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『15時17分、パリ行き』(「Hero の祈り」の続き)

主人公(正確には三人の主人公のうちの一人)は、どこにでもいる普通のアメリカ人の若者。
子どもの頃は先生から目の敵にされる学校生活。
トラブル続きで親友とは遠く引き離されて、泣いた。

どうにか無事に成長してヤングマンとなった彼は、空軍特殊部隊に入って人命救助の任務につきたいと思った。一生懸命努力して志願、チャレンジを続けた。でも、挫折続きで、夢は破れた。

どうにか、軍の中に居場所を見つけたが、挫折感は消えない。それでも、夢みたこととは違うけれど、地道な訓練に真摯に取り組んだ。

級友たちとは子どものときに別れ別れになっても、きずなはつないだ。
級友は旧友になり、いっしょに休日をとってでかけたヨーロッパ旅行。
そのとき、事件は起こった。

武装したテロリストに、若者は素手で向かっていった。
その行動に一瞬の迷いもなかった。

旧友たちの力を借りてテロリストを無力化させると、
身につけていた救急救命のスキルで重症者の一命を取り止めた。
若者の武器となったのは、元来の勇気と、人命救助訓練の成果。
勇気と人の命を救いたいという想いはパーソナル、でも、武器としてはプロフェッショナルだった。

若者がその列車に乗り合わせたのも、
乗客がひとりも命を落とさなかったのも、
若者が傷を負いながら無事だったのも、単なる偶然か?
偶然かもしれない。
でも、その偶然はどれも、奇跡だった。

映画の中でのヒーローは、実世界のヒーロー自身が演じている。その異色のキャストを決めたのは、監督のクリント・イーストウッド。

クリント・イーストウッドは銃を持つ権利の支持者というイメージが私の中にあって、なんとなく敬遠していた。でも、銃規制についても前向きに語っていたり、本当のところはよくわからない。とりあえず、この映画を見たあとでは、彼に対する固定観念がゆらゆらと崩れていった。

自分の信念とかけ離れた作品を創ることはできないものね。
ほかのイーストウッド監督作品も見てみたい。そんな気持ちになった。

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