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言葉遣いのジェネレーションギャップにオジサンがどう向き合っていくか

コミュニケーションの語源はラテン語で「共同で労役を負担すること」です。これはどちらか一方が苦労をするのではなく、双方で努力し歩み寄って理解を深めることを意味しています。

コミュニケーションの障害の一つとしてよくあるのが、言葉が多様化していくことによるジェネレーションギャップです。

言葉は時の流れと共に変遷しています。若者が使う言葉で、日本語が乱れていく!なんて事がいつの時代も言われていますが、その繰り返しで新しい言葉が作られてきました。

エジプトの古代遺跡から「最近の若い奴は…けしからん。」という意味の象形文字が見つかったように、いつの時代も世代間コミュニケーションの問題があったようです。

古代エジプト人が、一杯やりながら「最近の若いやつは、石もろくに削れないし、削り方を教えてくれとも言わないんだよね……。」なんて年長者がぼやいているところを想像すると面白いですね。

このように世代間における考え方や言葉の違いに向き合い、コミュニケーションを円滑にするためにできることを生活や職場で実際にあった話を基に考えていきたいと思います。

この服、ヤバい

中学校の娘に前から欲しがっていた服をプレゼントした時の話です。
娘が、包みを開けて服を見て開口一番……


「うわぁ、この服めっちゃヤバい!」


この言葉だけを聞くと……

とこんな感じになってしまい、気に入ってくれたのか、気に入らない「ヤバい!」なのかは、表情や声のトーン、前後のコミュニケーションから推察する必要があります。

実際、娘は喜んでくれたようで想定の範疇を越える喜びを「ヤバい」という言葉で伝えてくれました。

実際に辞書にも「ヤバい」=「のめり込みそうである」と書いてあるからヤバくない言葉遣いなのですが、その前後にどのような言葉を添えるかで、受け取り側の理解も大きく変わってきます。

このことを奥さんに相談すると「中学生の言葉遣いなんてみんなこんなもんよ!〇〇ちゃんのママもヤバい・ウケるのオンパレードだって言ってたわ。TPOでちゃんと使い分けできればいいんじゃないの。

なるほど……確かにその通りで上下関係のある部活動などではちゃんと敬語を使えているみたいだし、なぜかご飯を食べている時はヤバいは使わない。「このお肉、塩こうじが肉の甘味を引き出してジューシーですごく美味しい。ありがとう。」など評論家のような素晴らしい表現力だ。

ヤバい」の意味を補完する言葉とTPOに応じた使い分けが大切なのですね。

さらに想定の範疇を越えるヤバい


娘に「ヤバいは他にどんな使い方をするの?」と聞いてみるとあらゆる場面で、使う事ができる便利な言葉であるそうです。

友達「昨日、部活終わってからその後、塾に行って家に帰ったの22時だよ」

娘「ヤバーい!!」

ここで友達の欲しい答えが

①頑張った自分を褒めて欲しい

②大変だったから同調して欲しい

どちらか分からない時に「ヤバい」と返答することで次の会話が成り立つと言うのです。これもある意味、自分の想定の範疇を越えているという意味では間違えではないのかもしれません。

このようにして相手の地雷に触れることなく途切れることのないコミュニケーションを繋いでいくそうです。ほんまかいな!ですが、本当なのです。

自分はこんな使い方はしないとしても微妙な感情を補完するための「ヤバい」の使い方は理解しておきたいものです。

大丈夫じゃない話


続いて飲み屋さんに行った時の話。宴も終わり間近になった頃に従業員の方が話しかけてきます。


「ラストオーダーになりますが、注文は大丈夫でしょうか?

「大丈夫」も今や市民権を獲得した言葉となっています。ラストオーダーはしなくてもいいのだが、その聞き方は大丈夫ではないのよ。と伝えたいところですが、今やそんなことは言えません。至るところで使われているからです。

辞書で調べてみると

① 立派な男

② しっかりしているさま。ごく堅固なさま。あぶなげのないさま

③ 間違いなく。たしかに。

とあり、まだ辞書にには④「やんわりとした拒否、問題ないことを指す」意味とは載っていません。これもイエスもノーも表現できる不思議な言葉です。

他には……

「お料理の方は大丈夫(問題なかった)でしょうか。」

「レジ袋は大丈夫(不要)でしょうか。」

「大丈夫」の元々の意味からすればえらく遠回りした言い方で違和感を感じてしまいます。「大丈夫」という言葉はいなばの物置のCMのように絶対安心な意味であって欲しいと思ってしまいます。

本来であれば「いりません、不要です、結構です」などが正しい言葉遣いなのですが「きつい印象を与えてしまいそう」というのが「大丈夫」で断る理由のようです。

これが、上下関係のある職場であるとさらに判断が難しくなることがあります。

「今日仕事終わったらみんなで飲みにいくんだけど一緒に行かない?」と後輩に聞いて返答が「大丈夫です……。」となるとこちらも次の言葉を選ぶのに慎重になってしまうのです。

①「行けるってことだよね!」と言うとパワハラだと言われかねない。

②「じゃあまた今度ね!」と言うと後輩が行きたかったとしても言い辛い。

①も②もできれば聞くことを避けたいので意思が確認できた後に

「大丈夫です。は誤解を生みやすい言葉だから違う表現で伝えた方がいいよ。」と改めて優しく教えてあげることが一番いいのでしょうね。

このように目上の人やビジネスで曖昧な言葉は大丈夫ではないことが多いので受取側も気をつけなくてはいけません。

まとめ

このように言葉の使い方によってコミュニケーションのすれ違いが出来てしまう事はもったいないですね。言葉遣いが悪いからといって敬意を表していないわけでもなく知らないだけの事が多いからです。

私たちが「このお笑い番組、いとおかし」と言わないように時代の変化と共に言葉も多様性をもって変化しています。

複合的な意味を持ち、曖昧な言葉が増えている昨今、言葉遣いそのものを悪い!と言ってクローズドコミュニケーションにしてしまうのではなく多様な言葉を受け入れて伝えたい想いを明確にしてあげることが私たちにできることではないかと思います。

そして学校や職場など相手やTPOに応じて適した言葉を使って想いを伝えることができるようになればそれが、自身や子ども・部下の成長にも繋がると信じています。

変化を受け入れて自分が変わっていくことが大切です。

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いつも大変勉強になるJUNさんの記事を読ませていただいて日頃自分が「なんだかなぁ」と感じている事をアウトプットしてみたくなりました。

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