、「笑福亭鶴瓶みたい」とかなんとか。そんな僕でも、仕事の合間に気分転換のストレッチをしたりはする。能動的に鍛えはしないくせに、体に溜まった「凝り」のようなものに対しては敏感で、ちょっと体を動かすだけでリフレッシュされたかのような気分になるのでいい。
 疲れが溜まった時にいつもやる、ジンクスのようなストレッチがある。まずどこかの壁を背にして、仁王立ちになる。そしてそのまま腰を回して後ろを振り向き、両手で壁を押すことで体をさらにぐるりと回そうとする(伝わる人にしか伝わらない例えをすると、フルCGアニメ『ビーストウォーズ』のコンボイが変身する時、腰がぐるりと180度回転する。あれに近い)。
 回そうとした時に鳴る腰の「ゴキゴキっ」という音が好きで、リフレッシュされたような気分になるのでよくやっている。たしか、就職活動を始めた頃からだった気がする。となるともう4〜5年以上にもなるんだろうか。長い付き合いのこのストレッチが、実は体に負担だなんてことだけはないように願っている。


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