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【クラシック音楽本】年末年始に読みたい本5選(初心者向け)

いよいよ12月最終週!あっという間に2021年も終わりですね。

今年、intoxicateのレヴューページでご紹介した音楽本の中から、クラシック関連の書籍を5つ(+α)ピックアップしてみました。おもしろい切り口のものばかりなので、「クラシック入門編」としてもオススメ。年末年始の読書の参考にしてみてくださいね。(intoxicate編集部)

①古くて素敵なクラシック・レコードたち/村上春樹

153村上春樹

ジャズ関連のエッセイ本等、多数執筆されている村上春樹さんですが、クラシック音楽だけをとりあげたエッセイ本は今回が初。どのような演奏のレコードが紹介されているのか…まるでレコードに針を落とす一瞬の時のように、ページをめくる瞬間に胸は高まる。名盤と位置づけされている演奏から、自身も愛聴している盤が登場すると小確幸。初めて知る音楽からは未知の扉を開かせてくれる。村上さんが今日まで蓄積してこられた小説家としての位置づけがあるように、本作は一人の純粋なクラシック音楽ファンとしての一つの道しるべとなるであろう、クラシック好き、村上主義者には至福の一冊。(新宿店 飛田陽海)★2021.8月号(vol.153)掲載

古くて素敵なクラシック・レコードたち
村上春樹/著
文藝春秋
ISBN:9784163913834

②スイート・スイート・クラシック 洋菓子でめぐる音楽史/三浦裕子

152スイート・スイート・クラシック 

クラシック音楽と、お菓子の知られざる関係…。まさに知らなかったの連続!いつも近くにある洋菓子も、味覚は楽しんでいても、その歴史までは知らないことのほうが多いはず。ヴィヴァルディとトローネ、テレマンとバウムクーヘン、エルガーとヴィクトリア・サンドウィッチ・ケーキ、ラヴェルとガトー・バスクなど、お菓子の歴史とその時代の音楽を、想像を膨らませながら新たな視点で楽しむ一冊です。馴染みの薄い洋菓子も登場して興味津々。巻末には、取り上げられたお菓子のレシピも掲載されています。音楽もお菓子も味わい方が変わりそうです。(上村友美絵)★2021.6月号(vol.152)掲載

スイート・スイート・クラシック 洋菓子でめぐる音楽史
三浦裕子(お菓子研究家)/著
アルテスパブリッシング
ISBN:9784865592351

③commmons: schola vol.18 ピアノへの旅(コモンズ: スコラ)/坂本龍一ほか

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坂本龍一監修の音楽ガイド、今回はピアノがテーマだが、音楽さえも超えた芸術論となっているのが実にユニークだ。前半では鍵盤楽器の発展史を追いながら、ピアノという楽器の本質(音が粒状、12音しかない、楽譜に表現しやすい)を読み解き、後半ではプレイリストの20曲(QRコードで呼び出す)に触れながら、自らの様々な体験(修業時代やYMO時代を含む)や音楽観(響き、弱音への興味)を縦横に語り尽くしてゆく。ピアノを多面的に捉え、その不自由さにも斬り込み、広く芸術の本質に迫る内容はまったくスリリング。哲学的内容にもかかわらず、対話形式の平易な話し言葉で書かれているのも素晴らしい。 (板倉重雄)★2021.10月号(vol.154)掲載

commmons: schola vol.18 ピアノへの旅(コモンズ: スコラ)
坂本龍一/上尾信也/伊東信宏/小室敬幸
アルテスパブリッシング
ISBN:9784865592320

④ビジネスでたどる西洋音楽史 歴代作曲家ギャラ比べ/山根悟郎


150歴代作曲家ギャラ比べ

極めてユニークな西洋音楽史論、最も親しみやすいクラシック音楽入門書の登場! 対象はバッハからストラヴィンスキーに至る過去300年の大作曲家41人。彼らの「伝記」にある作曲料や演奏料などは、当時の現地通貨のままであることが多く、全くイメージがつかめなかったが、この本では綿密な時代考証により全てを現在の日本円に置き換えている。バッハが5百万程度の年収であったり、晩年不遇だったと伝えられるモーツァルトの年収が2千万もあったり、ヨハン・シュトラウス2世がアメリカ20公演で5億も荒稼ぎしていたりと、意外な事実が次々に明らかに。作曲家達がいっそう生々しく感じられること請け合い! (板倉重雄)★2021.2月号(vol.150)掲載

ビジネスでたどる西洋音楽史 歴代作曲家ギャラ比べ
山根悟郎/著
学研プラス
ISBN:9784058012369

⑤オーストリア滞在記/中谷美紀

151『オーストリア滞在記』書影(帯なし・文庫)

ウィーン・フィルのヴィオラ奏者と結婚した女優の中谷美紀さんが昨年の5月1日から7月24日までのオーストリアでの生活の日々を綴った日記。タイトルを見た時、なぜ余所者感のある "滞在記"という言葉を使っているのかと思ったが日本での仕事もあるため日本とオーストリアで半々の日々を過ごしているためのようだ。コロナ禍のなか、オンラインでのドイツ語学習や庭の土いじり、日々の料理や義理の娘、たまにウィーン・フィルの仲間との交流が淡々と綴られ、政治の話や人生観など深い省察にも話はとぶ。日本への帰国で日記は閉じられるが"果てしない探求の旅路"の続きをいつかまた読ませていただきたい。(梅田大阪マルビル店  西川智之)★2021.4月号(vol.151)掲載

オーストリア滞在記
中谷美紀/著
幻冬舎
ISBN:9784344430631


〈おまけ〉プラスの1冊!

衝撃的なタイトル(と帯)!カロリー高めの濃密なこの「音楽対談」は、時間があるときにぜひ一読したい1冊です。

「超」音楽対談オーケストラに未来はあるか/浦久俊彦 、 山田和樹

155「超」音楽対談 オーケストラに未来はあるか9784865592429_obi

音楽の授業では絶対に教えてくれないこと、しかし、音楽をつくり、聴き、語る上で絶対に必要なことが詰まった一冊。指揮者の山田和樹が「頭のお医者さん」のような存在と語る、音楽プロデューサー浦久俊彦と対談した本書は、まさに「超」音楽対談と呼べるもので、オーケストラの未来の問題も「宇宙と音楽」から始まる悠遠な音楽史の中で語られる。両者の議論は枝葉が伸びるように拡散してゆくが、その都度、浦久氏の驚異的博学に基づく的確な文献引用があり、山田氏の実践体験からの証言が加わり、本論との強い連関と説得力を失うことがない。日本の音楽文化全般を考える上で重要な示唆を与えてくれる。(板倉重雄)★2021.12月号(vol.155)掲載

「超」音楽対談オーケストラに未来はあるか
浦久俊彦 、 山田和樹/著
アルテスパブリッシング
ISBN:9784865592429


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みなさまよいお年をお迎えください🎍





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