スベスベマンジュウ蛇行

YAHなやつ!YAHなやつ!!YAHなやつ!!!!

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何も書けないでいるあなたへ

 こんにちは。俺は何も書けなくなって5年以上が経ちます。そうなると「もう俺の泉は枯れてしまったのか?」という気持ちになります。当然です。だって何も出てこないんだから。俺には文章1本の人と違って作詞作曲という逃げ場もありましたが、今ではその道もほとんど閉ざされています。新しい歌詞が、メロディがどうやっても心に浮かんでこない。そんな日々の繰り返しです。じゃあ翻って享受する側に回ればいいのでは?となるかもしれませんが、一度創作の自由を知ってしまうともう戻れないのです。どうして俺は今

    • カップラーメン・アート

       俺は今まで知らなかった。世には2倍や1と少しの早回しで作品を鑑賞している人がいることを。  オートチューンについて先に書いておこう。オートチューンとは簡単に言えば「音程を変えないまま早回し・遅回しができるテクノロジー」だ。  経験者には分かってもらえると思うが、例えば盆踊りや日本舞踊など、「教材の一部」として使われてきたカセットテープなどは、その再生時間からほぼ絶対的に延びている。要するに音程もテンポも狂っていて、しかも何の機材で再生するかによって全部が違う。中東音階やイ

      • その名はツナ

         生まれて初めて猫を見た日のことなんて覚えてるのは僕くらいだろう。  それは非の打ち所のない立派な生き物だった。今なら分かるが、他の猫ならなめらかな曲線を描いているはずのところが筋張って、大胸筋は張り出していた。尻尾は折れ曲がっておらず、ゆるやかに体の周りでカーブしていた。僕はその姿に感心して路地裏の主を眺めていると、一緒に歩いていた母親に手を引かれそのままその場を後にした。  後日、友達と一緒に遊んでいる時にもまたその猫を目にした。猫は日向で香箱座りをし、公園のオブジェにな

        • 新年の抱負 2021

           問題はだ、君が書くべき、あるいは書かれるべき文章を何も発見できていないことにある。それはデンタルフロスへのラブソングでも1980年代の通信事情への端的な寓話でもいい。とにかく、君が書くべき文章など最初から存在しないのだ。  では何を書くべきか?書く欲求はあるか?俺は大学に入るまでは何もそういう欲求がなかった。それはある日突然降って湧いた。誰にでもある唐突な乱反射だ。だが俺のそれはとても強烈で、脳裏に焼き付いて剥がせない。たとえばこれが恋だとしたら、俺は存在しない女性を抱き

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        • 真夜中のダンサー
          7本
        • 蛇は歩けない
          16本
        • マインド・ザ・ギャップ
          13本
        • ロング・ロング・シュート
          0本
        • ストレンジャー・ザン・パラダイス
          23本

        記事

          むかしむかしあるところに

           昔々あるところに、自身の不調や身内の不幸も重なりすっかりバランスを崩してしまい、昼夜を問わず酒を飲み続け、最終的には栄養失調で入院までした愚かな大学生がおりました。  2年次ですでに彼の留年は決定しており、彼はどう単位を履修し回復していくかと考えていました。この頃から不眠症が始まり、眠るために酒を飲むようになりました。  そして前期試験の2週間前、母親から電話がありました。「親父が危篤だ」と。「どうすればいい?」と聞くと「分からない」と返ってきました。20年弱を共にして母が

          むかしむかしあるところに

          彼女に会いに

           一目惚れだった。初めて見た時から彼女しかいないと思っていた。11歳の時のことだった。  僕の名前はカール・ボールドウィン。はっきり言うと実家が技術系の大企業だってこと以外は何も取り柄がない平凡な男だ。大学を出て数年一般企業で働き、結局出戻りのような形で実家の会社に入った。でも僕の夢は、野望は、消えたわけじゃない。さらに10年後、半ば世襲のような形で代表取締役になった時、僕は時は来たれりと思い、技術関連のスタッフを招集してミーティングをした。僕の要求はひとつだけだった。

          早すぎた花譜

           花譜についてはこの記事を読もうと思った時点である程度知っているだろうから詳細は省こう。神椿スタジオ所属、現在高校生のヴァーチャルシンガーだ。外見はヴァーチャルだが歌声は人間のもので、間違いなく日本のどこかに花譜の声を持つ少女は実在している。彼女の歌い方の特徴として掠れや震え、揺らぎがある。とても不安定な歌声が魅力的だ。  でも俺は花譜を知った頃からそういった歌い方に覚えがあるような気がしていた。そして先日気付いた。「これはコナーの歌い方だ!!」  コナー・オバーストは19

          1966年のボブ・ディラン

           みなさんは音楽に頭を撃ち抜かれたことがあるだろうか?俺はある。そのせいで、もう10年以上は弾いているというのに「お前まだそんなプレイしかできないの!?」と同業に蔑まれそうな演奏をしながら曲を作っている。  極端に言えば俺は曲を作りたいという欲求などまるでなかった。  だが2005年にボブ・ディランのブートレグシリーズの一環である『ノー・ディレクション・ホーム』のlike a rolling stoneを聴いてから全てが変わった。泣きながらタワーレコーズのレジにそのアルバムを

          1966年のボブ・ディラン

          電子書籍を出してみた話

           俺は2019年になかなかひどい目に遭ったので、それを原稿を委託する形でコミケの友人の卓で委託販売しようと思っていた。だがこの新型のコロナ禍だ。コミケは中止になったし次にいつ出せるのかも分からない。そこで「一応原稿データ持ってるんだし電子出版してみるか」と思い、友人に断りを得た上で原稿を徹底的に洗い誤字脱字をでき得る限り減らし、どうにか出してみた。  数回宣伝もした。だがおそらく現時点で実売数は20もない。そういうものだ。別に俺はこの結果を不服だとは思っていない。下手に50

          電子書籍を出してみた話

          小さくも大いなる眠り 3

           もちろんアメリカの「チャイナウィルス」という批難に中国は非常に腹を立てていた。以前からシーレーンを越えて日本の領海まで艦艇を航行させたり哨戒機を飛ばして示威的行動はしていたが、それは別に日本の同盟国であるアメリカを刺激しようという意図はなく、アメリカとはあくまでビジネスパートナーとして接してきた。ビジネスで何かしらの不履行があったならば中国も少なからず非を認め謝罪するかもしれないが、今回の批難はビジネスには影響があったとしてももともとは関係がない。しかもWHOのトップを中国

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          これは訓練ではない

          あれから何日経った?敵はゲリラ的な戦法で突然現れる。こちらに歩哨を立てるほどの余力も残っていなくともおかまいなしだ。頼りにしていた様々な武器もやつらにはほとんど効果がない。あとどれだけ戦えば俺は安心して眠れるんだ?あるいはその前に俺が力尽きて棺桶に入るのか?戦いはもう1ヶ月は続いている。補給線が途絶えることがないが、肝心の敵を倒せないのだからある意味では過剰でさえある。  敵の名前は蚊だ。俺の戦いは終わらないし朝まで安眠することもできない。昨年網戸がブッ壊れたが気にせず

          これは訓練ではない

          誰のためでもない怒り

           端的に言えば俺はいつも怒っていると言えなくもない。俺は常に「怒っていた」のだ。10代20代にかけては常に自分の中に燻りや、極端に言えばアメリカの山火事のような怒りや憤りがあった。今でもそれを完全に鎮火できてはいないのだが、かなり火の勢いは弱まったように思う。俺はいったい何を相手にあんなに腹を立ててたんだ?  思い返してみれば、俺の怒りの根源に近いのはレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンだ。それまでスウィートなモータウン・サウンドばかり聴いていた俺に、社会の不均衡・不平等・不条

          誰のためでもない怒り

          ノーウェア・マン

           みなさんの家庭に家系図なんかはあったりするだろうか?あるいは戸籍謄本などから先祖が辿れたりするだろうか?俺にはそういったことができない。別に先祖が外国から移住してきたとか、そういうわけではない。確かにひいばあちゃんは一時期パラオで暮らしていたらしいが。何しろ記録が残っていないのだ。  大学生の頃出自を尋ねられると、冗談半分で「先祖はずっと奴隷やってたよ」と言っていた。今にして思えばつまらないし笑えない冗談だ。だが今じいちゃんやばあちゃんの顔を思い出すと思う。「どうして俺は

          俺が書こうとしていて、なおかつ書くとマズいことについて。

           先にいくつか投げ付けたが、おそらくそれらを読んだ上でこれを読んでこれを読もうという人はいないだろう。だからある意味では入門編のようなものかもしれない。  概要をかいつまんで言えば、俺は昨年半年以上本意ではない半ばボランティアの建設作業に従事していた。俺は「一日色々運んでるだけで月で手取り20万だよ」と言われそこに赴いたのだが、実質はそれよりもっと過酷だった上に、俺はそもそも何の金か分からない総額30万円ほどを数回に分けて振り込まれただけだ。当初は日に1500円支払われるはず

          俺が書こうとしていて、なおかつ書くとマズいことについて。

          漫画というもの

           俺に最初に漫画というものを認識させ読ませたものは何なのだろう?あるいはちばてつやかもしれないし手塚治虫の火の鳥だったかもしれない。これは幸運なことだと思うのだが、近所に図書館があり、そこには手塚治虫全集も収められていたために俺の性的嗜好はずいぶん歪んだように思う。でも何しろゴッドが下さったものだ。ダメなら最初から禁書にしときな。俺は何というかこう、色々拗らせた感じでいくぜ。  そういった感じで始まった漫画読みとしての半生だが、高校生の頃にまともに弐瓶勉著「BLAME!」を食

          お話の話

           俺には甥がいる。甥は現在小学校の高学年に差しかかりつつあるが、まだ自転車に乗れない(何でも校則で定められているらしい)身長150cmの得体の知れない生き物だ。むろん甥なのでその母親は妹であり、俺が知る限りでは毎日のように姉と口喧嘩をしてとにかく文章というものをほぼ摂取しない人間だった。妹はテレビも見ないし雑誌も読まないし、あるいは意図的なものなのか、おそらく教科書でさえも必要な部分にしか目を通していないんじゃないかというくらい文章を読んでいる姿を見た記憶がない。身長170㎝